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MUGENLABO UNIVERSE 10月イベントレポート ~連携と挑戦で広がる、宇宙ビジネスの可能性~

2026年10月6日、KDDIが運営する宇宙共創プログラム「MUGENLABO UNIVERSE」の定例イベントが、Blooming Camp by さくらインターネット(グラングリーン大阪 北館3F)にて開催された。今回は、10月5日~7日に大阪で開催された「GLOBAL STARTUP EXPO 2026」の公式サイドイベントとして実施した。


本イベントでは、ispaceによる有識者講演に加え、ispace・清水建設・KDDIによるパネルセッション、宇宙領域に取り組むスタートアップ4社のピッチを行った。宇宙インフラの整備や大企業とスタートアップの連携から、軌道上のデータ処理、宇宙実験、ロケット打上げ、宇宙体験まで、幅広いテーマを通じて宇宙ビジネスの可能性を探った。


有識者講演|月面ビジネスの最新動向と、ispaceの取り組み

有識者講演では、株式会社ispaceでグローバルな事業戦略・コーポレート戦略を担う中上禎章氏が登壇した。月・シスルナ領域を中心とする宇宙市場の動向や、同社の月面輸送事業、事業会社の参画可能性が紹介された。

地球と月を結ぶ、月面輸送サービス
冒頭では、月面探査・資源開発に取り組む宇宙スタートアップispaceの事業が紹介された。「Expand our planet. Expand our future.」というビジョンのもと、地球と月を結ぶエコシステムの構築を目指す方針を説明。ランダー(月着陸船)やローバー(月面探査車)を活用した輸送サービスを軸に、顧客の研究開発用機器などを月へ運ぶ取り組みや、継続的なミッションによって将来の資源利用やインフラ整備を支える考え方が示された。

探査から継続的な利用へ広がる月面市場
月面市場の動向として、南極域で注目される水氷などの資源や、周回軌道の活用、科学探査、将来的な居住といった事業機会が紹介された。米国や中国などによる月探査の進展を踏まえ、月を訪れるだけでなく、継続して活動できる環境を整えることの重要性を説明。民間企業による輸送サービスの活用など、官民が役割を分担しながら市場を形成する動きも示された。

電力・通信・居住を支える多様な技術
月面での継続的な活動を支える領域として、電力、データ通信、居住施設、生命維持などが挙げられた。通信についても、地球と月を結ぶ回線に加え、月面拠点間の接続や、現地でデータを処理するエッジコンピューティングへと用途が広がると説明。輸送だけで完結するのではなく、異なる分野の技術やサービスを組み合わせる必要があり、多様な企業が参画できる可能性が語られた。

パネルセッション|大企業とスタートアップの連携に求められるもの

パネルセッションでは、中上氏に加え、清水建設株式会社 フロンティア開発室 宇宙開発部 研究開発グループ 主査の鵜山尚大氏、KDDI株式会社 先端技術統括本部 先端技術企画本部 シニアエキスパートの市村周一氏が登壇。KDDI オープンイノベーション推進本部 SUグロース戦略部長の武田裕子氏が進行を務め、それぞれの連携事例を軸に、協業を進めるうえで重視する視点や、互いに期待する役割を議論した。

既存事業の強みを、新たな事業領域へ
清水建設は1987年に「宇宙開発特別プロジェクト室」を設立し、早くから宇宙領域に取り組んできた。小型衛星や低価格ロケット、クラウド、AIなどの進展を背景に、2018年にはフロンティア開発室宇宙開発部を設立し、事業化を重視する取り組みを推進。輸送インフラや衛星データ活用、月面インフラなど、建設・エンジニアリングの知見を生かす領域が紹介された。自社の専門外の技術はスタートアップとの連携で補い、ispaceには2017年に出資したことも説明された。

一方、KDDIは、地上の地点と地点をつなぐ通信事業を月まで拡張するという考え方を紹介した。地上局やアンテナを用いた地球―月間の通信に加え、地球から直接通信できない月の裏側に対しては、ispaceが構想する月周回の通信中継衛星を活用する考え方も説明。KDDIによる通信サービスの提供を見据え、本業で培った知見を宇宙領域に生かす姿勢が語られた。

技術の補完にとどまらない、協業相手の選び方
ispaceをパートナーに選んだ理由について、清水建設は、月面インフラの整備に欠かせない地球から月への輸送を担う存在としての重要性を挙げた。KDDIは、技術面の連携だけでなく、中東・アジアなどに広がるispaceの国際的な顧客基盤に着目。互いの強みや顧客接点を組み合わせた事業シナジーを重視していることが語られた。

大企業とスタートアップが互いに求めるものについても議論が交わされた。ispaceが期待するのは、ビジョンを共有し、ミッションや将来計画について率直に議論できるパートナーである。一方、清水建設は、大企業が容易に内製できない、尖った専門技術を持つスタートアップの価値を強調した。企業規模にかかわらず対等な関係を築き、ニーズや課題をオープンに伝え合うことが、実のある共創につながるという視点が示された。

異業種の参入が、次のサービスを生む
セッションの終盤では、民間企業がハードウェアを開発・運用し、政府や民間の顧客が輸送・通信などをサービスとして利用する事業モデルの広がりが語られた。宇宙産業の発展に向け、機器をつくる技術とサービスを提供する力の双方の重要性が示された。従来の宇宙企業に限らず、地上で培った技術や事業の強みを持つ企業にも参入の機会があるとし、異業種からの挑戦を呼びかけた。

スタートアップピッチ

スタートアップピッチには、宇宙インフラから実験・体験まで、異なる領域に取り組む4社が登壇し、それぞれの事業が紹介された。

  1. 株式会社SpaceBlast
    宇宙で生成されるデータを軌道上で処理し、効率的に地上へ送信する「軌道上データセンター」の基盤技術開発と、宇宙版AIクラウドの事業化に取り組む。

  2. 株式会社IDDK
    半導体センサーを用いたレンズレス顕微観察技術「MID」と無人運用可能な実験装置を開発し、微小重力環境を利用した実験サービスを展開する。様々な人工衛星、民間宇宙ステーションで共通で使えるコンテナ、インターフェースを開発し、2027年には人工衛星、民間ステーション合わせて3発、最大5発の打上を予定している。

  3. スペースワン株式会社
    自社開発の小型ロケット「カイロス」と、和歌山県串本町・那智勝浦町に所在する専用射場「スペースポート紀伊」を基盤に、人工衛星打上げサービスを提供している。これまでに3回の打上げに挑戦し、国内民間企業として初めて人工衛星を搭載したロケットの打上げを実施。

  4. 株式会社amulapo
    宇宙機器・ロボットなどの研究開発支援に加え、VR・CGを活用した宇宙体験コンテンツの制作やイベントの運営、地域での宇宙産業創出支援を行う。

ネットワーキング

イベントの最後にはネットワーキングの時間が設けられ、登壇者やスタートアップ、参加者の間で、講演やパネルセッションを受けた意見交換や、各社の事業・技術の紹介が活発に行われた。

おわりに

MUGENLABO UNIVERSEは、これからも多様な領域のプレイヤーをつなぎ、宇宙事業の共創と、宇宙技術を活用した地上の課題解決に向けた機会創出を進めていきます。引き続きよろしくお願いいたします!

「MUGENLABO UNIVERSE」について

「MUGENLABO UNIVERSE」は、KDDIが2024年5月に開始した、宇宙事業に取り組むスタートアップ・異業種スタートアップ・大企業・有識者による、宇宙事業の共創や、宇宙技術を活用した地上の課題解決を目指すプログラムである。
多様な実証環境や企業間のマッチング機会の提供、宇宙領域の有識者によるナレッジシェアなど、企業が宇宙を活用した事業創出に挑戦しやすい環境を整備する。
東京都のグローバルイノベーションに挑戦するクラスター創成事業「TIB CATAPULT」に採択され、スタートアップの事業化を目指した取り組みに対する経済的な支援や、宇宙を活用した事業開発を目指す大企業や他参画事業者との連携支援、東京都のイノベーションプラットフォーム「Tokyo Innovation Base」をベースにした支援などを通じて、スタートアップの事業成長と企業価値向上に対する支援をより強化する。

TIB CATAPULTについて

東京都の強みとなるインダストリーやテクノロジーの領域において、イノベーションを巻き起こすために組成された複数企業からなる「クラスター」と、東京都が協定を締結し、クラスター領域におけるスタートアップとの連携・協働を推進、イノベーション創出を目指す。採択されたクラスターはそれぞれ、グローバルに成長するスタートアップ創出に向け、3カ年で20件以上の大企業などとスタートアップによる協働実績の創出を目指す。


   

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