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宇宙での数十年を地上で検証。NHVコーポレーションが支える材料開発

株式会社NHVコーポレーション
奥村 康之
EB加工事業部 事業開発グループ長 博士(工学)

宇宙を活用したオープンイノベーションを通じて、地球上の課題解決と新たな事業創出を目指す「MUGENLABO UNIVERSE」。スタートアップ、大企業、有識者が集う本プログラムに、新たな実証実験パートナー4社が参画した。


本記事では各パートナー企業の特徴と提供する実験環境をご紹介。3社目は株式会社NHVコーポレーション。今回はEB加工事業部 事業開発グループ長 博士(工学)の奥村 康之氏へ話を伺った。


めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
宇宙環境下における材料の放射線暴露について、地上で実験することが可能で、電子線の線量または入射量をコントロールすることで、短い時間で数年~数十年に相当する放射線暴露を実現することができる企業です!

電子線照射の技術で多様なニーズに応える

事業概要について教えてください。

奥村:弊社は電子線照射装置の製造、販売およびアフターサービスを行うとともに、電子線照射装置を用いた受託サービス、照射試験サービスを行っております。

1957年に電子線照射装置の開発に着手して以来、唯一の電子加速器の総合メーカーとして、独自の技術とノウハウをもって、電子線照射に関わる様々なニーズにお応えいたします。

宇宙材料の耐放射線性を地上で検証

この環境でどのような実験・検証が可能ですか?

奥村:放射線に長期に曝される材料について、どの程度の暴露でどのような変化を起こすのかを評価することができます。暴露の程度については、電子線の線量または入射量により具体的な数値で示され、細かく設定することが可能です。

また電子線は加速電圧を調整することで材料の厚み方向に与える影響を調整することができます。放射線暴露の評価について、材料の表面のみ、もしくは材料の内部までといった選択が可能です。

電子線照射が行われるステージは最大900×1800mmの広さがあり、一度に多くの材料を同一の条件で照射することができます。実験にはお立合いが可能で、材料の状態を確認しながら、その場で照射条件を調整することが可能です。


電子線照射装置

短期間の試験で材料開発を加速する

他の環境にはない特徴・強みを教えてください。

奥村:地上で放射線暴露試験を気軽に行うことができるのが、大きな強みと考えております。実験のご相談いただいてから最短2週間ほどで実験を実施することができ、複数の材料の比較を容易に行うことができます。

電子線照射後にご評価いただき、改良した材料をまた実験していただくというサイクルを短期間で実現することができ、宇宙環境向けの材料や機器開発の加速に大きく貢献できると考えております。

また電子線照射におけるパラメータの一つである線量について、一般的には照射された材料が吸収するエネルギー、いわゆる吸収線量(kGy)が単位として用いられますが、私たちは電子の入射量、フルエンスを単位として用いることが可能です。

フルエンスは、材料に照射された電子の個数を表すもので、耐放射線の評価において良く用いられる単位ですが、正確なフルエンスを算出するためには、材料毎に異なる電子線の透過率などを考慮する必要があります。

宇宙で使う材料の耐放射線性を評価

代表的な活用事例を教えてください。

奥村:宇宙環境に用いる高分子材料、グラファイト、ガラスなどの耐放射線性の評価に用いられています。試験片に大線量の電子線を照射して、いわゆるトータルドーズ(TID)に対する劣化挙動を評価します。具体的には、電子線照射後の機械特性の低下度合いや、光学特性の変化などを測定し、宇宙環境下での寿命や信頼性の予測しています。

また電子線照射の照射条件や照射量を変えることで、劣化のメカニズムを解析して、より耐放射線性の高い材料の開発に利用されています。近年はGEO衛星や月面・深宇宙ミッション向けの材料評価需要も高まっており、実環境に近い真空中電子線照射による電子線試験への期待が高まっています。

宇宙環境に挑む企業の開発を支援

どのような企業・スタートアップに活用してほしいですか?

奥村:人工衛星など宇宙環境に長期間滞在する機器、材料を開発し、活用する企業に活用してもらいたいと考えています。新材料を宇宙分野で活用したいものの信頼性データが不足している企業に活用いただきたいと考えています。

特に、官主導から民間主導へ移行する宇宙ビジネスにおいて、新規材料の採用やGEO・月面開発など実績データの少ないプロジェクトでの耐放射線性評価や劣化試験にお役立てください。

宇宙材料の長期信頼性を支える環境へ

宇宙活用や新規事業に挑戦する皆さまへのメッセージをお願いします。

奥村:宇宙分野は今後ますます発展が期待される一方で、機器や材料に求められる信頼性は一層高まっていきます。新しい技術やサービスの実現には、開発初期段階から実環境を想定した評価が重要です。

私たちは、宇宙環境で高い信頼性をもつ機器・材料の開発の一助となれるよう、実験環境の充実を進めてまいりますので、ぜひお気軽にお声がけください。

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