- インタビュー
2021年07月08日
スタートアップに会いたい!Vol.20- 松竹
- 松竹株式会社
井上 貴弘 - 取締役
連載「スタートアップに会いたい!」では、KDDI ∞ Laboにパートナーとして参画する大企業80社以上が、スタートアップと共に取り組んでいきたい課題や、スタートアップへ提供できる多様なアセットについて解説するコーナーです。大企業全社の課題・アセットは「MUGENLABO支援プログラム 2023」からご確認いただけます。
東急に続く第20回目は松竹です。松竹の課題解決に挑戦したいスタートアップの皆様は、ぜひKDDI ∞ Labo事務局までご一報ください!
井上氏に伺いました
何をしている会社ですか?
井上:当社は創業より125年にわたり、主に1.演劇、2.映像のエンタテインメント事業、3.不動産事業の主に3つの領域でビジネスを展開しています。
特徴としては、映像事業と演劇事業は、コンテンツ制作の川上から、お客様にお届けする施設(主に映画館や劇場)の運営といった川下まで一気通貫で事業を展開しています。当社の強みは、コンテンツを生み出す能力を持っていることと、リアルでの顧客接点を持っていることです。
ご存じの通り、演劇等のライブエンタテインメント領域は、新型コロナウイルスの大きな影響を受けています。今後、労働集約型の映像制作や舞台制作のあり方、デジタルを活用したマーケティング、さらに劇場・映画館での接客など、多くの場において、テクノロジーの活用による最適化が可能であると考えています。
特に、お客様とのデジタル上での顧客接点を強化していきます。デジタル接点と当社の持つリアルのアセットとの組み合わせにより、顧客体験をアップデートし、付加価値のある新たな体験を提供していきたいと考えています。
これまでのオープンイノベーションの取り組み事例は?
井上:私たちはこれまで、コンテンツ制作(主に歌舞伎)とハコ(劇場、歌舞伎座等)の運営に関し、多くの大企業とのオープンイノベーションを行ってきました。具体的には、「超歌舞伎」によるデジタルとリアルの融合の取り組みや、映画館への「ドルビーシネマ」の導入や、京都四條南座での「京都ミライマツリ」等における新たな劇場・映画館の体験価値を生み出す取り組みです。
2018年より、最先端の技術やサービスを持つスタートアップ企業との取り組みを開始しました。さらに2019年にはアクセラレーター・プログラムを実施し、選出させて頂いた5社との共創を進めています。
注力領域としては、VRやMR等のxR領域と、コロナウイルスの影響で先送りになっていますがインバウンド領域がございます。またその他にも、R&Dとして、ファンの感情分析、顧客との接点をデジタルで強化するカスタマーサクセス等、幅広い業種のスタートアップ企業との共創を検討しています。
御社の課題は何ですか?スタートアップのみなさまへ求めていることは何ですか?
井上:当社としては下記のような課題を抱えております。
- ポストコロナ時代の歌舞伎・演劇・映画館等における新たな劇場体験の創出
新型コロナウイルスの流行を経て、リアルの場に行かなくても体験できることが一気に増えています。劇場や映画館というリアルの場においては、さらに付加価値のあるワクワクする体験を顧客に提供する必要があると考えています。リアルの場をアップデートする技術やサービス、デジタルを活用した顧客エンゲージメント向上など、多くの可能性を探っていきたいと考えています。 - 映画や演劇などを鑑賞時の顧客の感情分析と理解
満足度調査は多く行われていますが、演劇や映画鑑賞時に、観客の感情を感知し、分析できるソリューションはまだありません。エンタテインメントをさらに科学するためのパートナーを探しています。
スタートアップへ御社から提供できるアセットはありますか?
井上:上記課題を解決するために、下記アセットへのアプローチが可能です。
- 映画館や劇場(歌舞伎座等)、オフィスビル等での実証実験の機会の提供
- 松竹歌舞伎会等の歌舞伎や映画を軸とした顧客接点の提供
- エンタテインメント(特に映画・演劇)分野での様々な専門スキルを持った人材・ノウハウの提供
最後に一言お願いします
井上:ライブエンタテインメント市場は新型コロナウイルスの影響を大きく受けており、当社も例外ではありません。しかし、このような状況だからこそ、我々が持っていない強みを持つスタートアップの皆様との共創により、一緒に成長していきたい考えています。このピンチをチャンスに変え、共に未来を創りましょう。
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