
2026年05月25日
臍帯細胞で 難治性疾患に挑む - ヒューマンライフコード
- ヒューマンライフコード株式会社
原田 雅充 - 創業者 代表取締役社長
2026年5月14日、KDDI ∞ Laboの月次全体会において、スタートアップ4社が大企業に向けてピッチを行った。登壇されたスタートアップにMUGENLABO Magazine編集部のめぇ〜ちゃんがインタビューを行ったので皆様にご紹介!
今回はヒューマンライフコード。臍帯から抽出される間葉系細胞を用いた再生医療等製品の製品化を目指す事業を展開するスタートアップ。ヒューマンライフコード創業者 代表取締役社長の原田 雅充氏に話を伺った。
目次
めぇ〜ちゃん- ヒューマンライフコードは、臍帯由来の細胞を用いて難治性疾患に新たな治療を届けるバイオ創薬スタートアップです!
臍帯から生まれる、新しい医療の未来
事業概要を教えて下さい
原田 :ヒューマンライフコードは、臍帯(へその緒)で持続発展可能な細胞治療のエコシステム構築を目指すバイオ創薬スタートアップです。通常は廃棄されるお産後の産物である臍帯に着目し、そこから得られる細胞を再生医療等製品として実用化することで、従来の医療では救うことが難しかった希少難治性疾患の患者さんに新たな治療選択肢を届けることを目指しています。すでに国内では臨床ステージに進んでおり、現在は造血幹細胞移植後に発症する重度の肺合併症を対象とした第Ⅲ相試験を進めています。さらに、新生児の慢性肺疾患での臨床開発を計画しており、健康寿命延伸を見据えたサルコペニア等の加齢性疾患や自己免疫疾患への展開も進めています。
また、細胞医療を世界中の患者さんに安定的に届けるために細胞の製造方法と品質管理の国際的な標準化に取り組み、日本・米国・中東の三拠点から同一品質の細胞を供給するグローバルエコシステムの構築に取り組んでいます。
命をつなぐ医療──創業の原点
創業のきっかけを教えてください
原田 :アメリカの外資系製薬会社で臨床開発に携わっていた頃、細胞治療のプロジェクトに関わったことが原点です。そこで出会ったのが、強い化学療法に耐えられず、骨髄移植も受けられない11歳の小児患者でした。そこで行われたのが、通常は廃棄されるお産後の産物から採取した間葉系間質細胞を用いた治療でした。その結果、体力が回復し、最終的に寛解に至った姿を目の当たりにし、「命をつなぐ医療」の可能性に強い衝撃を受けました。
一方で、それまで治療によって疾患が改善しても、副作用や生活の質の低下に苦しむ患者さんを数多く見てきました。薬物治療だけでは十分に救えない患者さんがいることを痛感する中で、身体本来の力を活かし、治療後の人生まで見据えた医療が必要だと強く感じるようになりました。
このような経験から、持続的に確保・活用できる臍帯に着目し、持続可能な細胞治療を社会に根付かせる仕組みを創り、新たな医療のかたちを自ら創り出すべく、創業を決意しました。
世界中どこでも同じ品質の細胞治療を受けられる未来へ
どのような患者や医療現場の課題を解決しようとしているのでしょうか
原田 :ヒューマンライフコードは、大きく2つの課題解決に取り組んでいます。
1つ目は、標準治療が確立していない難病の患者さんに、新たな治療の選択肢を届けることです。治療の選択肢が限られている疾患領域において、「選べる治療がある」こと自体が、患者さんやご家族にとって大きな希望となります。当社はこれまで十分な治療選択肢がなかった患者さんに、臍帯由来間葉系間質細胞を活用した新たな治療選択肢を提供することで、患者さんの未来の可能性を広げることを目指しています。
2つ目は、細胞治療をより多くの地域に届けるための基盤づくりです。細胞治療は品質のばらつきや安定供給体制が課題とされてきました。当社は日本発の製造技術と品質管理技術をもとに、標準化された細胞医薬品をグローバルに展開し、どの国でも同じ品質の治療にアクセスできる環境の実現に挑み、細胞治療をより身近で持続可能な医療として社会に提供するグローバルエコシステムを確立することを目指しています。
免疫調整×組織修復──独自の細胞特性を活かした治療アプローチ
取り組みの特徴や強みを教えて下さい
原田 :再生医療というと難しく感じられますが、当社の取り組みの特徴は、「体が本来持つ力を活かす治療」である点にあります。従来の薬が原因物質や症状に直接作用するのに対し、細胞医薬品は細胞そのものが持つ多様な機能を活用し、体全体のバランスを整えることで治療につなげるアプローチです。
当社が開発する臍帯由来間葉系間質細胞は、免疫異常によって引き起こされる過剰な炎症を抑える免疫調整作用と、障害された組織の修復を促進する組織修復作用によって有効性を示すと考えています。免疫は本来、体を守るための仕組みですが、過剰に働くことで自らの組織を傷つけ、重篤な疾患につながることがあります。当社は、この“免疫の暴走”を抑え、傷ついた組織の修復を促すことで、これまで治療が難しかった疾患に対する新たな治療アプローチを提供しています。
さらに、臍帯という安定的に確保可能な原料を活用することで、品質のばらつきを抑えた再現性の高い細胞医薬品の製造が可能となり、加えて持続可能な供給体制の構築により、より多くの患者さんに届けることを目指しています。
臍帯を活かした持続可能な医療基盤を次世代へ
実現したいこれからの医療や社会の姿について教えてください
原田 :ヒューマンライフコードが目指すのは、臍帯という医療資源を活かし、持続可能な細胞治療が社会に根付いた未来です。まずは希少難治性疾患領域で細胞医薬品としての承認を取得し、確かなエビデンスと実績を積み重ねることで、社会からの信頼を確立していきます。その基盤のもと、小児・新生児疾患、加齢性疾患および自己免疫疾患へと展開し、誰もが歳を重ねるごとに楽しみな社会の実現に貢献していきます。
このような取り組みを通じて、細胞治療を誰もが当たり前にアクセスできる治療、すなわち標準的な治療モダリティーへと変えていき、次世代へと持続的につながる医療基盤の実現を目指します。
KDDI 山本- ★推しポイント★
ヒューマンライフコード社の魅力は、ただ新しい医療をつくっているというだけではありません。通常は捨てられてしまう臍帯という“命のバトン”を、未来の治療へとつなぐ発想力と、それを本当に社会実装しようとする行動力にあります。難治性疾患の患者さんにとって、治療の選択肢があるかどうかは人生の可能性そのものを左右します。ヒューマンライフコードは、その「選択肢」を増やすために、臍帯由来の細胞を使った細胞医薬品の開発を進め、すでに臨床の最前線で成果を積み重ねています。
さらに、世界中どこに住んでいても同じ品質の細胞治療を受けられるよう、国際的な製造・品質管理の標準化にも挑んでいおり、単なる医療開発ではなく未来の医療インフラそのものをつくる取り組みを図っています。患者さんの“今”だけでなく、“これからの人生”まで見据えた医療を本気で実現しようとしている同社に今後も目が離せません!
それでは次回もお楽しみに♪


