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2024年03月21日

テレビ東京との共催、登壇したスタートアップをご紹介/KDDI ∞ Labo3月全体会レポ

KDDI ∞ Laboでは毎月、オープンイノベーションに関わる∞Laboパートナーとスタートアップの共創をサポートする全体会を開催しています。3月に開催した会では、パートナーとして参加いただいている94社の方々と、スタートアップ6社が協業や出資などのきっかけを求めてテレビ東京第一スタジオの会場に集まりました。本稿では登壇した6社のうち、非開示の1社を除く5社のピッチステージの内容をお送りいたします。


めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
六本木グランドタワー 第一スタジオで開催されました。登壇していただいたスタートアップをご紹介します。

クールジャパンや推し活文化とのシナジーで世界を目指す空間音響技術「Re:Sense」

クレプシードラ 代表取締役 今誉氏

クレプシードラは、音の体験が人々の感情や生きる熱量に大きな影響を与えると考え、良質な音響体験を提供することを使命としている音響系スタートアップです。ソニーで12年にわたりAR/VRの音響研究に従事し、東工大で博士号を取得した今誉(こん・ほまれ)氏が東工大発ベンチャーとして2020年に創業しました。

同社の強みは、独自のハードウェアによる収録手法とソフトウェア処理を組み合わせた空間音響技術「Re:Sense」です。この技術により、人の気配感や方向感を再現し、まるでその場にいるかのような臨場感を生み出すことができます。これまでに人間の音の聞こえ方を再現するバイノーラル録音技術、独自の音質補正技術などで9件の特許を出願済みです。

Re:Senseの特徴は、手軽な収録と既存の2チャンネルステレオフォーマットやプラットフォームへの適用が可能な点です。これによりユーザーは新しい音響体験を手軽に楽しむことができます。同社はRe:Senseを活用し、音響体験のアップデートと新しい制作フローの確立を目指しています。

「Re:Sense」 イメージ

これまでに空間音響技術がよく使われてきたのはゲームや映画の音楽ですが、クレプシードラの空間音響技術はそれらに加え、手軽に利用できることからVTuberの音声コンテンツやボイスドラマなどのコンテンツ制作や、視覚障がい者が思い出を追体験できるサービスにも活用可能です。

実際にVTuber事務所と鉄道会社のコラボレーション企画の際には、車両内でRe:Senseで収録したVTuberの音声が放送され、「まるでキャラクターが隣にいるようだ」という感想も寄せられました。コラボイベント実施後のアンケートでは、91%の利用者が音声に「とても満足した」と回答したといいます。

映画音響で有名なドルビーは、ハリウッドをはじめスタジオが密集しているアメリカ西海岸に拠点を置き、映画という文化を中心に世界に広めていきました。当社では、Re:Senseと日本のアニメやVTuberの親和性の高さに注目しています。日本の文化を発信していく際に、人気コンテンツに載せる形でRe:Senseを世界に広めていきたいです。

今氏

「制作・開発会社ではなく協業会社」、ハローが切り拓くデジタル×IPビジネス

ハロー 代表取締役 赤津慧氏

ハローは、デジタル・バーチャル技術を活用してIPの収益最大化を目指す企業です。代表の赤津さんは、東京理科大学在学中の2014年に同社を起業しました。赤津さんは以前VRの研究者で、その頃には東京大学大学院でVRの第一人者である准教授・鳴海拓志氏監修のもと「VRが世界を変える これからの仕事図鑑」という書籍を執筆・出版しています。ハローの主な事業は4つです。1つ目のバーチャルプロダクション事業は、モーションキャプチャーやホログラム、AIなどを活用し、人間らしいリアルな動きをするVTuberを制作しています。ホログラムは3Dグラスを装着せずに、肉眼でバーチャル映像を楽しむことができるため、今後の成長が期待される技術です。

2つ目のデジタルプロダクト事業では、スマホアプリや音声技術などを駆使し、ファングッズの展開やファンコミュニケーション支援を、3つ目のIPプロデュース事業では、YouTubeやTikTokなどに新規参入したい芸能人やキャラクターをプロデュース、4つ目のイベントソリューション事業では、リアルやメタバースでのイベント開催をサポートしています。

「ハローの作品(一部)」 (ハローの web サイトから)

ハローは制作や開発会社ではなく、IPの収益化に主眼を置いた協業型の会社です。クライアントに対して、マネタイズ方法の設計からファンや消費者への展開、共同事業化、出資など、事業の成長戦略に適した柔軟なソリューションを提供します。IPをエンターテインメントやファッションなど、さまざまな業界の企業と連携できればと考えています。

赤津氏

2019年と2020年には、テレビ東京とVTuberを活用したテレビドラマを制作、当時はVTuber技術が黎明期だったので、「設計から手法の検討、制作まで全てを手掛けた(赤津さん)」そうです。これまでにNTTドコモ、テレビ東京、松竹などと協業したほか、有名IPのMR体験アトラクションの開発、美術館でのVRコンテンツの制作、キャラクターのアプリ開発など、事業実績は多岐にわたります。

ハローはIPビジネスを従来のキャラクタービジネスより広義に捉えています。今後は国内外で、エンタメやファッション、観光など、さまざまな業界とタッグを組み、デジタル×IPによる新規ビジネスの創出を加速させたいです。内容次第では共同事業化をさせていただいて、一緒に事業として成功に導くようなことも目指していきたい。

赤津氏

顧客の「小さな声」を収集・見える化、UX向上に繋げられる分析ツール「ホンネPOST」

はこぶん 代表取締役 森木田剛氏

はこぶんは「埋もれている心の声を流通させ、日本の事業創造力の底上げをする」をミッションに掲げたスタートアップです。顧客の声の可視化・分析からファンづくりのアフターコミュニケーションまで、一気通貫で実現する顧客コミュニケーションツール「ホンネPOST」を開発・提供しています。

代表の森木田さんは大手総合商社で新規事業開発や社内起業を経験する中で、VOC(=ボイス・オブ・カスタマー)の重要性を感じる一方、VOCを効率的に活用する手段が乏しいことに課題を感じ、2022年にはこぶんを設立しました。あらゆるビジネスシーンにおける非効率な顧客コミュニケーションをアップデートすることに取り組んでいます。

ホンネPOSTは従来のアンケートでは拾えない、顧客の小さな声や本音を見える化します。顧客は店舗やイベント会場などでQRコードを読み取り本音を投稿できます。考え抜かれた問いやシンプルなUIが特徴で、リアルタイムに回答されるような顧客接点を設計することで、顧客がサービスを体験した直後の声を収集することにこだわっています。

「ホンネPOST」 イメージ

VOCの重要性は右肩上がりに高まっています。商品やサービスが飽和状態にあるうえ、顧客のニーズが多様化している今、企業は小さな声に耳を傾け、寄り添うことで顧客体験の向上が必須になっているからです。

類似サービスと比べ、ホンネPOSTだと、現場の事前設計からアフターコミュニケーションまでワンストップでできます。「顧客のちょっとした声の可視化」には、特にホンネPOSTは強いと思っています。

森木田氏

「ホンネPOST」に投稿された声はテキストデータとして収集され、感情分析や数値化がされます。企業はそのデータをもとに、業務改善や新規顧客獲得につなげられます。また、匿名の投稿に対して返事をすることで、顧客に対するアフターコミュニケーションも可能です。これにより、顧客理解から収益向上までを一気通貫でサポートしています。

従来の顧客アンケートには課題があると考えています。一方的に質問されることによる調査感が強いうえ、大量の設問に答えなければならず、顧客の本音を取得しにくい構造です。ホンネPOSTを通じて、顧客の声を収集するだけではなく、企業が意思決定をするのに必要な分析や戦略の設計までをトータルで支援し、ビジネスをエンパワーしたいです。

森木田氏

高速検証で自社IPの勝ちパターン確立、Webtoon発で多メディア展開図るソラジマ

ソラジマ グロース部 クロスメディアチーム 加藤誠悟氏

ソラジマは、オリジナルWebtoon作品の制作スタジオ「SORAJIMA」やマンガアプリ「cosmic(旧称SORACOMI)」の運営を手掛けるスタートアップです。Webtoonとは、韓国発祥の縦読み形式のデジタル漫画のことで、市場規模は2021年の4,500億円から2028年には4兆円へと、大幅な成長が見込まれています。

Webtoon市場拡大の要因の一つは、一般的な漫画とは異なる制作体制にあります。1人の才能ある漫画家によって制作される漫画とは対照的に、Webtoonは編集者が脚本や線画、カラーリングの担当者をまとめることで制作されます。そのため、これまで漫画・アニメ市場に参入できなかったクリエイターも参加できることで、市場規模が拡大しています。

ソラジマは2021年からWebtoon市場に参入し、現在50作品以上を公開しています。ソラジマの作品の特徴はマーケットインと作家性の両立です。どんな作品が今の市場に受け入れられるのか?という戦略的思考と、クリエイターの作家性を最大限活かすための環境整備に注力しています。現在は、様々なジャンルでも勝ちパターン確立を目指しています。

「SORAJIMA」 イメージ

最近ではWebtoonの領域を超えた展開も広がりつつあり、縦型ショートドラマや地上波ドラマへの原作提供など、大きなIPへと育つ可能性のある作品が複数あります。今後は映像関連やグッズ展開など、IPビジネスの幅を広げていきたいと思っています。

加藤氏

事業展開の拡大について、ソラジマは現在2つのことに取り組んでいます。一つは、既にヒットしている作品の自社IPを提供しつつ、新たなメディア事業を立ち上げようというもの。具体的には、縦型ショートドラマの制作などです。また、他社と一緒に新たな作品を生み出す共同IPの開発・制作にも取り組んでいます。

ソラジマの競合優位性は、未経験者をWebtoon作品の編集者として育成し、ヒット作品を生み出すノウハウを確立している点です。短い時間で多くの作品を公開することで、人気が出る作品に関する仮説検証を高速で繰り返し、そこからいわゆる〝勝ちパターン〟が見えてきます。

IPをさらに増やしていく上で相当な打席数が必要になってくると思うので、今、人員をどんどん拡充している状況です。Webtoonには、低コストでヒットするIPの開発・検証ができる強みもあります。今後は単なる版権許諾ビジネスにとどまらず、Webtoon作品を他のメディアに展開するためのパートナーとして、企業と協業していきたいです。

加藤氏

生産性追求型リモートワークツールとは一線を画す、クリエイティブ思考を育む仮想空間「MEs」

O 代表取締役CEO a春氏

O(オー)はクリエイティブ思考を促進する新しいプラットフォーム「MEs(ミーズ)」を開発しています。代表のa春(アハル)さんは、AI時代においてクリエイティブ思考が最も重要なスキルセットとされる中、従来のコミュニケーションツールではクリエイティブ思考を十分に高められないという課題認識から、このプラットフォームを立ち上げました。

AI時代においては企画やアイデアといった0→1を生み出すクリエイティブ思考が重要性を増しています。一方、SlackやDiscordといった既存のチャットツールは生産性の向上に貢献するだけで、メンバー同士でクリエイティブ思考を高めるコミュニケーションができる空間にはなっていません。

そこで MEs は主に2つの機能を提供します。一つは、プロジェクトのアーカイブやナレッジがベースとなるデータフォルダーで、プロジェクトに関する情報がリアルタイムで視覚化され、メンバーがその内容を閲覧できます。もう一つは物理的な空間をバーチャル上に再現し、リアルタイムでのファイル共有や議論、プレゼンテーションなどが行えるコラボレーション体験機能です。

「MEs(ミーズ)」イメージ

世界がクリエイティブ思考への変化を求めている中で、弊社はクリエイターたちが、どうやったら、もっといいアイデアを思いつくようになるかを考えています。MEsを通じて、実際のビジネスの中に、よりクリエイティブな思考や、コラボレーション、コミュニケーションの要素を取り入れられるようにしていきたい。

今後は空気ではなく人を温めることによるエネルギーコストの抑制施策を、行政と連携しながら、推進していきたいです。

a春氏

MEsのサービスはフリーミアムで、マネタイズはプラットフォーム内のマーケットプレイスと、カスタム型のバーチャル空間構築サービスで行っています。実際に慶応大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)のデジタルツインを制作するなど、実績も積み上げています。

サービスの世界展開を目標に、グローバルかつ経験豊富なメンバーで構成されたチームで事業を進めています。今後は、マーケティング事業を加速させるバーチャル空間や、社員にクリエイティブ思考が醸成されるような空間作りといった事業を展開していきたいです。

a春氏

めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
各社のご紹介記事も公開しておりますので、お楽しみに~!

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