- インタビュー
2024年02月22日
Z世代男子「頭の中」大調査!SHIBUYA109 lab. 2023年トレンド総括“アラ20男子”の実態とは
- 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント
長田 麻衣 - SHIBUYA109 lab.所長
- 株式会社マンダム
小黒 卓人 - ブランドマーケティング一部 主任
SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.』は昨年11月、約400名の15〜24歳の男子を対象に実施した「2023年メンズトレンド調査」の結果を発表しました。さらに、メンズコスメブランド「GATSBY」と共同で「SHIBUYA109 lab.×GATSBY 男子白書2023」も公開しています。
今回の大賞は「ヒト」「アーティスト」「ファッション」「ゲーム」「コンテンツ」「体験」の6部門で決定。高校生・大学生による独自ネットワーク「SHIBUYA109 lab.MATE」の選定も含め、Z世代男子の熱い支持を受けたトピックスが多数登場しました。
ヒト部門では、WBCでの活躍もあり野球選手の大谷翔平が1位、アーティスト部門では、独特な振り付けが話題の新しい学校のリーダーズがトップに輝いています。ファッション部門ではY2Kスタイルやカーゴパンツ、ヘアスタイルがトレンド入りしました。ゲーム部門は多様なプレイスタイルやエデュテイメント性が注目され、コンテンツ部門はSNSでの拡散をきっかけにしたアニメ『【推しの子】』や『チェンソーマン』などが人気です。また、体験部門ではAIやオンライン体験がトレンドになっています。特に、ポケモンカードの開封動画やAIを用いたイラスト作成、ChatGPTを利用したライフハックが話題になりました。
本稿ではSHIBUYA109エンタテイメントでSHIBUYA109 lab.所長を務める長田 麻衣氏と、マンダムでブランドマーケティングを担当される小黒 卓人氏に、今回の調査で見えてきた「20代男子」の実態についてお話を伺いました。
発表されたSHIBUYA109 lab.メンズトレンド大賞2023
Z世代男子の生活実態を調査された中でどのような点が特徴的でしたか?
長田:関心事にゲームが入ってくるのは、男女で比較すると特徴的な部分にはなっています。女子もゲームはしますが、ランキングでいうと、上に来るのは美容やファッションがランキング全体の特徴的な部分になります。
資料:Shibuya109.lab / GATSBY 男子白書2023
男女の違いはありましたか?
長田:情報収集をSNSで行っているところは男女で変わりはないですが、男女で情報収集の違いがあります。例えば女子は、同性同士のコミュニケーションが多く、具体的な検索ワードが新しく出てきています。一方男子は同性間のコミュニケーションが少ないこともあり、例えば『男子ファッション』など検索内容がざっくりとしているところが単純に違うなと思いました。トレンド大賞の方に関しては、そもそも部門に関して女子と男子で異なるものを設定しており、ゲームに関心があるということで男子にはゲーム部門を作っています。一方、男女でも共通点があるアーティストや人・ファッションに関しては、ランキング上では大きな違いは見られず、男女いずれもショート動画を起点にトレンドが生まれたりしている点にその影響を感じます。
インフルエンサーは男女で若干違っており、男子だと『あめんぼぷらす』と『ぐんぴぃ(春とヒコーキ)』さんなど、親近感のある人に票が集まること、またスポーツ選手がランクインすることが特徴でした。ちなみにファッションもY2Kが男女ともにトレンドになっています。
具体的な男女の違いは何ですか?
長田:男女両方に体験部門を設定していますが、女子はやはりカフェや、オフラインの場所に行き、何か『映える』を起点にしたコミュニケーションを生むような体験がノミネートに多く出てきました。一方、男子に関しては『1人で楽しめる体験』というのが多く出ていて、上位になったのは『ChatGPTライフハック』や『AIイラスト生成』など、みんなで楽しめるけど、どちらかというと1人で黙々と楽しめるような、トレンドが多く出てきました。
男女で違いが出てくる要因はどのようなことが考えられるのでしょうか?
長田:女子はいろんなテーマで情報交換をしているので、そこからトレンドのサイクルが早く回ります。男子は割と1年に1回見ておけばみんなのトレンドがわかるぐらいのタイムラインで情報交換をしているので、そこが差になって出てきていると思います。
Z世代男子「美容」の特徴について教えていただけますか?
小黒:Z世代男子にとっては清潔感が重要な要素になっている点です。『どう見られたいか』という調査でも、実は清潔感があることが一番高く出てきています。年代が若くなるほど、清潔感を重視しているようです。『清潔感ってなんぞや』みたいなところですが、特徴的だと思ったことは、ムダ毛の処理です。脱毛したいと考えてる人たちが増えてることは我々の方でも注目しています。
資料:Shibuya109.lab / GATSBY 男子白書2023
コロナ禍の影響もあったのでしょうか?
小黒:コロナ禍で、サークルなどの活動ができなくなり、おうち時間が増えるなど、家の中で鏡を見る機会が増加しているところが一つの変化としてあると思います。また外に出るにしてもマスク着用が当たり前だったので、着用によってマスクによる肌荒れが起きました。そうした観点から、スキンケアの意識はコロナ禍で高まっている傾向があると捉えています。
コロナ後は、外に出る機会が当たり前になり、これまで通りサークルや人と接する機会は増えてきました。特にマスクを外すことで、口周りがより表に出てくるようになり髭に対する意識が高まっていると捉えてます。髭剃りにとどまらず『髭脱毛』までしたいというように、髭への意識がより増えているのではないかなと思います。
長田: 人間関係に対する考え方がすごい変化してるなと思っています。外出制限や友達関係がかなり限定された3年間があり、浅く広く友達をどんどん作っていくというよりも『気の知れた仲間と良い時間を過ごせればいいや』みたいなところに落ち着いている感じがあります。
コロナを経て、外出もできるようになったけど、そこの感覚が変化していないところは結構あると思っています。メンズトレンド大賞には入らなかったのですが、BeRealなど少ない友達と共有するSNSがトレンドになっており、今までのSNSみたいに多くの人と何かを共有するよりも、気の知れた友達と自然体な自分を共有できればいいという意識が出てきています。人間関係の部分は割と時代や生活の変化として捉えられると思っています。
マーケティング観点でZ世代男子向けにはどうのようなアプローチ方法が効果的でしょうか?
小黒: 美容の情報収集元のところを見ると、昔みたいにテレビなどのマス広告というよりは、YouTubeやSNSなど女子の友人や家族の口コミみたいなところがあります。一方で昔みたいに、誰か芸能人とか有名人などの、憧れのかっこいい人に対して『その人になりたい』といった部分は今の時代は少なくなってきていると思っています。
大々的な広告で打つやり方は、彼らにとってはマッチしないと思います。実際に家にテレビがない方もZ世代にはいますので、SNSの観点からはインフルエンサーを起用するやり方や口コミでアプローチしていく方が、今の時代にはマッチしているかなと思ってます。
長田:今の男子は以前と比べてかっこいいの定義やモテるの定義がすごく変わっています。そこは大人や企業側がしっかりと理解できてるのかは少し疑問の部分です。だからこそ王道ではありますが、定義が変わってきている言葉に対してちゃんと生の声に向き合っていくという姿勢が、より大事になってくると思っています。
小黒さんの話にもリンクしますが、本当に細分化・多様化しておりZ世代の男子と言っても、本当にいろんな子たちがいます。消費の傾向についても同じで、美容も男子がお金をかけるようになっています。また、好きな趣味や同じ価値観を持っている人たちの中だけで、価値観を共有し合って楽しむといった消費はどんどん増えてきています。「界隈消費」と私は呼んでいますが、一つ一つの細分化している界隈の熱量をちゃんと捉えて、マーケティング活動に生かしていくことがすごく大事になってくると思っています。
Z世代と言っても男女での違いをはじめ、それぞれの界隈ごとの特徴があったりと、一言では表現できない世代なのですね!興味深いお話をありがとうございました!
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