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2022年03月07日

仕事に夢中になれる人を増やしたい - ウォンテッドリー 仲暁子氏

KDDIはこの度「KDDI ∞ Labo」立ち上げから10周年の感謝を込めて、書籍「スタートアップス -日本を再生させる答えがここにある-」を出版することになりました。MUGENLABO Magazineでは特別に、書籍の掲載内容の一部を切り出してご紹介していきます。


はじめに

第2章「過去10年にスタートアップが引き起こした変革」として上場、M&Aなどの形でエグジットした8社のトップが、これまでの10年にそれぞれの領域で起こした社会の変革について語ってもらいます。今回はその中でもウォンテッドリー 代表取締役CEO 仲 暁子 氏のインタビューの一部を特別にご紹介いたします。

インタビュー風景

仕事に夢中になれる人を増やしたい

起業のきっかけ“仕事の面白さ”を感じるために

元々、学生時代に起業経験があり、〝仕事の面白さ〞を強く実感しました。大学卒業後にはいったん大手企業に就職したのですが、そこでは企業の歯車の1つになったような感覚に陥ったのです。企業にとっては普通のことなのでしょうが、私は学生時代に匹敵するような仕事の面白さを感じることができませんでした。気が付けば、私の周りの同期や学生時代の友人なども、仕事に面白味を感じていない人間が何人もおり、そういった状況を「本当にもったいない」と感じるようになりました。仕事そのものが目的となり、そこに向かって夢中になれるような人を増やしたいと考えたのが、現在の事業につながっています。

ピボットしながら現在の形に

とはいえ当初から、現在のWantedly Visitのようなプロダクトを想定していたわけではありません。何度もピボットした経験もありますし、企業として成長するなかで組織の形なども変わっていきました。最初に考えたのは、Web上の人間関係や結びつきのデータベースであるソーシャルグラフを活用したFacebookのようなプロダクトです。従来のWebサイトが北海道の主婦でも米国の学生でも、全く同じ内容を表示するのに対して、ソーシャルグラフを採用したFacebookは利用するユーザーによって示すコンテンツが異なります。画期的だと感じ、これを生かしたものを作りたいと考えました。

米国にQuora(クォーラ)という実名制のQ&Aプラットフォームがあり、ユニークなプロダクトだと感じていました。私は、ソーシャルグラフと実名制を生かしたQ&Aサイトをつくって、これまでとは異なる新しい体験をユーザーに提供したいと考えたのです。Q&Aサイトというのは仕組みとして質問者と回答者の2つのグループに分かれるのですが、しっかりした質問が増えないと、質の高い回答が生まれません。プロトタイプを作り、知り合いに使ってみてもらったところ、「何を質問したらいいのかがわからない」といった意見が多かったのです。そこで質問の枠を限定し、「自分の兄弟が家庭教師を探しているので、誰かやってくれませんか」といった具合に、人に関する質問に絞ろうと決断しました。さらにいくつかの変遷を経て、いまのWantedlyが形作られていきます。

成長の軌跡 採用にフォーカスし事業的に成長

2011年末にβ版をリリースしたのですが、いわゆるインフルエンサー的なユーザーを初期に獲得できたことやWebメディアに取り上げてもらったことなどもあり、思った以上にユーザー数が伸びました。ただ、多くのユーザーが利用してくれてはいたものの、
当時はまだ明確なビジネスモデルがありませんでした。2012年に公式リリースしたタイミングでも、人が人を探すというコンセプトが中心だったため、採用以外のさまざまなカテゴリーの質問が寄せられていました。例えば、「週末のイベントに参加する仲間を探したい」といった感じです。

さまざまカテゴリーの中から質問数が増加傾向にあった採用に着目し、フォーカスする流れになります。米国のビジネスSNSであるLinkedInの存在もヒントになりました。採用にはフォーカスしましたが、最初からこうすれば成功するという仮説があったわけではありません。暗中模索に近い状態で採用の事業を始めた部分もあったのですが、半年ぐらいすると「Wantedly を使って良い採用ができた」という事例が生まれ、利用が広がっていきました。

IT企業のプロダクトは大きく分けて2種類あります。一つはFacebookやGoogleのようなB2C向けのものです。もう一方はB2B系に多い業務フローを円滑にするもので、有料化しやすくある程度までの成長は見込みやすい。ただ起業家、特に若い起業家は夢のある前者に引かれます。成功すれば社会に大きなインパクトを与えられますから。私もすごいものを作りたいという思いがありました。強力なプロダクトは生み出しましたが、FacebookもGoogleもビジネスモデルありきではありません。インフラのように使われる存在になって、後からビジネスモデルがついてきました。そういうモデルを目指していました。

めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
仲さんが語るこれからの10年とは何かが気になりますね。
続きは書籍「スタートアップス -日本を再生させる答えがここにある-」にてご覧ください!

「スタートアップス -日本を再生させる答えがここにある-」書籍概要

次の10年で、日本が世界での競争力を再生させていくうえで不可欠となる、スタートアップと大企業による事業共創がどのような変革をもたらすのか、過去10年で日本経済に影響を与えてきたスタートアップ企業トップへのインタビューを通じて明らかにする。
更に日本を代表するベンチャーキャピタル(VC、CVC)71社への調査を実施。ESG関連企業への投資意欲について分析するとともに、VC、CVC各社が推薦する有力スタートアップ92社をリストアップ。どのようなスタートアップたちが日本経済の再生をリードしていくのか、示唆を打ち出す。

目次

  • 第1章「日本のイノベーション、これからの10年 スタートアップと大企業の共創で実現」

対談:SHOWROOM 前田裕二氏/小学館 畑中雅美氏/KDDI ∞ Labo 中馬和彦

  • 第2章「過去10年にスタートアップが引き起こした変革」

上場、M&Aなどの形でエグジットした8社のトップが、これまでの10年にそれぞれの領域で起こした社会の変革について語る
◆ソラコム 玉川憲氏
「スウィングバイIPOでグローバルIoTプラットフォームを目指す」
◆ウォンテッドリー 仲暁子氏
「仕事に夢中になれる人を増やしたい」
◆ラクスル 松本恭攝氏
「インターネットとソフトで仕組みを変え産業のムダをなくす」
◆BASE 鶴岡裕太氏
「ロングテール対象にECを民主化」
◆マネーフォワード 辻庸介氏
「FinTechはこれからが面白い」
◆ビザスク 端羽英子氏
「エキスパートネットワークサービスを日本に定着」
◆オイシックス 高島宏平氏
「ECでサステナブルな食を届ける」
◆ビジョナル 南壮一郎氏/mediba 江幡智広氏
「今の日本には伸びしろしかない」

  • 第3章「VC・CVC ESG関連スタートアップ投資動向調査」

8割超が重要テーマに挙げるが、リターンは未知数。日本のVC、CVC 71社のスタートアップへの投資方針、ESG分野の投資に対する意識などを独自調査から明らかにする

  • 第4章「ESG関連有望スタートアップス VC、CVCが選んだ92社」

ESGの視点を意識しつつ、これからの10年で日本を変える可能性のある92社の有望スタートアップを紹介

Amazon-スタートアップス 日本を再生させる答えがここにある
https://www.amazon.co.jp/dp/4296110462/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_QT0RYMWY70JF6CJA8WY9
日本のスタートアップと大企業の共創がこれからの10年を創る

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