小泉氏に伺いました

何をしている会社ですか？

小泉：当社は「先進性」「多様性」「地域密着」を掲げる損害保険会社です。先駆けて補償前後の価値提供に取り組んでまいりました。その代表例が「テレマティクス自動車保険」です。お客様が安全運転をするほど得をする新しい保険を作り出し、事故の低減と迅速な事故対応を実現いたしました。そこからCSV×DXを掲げ、デジタルの力で社会との新しい価値を創造することを目指しています。単に保険を提供するだけでなく、保険以外の事業を展開することでお客様に対し安心・安全を提供する会社へと変化しようとしています。

CSV×DX…最先端・独自の技術やデジタル・データの活用、特色あるパートナーとの協業により、お客様・地域・社会が真に求める新たな価値を提供していき、社会課題・地域課題の解決に取り組むこと。

これまでのオープンイノベーションの取り組み事例は？

小泉：オープンイノベーションを通じて、他社が有する新たな技術や知見を、当社のアセットと融合させることでCSV×DXを実現しています。またスタートアップとの事業共創だけでなく、数々の大学と産学連携による社会・地域課題の解決に資するR&Dに数多く挑戦しています。また、CVC機能も有しており、事業共創の促進のため、これまで45社のスタートアップ等に対し出資を行ってまいりました。また当社は自治体との連携協定を強めており、自治体や住民の抱える地域課題をオープンイノベーションによって解決する取り組みを推進しています。

御社の課題は何ですか？スタートアップのみなさまへ求めていることは何ですか？

小泉：当社は以下の重点5領域を掲げています。

• 事故の無い快適なモビリティ社会
• レジリエントなまちづくり
• 気候変動の緩和と適応
• 元気で長生きを支える社会
• 未知のリスク、新しいリスク

コンシューマー領域では、健康やウェルビーングに注力したいと考えています。また、当社は中小企業と共に成長してきた企業であり、法人領域では人手不足への対応を進めていきたいと考えています。人手不足はどの業界にも共通する社会課題であり、従来の「人員補充」のアプローチから、社会全体で進行する人手不足に対しては「省人化」のアプローチが必要です。スタートアップには、当社の主要顧客である個人や中小企業のウェルビーングや成長を支えるサービス・ノウハウの提供を期待しています。また、これらの領域に当てはまらない企業であっても、不確実な世の中で課題を抱える顧客と向き合う姿勢を持つスタートアップとは、共に成長できる関係を築けると考えています。

スタートアップへ御社から提供できるアセットはありますか？

小泉：当社は「テレマティクス自動車保険」のパイオニアであり、180万台以上の自動車から得られたテレマティクスデータ（走行履歴・運転挙動など）を持っていることが強みです。また、「地域密着」を経営指針に掲げており、全国に跨る支店・代理店ネットワークや500を超える地方公共団体との連携協定があります。

最後に一言お願いします

小泉：私たちは、保険会社の枠を超えて、社会全体の課題—特に負の側面—を解決していきたいと考えています。人口減少が進む中、保険業界も大きな変革を迎え、選ばれる企業とそうでない企業が明確に分かれる時代が来るでしょう。だからこそ、多様な価値観が交錯する現代において、私たちは「最大多数の最大幸福」を実現するために、社会全体に貢献し続ける使命を持っています。

さらに、当社はスタートアップの皆様に対して、私たちが培ってきた知見やリソース、ネットワークといったアセットを開放し、共に成長できる機会を提供します。新しい価値を生み出すために、私たちの強みを最大限に活用し、未来の社会課題に立ち向かう力強いパートナーシップを築いていきたいと考えています。