- インタビュー
2024年01月19日
【メタバース×カラオケ】KDDIとエクシングが提携!担当者が語った「カラオケボックスαU」実現までの苦労と興奮
- KDDI株式会社
若林 徹 - 事業創造本部 Web3推進部
- 株式会社エクシング
村瀬 範彦 - 商品企画部 企画戦略G グループ長
αU metaverseは、KDDIが運営するメタバースサービスで、ユーザーがアバターを操作してバーチャル空間を移動しながら様々な体験ができます。体験の1つとしてαU metaverseでは、2023年10月24日~2024年1月23日の期間限定で「カラオケボックスαU」を展開しています。
このサービスでは、通信カラオケ「JOYSOUND」を運営する株式会社エクシング(以下、エクシング)との提携により、ユーザーが人気楽曲100曲を楽しむことができます。歌唱時はキーの調整や音程のチェックが可能なほか、採点機能搭載により参加者同士でスコアを競い合うことも可能です。カラオケボックスαUを始めることになった背景について、このプロジェクトを担当されているエクシングの村瀬さんとKDDIの若林さんにお話を伺うことができました。
カラオケボックスαUを始められた経緯を教えてください。
若林:メタバース空間の中で遊べる機能やインタラクション機能が不足しており、メタバースでどうやって遊ぶのか、どのような価値を提供するのかが課題でした。そこでお付き合いのあったエクシングさんにお声掛けさせていただき、提携が始まりました。
カラオケボックスαU 利用イメージ
KDDIからのオファーを受けて、エクシングさんは社内でどのような議論がありましたか?
村瀬:今から2年ぐらい前にKDDIさんとディスカッションする機会があり、そこで「こんな世界があったらいいよね」と話したのが出発点です。元々、KDDIさんとは本件以外でもいろんな取り組みをご一緒させていただいた経緯があります。
当社のカラオケというリアルの場でのエンターテインメントとKDDIさんのメタバース構想を融合したリアル×デジタルの今までにない新たなエンターテインメントを一緒に作るところからアイディア検討が始まりました。これまでに、ハロウィーンフェスなど、目指すビジョンを3次元的に再現したトライアルをご一緒させていただきました。その後、KDDIさんのメタバースサービスが正式に立ち上がったタイミングで、メタバースでカラオケを楽しむコンテンツから進めていくことになりました。
カラオケの機能をメタバースに追加する上で、課題はありましたか?
若林:端末のスペックが追いついていなかったことです。もう一つは、音声同期をモバイル端末で、かつ3D空間でやるという難しさがありました。後者についてはトライアンドエラーを繰り返し、カラオケサービスとして提供できるような状態に持っていきました。
村瀬:メタバースのカラオケをやりましょうとお話をいただいたのですが、KDDIさんがお使いになられている開発環境にあったカラオケのエンジンがその時点ではありませんでした。まずは、そこを開発しなければいけないのが最初の課題でした。
開発にはつきものですが、カラオケを再生するためのエンジンに不具合が見つかったり、なぜかこの曲だけおかしいみたいな想定外の事態が起きましたが、スケジュールが遅延する中、調整しながら製品化に向けて一つ問題を潰し、リリースまで漕ぎ着けることができました。
カラオケボックスαU 受付イメージ
カラオケボックスαUが始まってから、社内やお客様からの反応はいかがでしたか?
若林:ポジティブな反応を頂いています。これまで、メタバース上で様々なイベントやコンテンツを実施してきましたが、コンテンツ毎にユーザーが分断されている状況でした。カラオケが入ったことで、配信コンテンツ目的で利用される方、ファンとの交流の場として利用する方、純粋にカラオケを楽しまれる方が交じり合うようになりました。「会いたい人と気軽に会える、話せる」サードプレイスに近づけたのではないかと思います。
村瀬:実際に体験してみた感想としては、デジタル内でのコミュニケーションサービスに対し、リアルな場でのコミュニケーションを演出するような体験が得られるという印象があり、面白い価値提供が出来たと思っています。
メタバース空間の移動イメージ
今後、挑戦していきたいことはありますか?
若林:カラオケを軸としたイベントを実施したいです。まだまだ課題は山積みですが、配信活動をされているユーザーやファンの方に楽しんでいただけるようなものを提供したいです。
村瀬:弊社の業務用カラオケと連携ができると面白いなと思っています。そして、リアルとデジタルを繋いで楽しんでいただく唯一無二の新体験の実現をKDDIさんとご一緒させていただきたいと思っています。今回、我々はSDKを提供させていただいたのですが、それ以降の組み込みに関しては、ほぼお手伝いしていないので、カヤックさん(αU metaverseの開発担当)の技術力が優れており、描いた構想を本当に実現できたのは本当にすごいなと思っています。
今後の展開で関心を持ってるのは、メタバース上で何かしらの経済圏を作っていく際に、カラオケとしてどのようにアプローチができるかということです。カラオケもコミュニケーションツールの一つだと思いますので、そこに提供できる価値に対して、より広がりを持ったサービスとしてご協力できればと思っています。もう一つは、リアルやバーチャル関係なしに、様々なところから参加できる、今までにない新しいエンターテイメントを一緒に作っていきたいと思っています。