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2026年05月22日

ゼネコンとテレビ局が「宇宙」で何をする?――MUGENLABO UNIVERSE at SusHi Tech TOKYO 2026

2026年4月27日〜29日、東京ビッグサイトで開催されたアジア最大級のグローバルイノベーションカンファレンス「SusHi Tech TOKYO 2026」。スタートアップとの協働に取り組む大企業がステージ登壇・商談・展示を行う「TIB CATAPULT Open Innovation Area」にて、KDDIが運営する宇宙共創プログラム「MUGENLABO UNIVERSE」のクラスターピッチセッションが開催された。

セッション前半では、KDDが代表企業としてMUGENLABO UNIVERSEの全体像と成果を紹介。続く後半では、同プログラムの参画企業である株式会社フジタ(以下:フジタ)と日本テレビ放送網株式会社(以下:日本テレビ)の2社が登壇し、それぞれの宇宙領域における取り組みをピッチした。


KDDIが語る「MUGENLABO UNIVERSE」とは

プログラムの全体像と立ち上げ背景

セッションの冒頭、KDDIオープンイノベーション推進本部の高井氏が登壇し、MUGENLABO UNIVERSEの概要を紹介した。MUGENLABO UNIVERSEは、KDDIが2024年に立ち上げた宇宙共創プログラムであり、東京都のイノベーション支援事業「TIB CATAPULT」にも採択されている。

数字で見るMUGENLABO UNIVERSEの実績

KDDIの高井氏は、プログラム開始以降の実績を以下のように紹介した。

  • 宇宙スタートアップとの接点:約300社
  • ビジネスマッチング実績:約100件
  • 協働・協業に至った企業:15社

単なるマッチングにとどまらず、協業フェーズまで伴走する支援モデルであることが強調された。

KDDI 高井氏

プログラムで生まれている具体的な取り組み

プログラムの具体的な取り組みとして、以下の事例を紹介した。

  • 高精度なデジタルツイン構築:宇宙空間や衛星データを活用し、デジタル上に宇宙物理現象を再現する技術開発をサポート
  • 宇宙バイオ実験ユニット:宇宙バイオ実験プラットフォームを活用した新規事業創出のサポート
  • ネットワーキングイベント:各回約100社が参加する大規模な交流会を定期開催

MUGENLABO UNIVERSEの役割を「宇宙を『自分ごと』にするための入口」と位置づけ、宇宙に興味を持つがどう踏み出せばいいかわからない企業を、スタートアップとの出会いから協業まで導くプラットフォームであると語った。

参画企業によるピッチ——フジタと日本テレビの挑戦

KDDIによるプログラム紹介に続き、MUGENLABO UNIVERSEの参画企業であるフジタと日本テレビの2社が登壇。それぞれの事業領域から宇宙技術をどう活用しているかが語られた。

フジタ 比佐氏

フジタ:建設業から宇宙へ踏み出す挑戦

衛星データを活用した顧客提案のブラッシュアップと災害対応

大和ハウスグループのフジタから登壇した比佐氏は、2024年のMUGENLABO UNIVERSE参画以降の取り組みを報告した。

フジタでは、日本国外の建設現場を対象に、衛星データを活用した洪水・浸水リスク分析等による施工計画やリスクマネジメントのブラッシュアップによる提案の高度化を検討している。昨年度は、東京都の「グローバルイノベーションに挑戦するクラスター創成事業(TIB CATAPULT)」に採択され、Ridge-i社およびSpaceBlast社と共同で取り組みを進めた。

また、広島大学と共同でSAR衛星データの実証実験にも取り組んでおり、2024年に発生した能登半島地震の復旧工事現場を対象に、SAR衛星データを活用した被災状況把握の実証を実施した。その結果、天候や時間帯に左右されないSAR衛星の特性を活かし、広域かつ迅速に被災状況を把握できる可能性を確認した。

宇宙スタートアップへの戦略的投資

大和ハウスグループとしても大和ハウスベンチャーズ株式会社が小型SAR衛星コンステレーションを開発するSynspective社へ出資。建設業が宇宙スタートアップに投資する先進事例として注目を集めている。

宇宙技術の建設分野への応用に関する示唆

比佐氏は、宇宙技術の建設分野への応用可能性について、次のような着眼点を共有した。

  • (宇宙環境に近い)極限環境下における施工技術
    例:酷暑・極寒、高放射能、高所・山岳地帯、災害現場、遠隔・立入困難環境等での作業員負担軽減
  • GNSS、SAR、衛星通信等を活用した建設現場の高度化
    例:重機の自律運行・自動施工、広域監視、遠隔施工等

また、宇宙関連スタートアップとの対話を通じ、以下のような建設分野への応用可能性についても示唆が得られたと述べた。

  • 宇宙服技術の作業着への応用
  • 光学衛星等のカメラ技術(高精細化・ハイパースペクトル)を活用した現場確認
  • 宇宙ステーションにおける水等の資源循環利用技術の建設現場への応用
  • 宇宙空間での利用を想定した次世代エネルギー技術の、大規模電力需要を有するデータセンター等への活用可能性

日本テレビ:メディアだからこそできる「宇宙の届け方」

エンタメと報道の両面で取り組む

続いて登壇した日本テレビの加藤氏は、「宇宙を次の10年の主役に」というビジョンのもと、エンタメと報道の両面から宇宙領域に取り組んでいることを紹介した。

日本テレビ 加藤氏

ロジック・アンド・デザイン社との協業:衛星画像を“報道映像”に変える技術

1社目の協業先は、衛星画像の鮮明化技術を持つロジック・アンド・デザイン社。同社の技術は衛星画像の解像度を飛躍的に向上させるもので、報道映像として実用可能なレベルにまで引き上げることができる。

加藤氏は以下の活用実績を紹介した。

  • ロサンゼルス山火事:衛星画像を鮮明化し、延焼範囲や被害状況を把握
  • 北朝鮮駆逐艦の進水式:衛星画像を鮮明化し、報道映像として放送
  • 監視カメラ映像の鮮明化:衛星以外の用途への技術展開

amulpo社との協業:体験型宇宙教育による裾野拡大

2社目は、体験型の宇宙教育コンテンツを提供するamulapo社。日本テレビは同社と協業し、子どもから大人まで宇宙を身近に感じられる体験を届けている。

代表的な実績が、日テレ本社のある汐留で開催された「汐留サマースクール」である。amulapo社の宇宙体験コンテンツを導入した同イベントには約4万人が来場。現在は自治体への展開も進めており、宇宙教育コンテンツの全国展開を見据えている。

加藤氏は、メディア企業の強みである「届ける力」と「場づくり」のノウハウを活かすことで、宇宙産業の裾野拡大に貢献していく姿勢を示した。

まとめ——非宇宙企業の参入を後押しする「ハブ」としての役割

ゼネコンとテレビ局——一見宇宙とは距離がありそうな2社が、MUGENLABO UNIVERSEを通じてスタートアップと出会い、具体的な協業を進めている。重要なのは「宇宙のために宇宙をやる」のではなく、自社の事業課題を解く手法として宇宙技術を活用している点だ。
MUGENLABO UNIVERSEのようなハブ型プラットフォームがその入口を用意することで、宇宙産業の裾野は着実に広がりつつある。

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