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2026年07月15日

フュージョンエネルギーを国家プロジェクトから産業へ。Starlight Engineが担う“実装のハブ”

Starlight Engine株式会社
菊地 清貴
代表取締役社長CEO

KDDIは、AIやDeep Techなどの領域における有望なスタートアップ企業との新たな事業共創を目的としたコーポレートベンチャーファンド「KDDI Open Innovation Fund Ⅴ」を通じて、フュージョンエネルギーの社会実装を目指すStarlight Engineに出資しました。


代表取締役社長CEOの菊地 清貴氏に伺いました

事業概要とStarlight Engineの強みを教えて下さい

菊地 :Starlight Engineは、フュージョン(核融合)エネルギーの実現に取り組むスタートアップ企業です。
「POWERING the FUTURE」をビジョンに掲げ、人類および地球規模で未来に必要なエネルギーを創出し、人類の可能性を広げていくことを目指しております。

フュージョンエネルギーは、水素などの軽い原子が融合する際に生じる膨大なエネルギーであり、これを発電や水素製造などに活用します。海水由来の燃料を使用し、発電過程においてCO2を排出しないことから、クリーンエネルギーとして期待が寄せられています。当社では、この実現に向けて、産学連携による発電実証プロジェクト「FAST」を推進しています。
FASTはフュージョンエネルギーによる発電実証を目的としたプロジェクトであり、将来的な社会実装を見据えて取り組んでおります。

この人類未踏の領域に挑戦するためには、強固な組織体制が不可欠です。当社は、グループ会社である京都フュージョニアリングの確かな技術と知見を基盤とし、大規模プロジェクト推進の実績を有する経営陣、多様な専門性を持つ人材によって構成されています。

また、国内有数の研究者や産業界との連携により、スタートアップでありながら高い専門性と実行力を発揮できる体制を整えています。

京都フュージョニアリングからスピンオフする形で、なぜ別法人「Starlight Engine」を立ち上げたのでしょうか?

菊地 :フュージョンエネルギーの実現には、国家規模での取り組みが不可欠であり、その中核的な役割を担う企業としてStarlight Engineを設立しました。
フュージョンエネルギープラントの建設および運用には、多様なステークホルダーとの連携が必要であり、産業界、学術界、さらには国を巻き込んだ推進体制が求められます。
当社はそのハブとしての役割を担うことを目的としています。

一方、京都フュージョニアリングは、フュージョンエネルギープラントに不可欠な周辺技術に強みを有し、すでに確立されたビジネスモデルのもと事業を展開しています。
同社はFASTプロジェクトにも参画し、技術開発・高度化を担っています。
Starlight Engineが産業界・学術界との連携を主導しプロジェクト全体を推進し、京都フュージョニアリングが技術面を支えるという両輪体制により、フュージョンエネルギーの早期社会実装を目指しています。

貴社が「トカマク方式」を採用した理由は何ですか?

菊地 :フュージョンエネルギーの生成には複数の方式が存在し、世界各国でさまざまな研究開発が進められています。
その中でもトカマク方式は、最も研究の蓄積が進んでいる方式であり、国際熱核融合実験炉(ITER)や日欧共同プロジェクト「JT-60SA」をはじめ、米国・中国・英国などの主要プロジェクトでも採用されています。
また、性能面においても実績が豊富であり、最初にフュージョンエネルギーを実現するならトカマク方式に優位性があると認識されています。

さらに、世界的に開発競争が加速する中、トカマク方式を採用する民間企業や国家プロジェクトが先行して進展している一方で、日本国内には民間によるトカマク方式のプロジェクトが存在しませんでした。
2030年代の発電実証が重要な目標とされる中、民間企業の機動力を活かし、最も実現性が高いとされるトカマク方式を採用することが合理的であると判断し、FASTプロジェクトにおいてトカマク方式を選択しました。

プラントイメージ①

今、大企業に「ぜひこういう形で関わってほしい」と期待していることは何ですか?

菊地 :フュージョンエネルギーの実現には、国家規模での取り組みに加え、産業界全体が一体となることが不可欠です。
大企業に限らず、中小企業や高度な技能を有する技術者を含め、多様なプレイヤーが連携することが求められます。

その上で大企業の皆様は、各分野の最前線において培われた推進力、高い専門性、豊富なリソースを有しており、これらは設立間もないスタートアップにはない強みです。
特にサプライチェーンの構築や産業化を進める上で、産業界を牽引する大企業の役割は極めて重要です。
当社は、フュージョンエネルギー開発に伴うリスクを担いながらイノベーション創出に取り組んでまいりますので、産業界の皆様には多様な形でのご支援・ご参画を期待しています。

KDDIとはフュージョン産業の発展においてどんな接点や協業余地があるとお考えですか?

菊地 :フュージョンエネルギーの研究開発には、高度なシミュレーション、大規模計算、高速なデータ処理が不可欠です。
これらはKDDI様が強みとされる領域であり、その知見をお借りするような協業の可能性があると考えています。

また近年では、フュージョンエネルギーによって生み出される電力の活用を見据えた連携が世界的に進んでいます。
KDDI様は中期経営戦略「Power-to-Connect 2028」において、異分野融合による価値創造手法「Fusion」を提唱され、ローソンなどのリアルな場でのAI活用による暮らしや体験の変革などを掲げておられます。
私自身、三菱商事在籍時にローソンの社外取締役として生活者の目線で新たな価値創造を追求した経験から、リアルな場とテクノロジーが融合していく「Real-Tech Fusion」という考えに強く共感しています。

一方で、AIのさらなる活用には電力需要の増加が伴います。こうした需要に応える手段の一つとして、フュージョンエネルギーを現実の選択肢としてご認識いただき、将来の実装を見据えた多様な連携について議論・検討を進めさせていただきたいと考えています。

プラントイメージ②

今後の展望を教えてください。

菊地 :まずは2030年代における発電実証の実現に向け、FASTプロジェクトを着実に推進してまいります。
そのためには技術開発の加速が不可欠であり、引き続き産業界および学術界との連携を強化し、プロジェクトへの参画者の拡大を図っていきます。
同時に、Starlight Engineとして組織基盤の強化も重要であるため、採用活動を積極的に進め、より強固な体制の構築を目指します。

また、フュージョンエネルギープラントの社会受容性を高める取り組みも一層重要となります。
地域共創に積極的に取り組まれているKDDI様をはじめ、投資家やステークホルダーの皆様の知見も活用しながら、フュージョンエネルギーに対する正しい理解の醸成に向けた発信を強化していきたいと考えています。

そして「私たちが、フュージョンエネルギーを実現する」というミッションを達成するべく、メンバー一丸となり尽力してまいります。

Starlight Engineの皆様

株式会社Starlight Engine
https://sle.energy/
フュージョンエネルギーの社会実装を目指す

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