1. TOP
  2. インタビュー
  3. エキスパートネットワークサービスを日本に定着 - ビザスク 端羽英子氏
  • インタビュー

2022年03月04日

エキスパートネットワークサービスを日本に定着 - ビザスク 端羽英子氏

KDDIはこの度「KDDI ∞ Labo」立ち上げから10周年の感謝を込めて、書籍「スタートアップス -日本を再生させる答えがここにある-」を出版することになりました。MUGENLABO Magazineでは特別に、書籍の掲載内容の一部を切り出してご紹介していきます。


はじめに

第2章「過去10年にスタートアップが引き起こした変革」として上場、M&Aなどの形でエグジットした8社のトップが、これまでの10年にそれぞれの領域で起こした社会の変革について語ってもらいます。今回はその中でもビザスク代表取締役CEO 端羽 英子 氏のインタビューの一部を特別に本記事にてお見せいたします。

インタビュー風景

エキスパートネットワークサービスを日本に定着

起業のきっかけ自分の力で何かを成し遂げたい

最初から起業ありきで社会人になったわけではありません。新卒でゴールドマン・サックス証券に入社しましたが、1年目に妊娠して退職。その後、USCPA(米国公認会計士)を取得し日本ロレアルで化粧品の予算管理などに携わりました。充実していたのですが、1年半ほど働いた時点で家族の都合により米国に帯同し、マサチューセッツ工科大学(MIT)でMBA(経営学修士)を取得しました。明確に起業を思い描いたのはMITの入学時で、願書に「起業したい」と書いた記憶があります。結果的にですが、ゴールドマン・サックス、日本ロレアルと続けて短期間で辞めたこともあり、「組織内ではなく、自分の力で何かを成し遂げたほうがいいのかもしれない」と考えるようになったからです。

ただ卒業までに具体的なビジネスアイデアは描けませんでした。地力をつけようとの思いから投資ファンドのユニゾン・キャピタルに入社しました。プライベートエクイティ(非公開株)ファンドなので、経営者と近い場所でビジネスを体験できるというのが理由です。5年間勤務したところで子どもの中学受験のタイミングが重なり、一度この仕事から離れて、改めて次のステップを見つめ直そうと思いました。

リーダーシップ不足を指摘され発奮

最終的に背中を押したのは、リーダーシップ不足を指摘されて昇進が見送られたことです。そのとき、「自分が起業してリーダーシップがあることを証明したい」と考えました。達成したい目標や作りたい具体的なビジネスがあったわけではありません。一つの選択肢として起業や独立を考えるなかで行き着いた結果と言えます。いま思えば売り言葉に買い言葉の面もあったのかもしれませんが、ユニゾン・キャピタルはもともと起業家精神を非常に大事にしているファンドですから、むしろ私の卒業を応援してくれました。いまでも当時の上司たちとはいい関係です。

起業すると決めてからはネタ探しに躍起になり、100個ほどのビジネスプランを考えました。ちょうどそのころに出合った本が『SHARE』です。これを読み、個人が売り手になれる時代が来たと確信しました。私自身、個人が売り手になれるサービスを模索していたこともあり、「個人が自分の経験に基づいてモノをお薦めするサービスはどうか」とひらめいたのです。

1時間のダメ出しがビジネスモデルの原型に

意気揚々と事業計画書を前職の同僚に見せたら、「うまく行く気がしない」と言われ、それならアドバイスを受けようと起業家を紹介してもらいました。ECサイトの立ち上げを経験した起業家に会ったときに「私のプランのどこが問題なのか」について、1時間にわたってダメ出しされました。このとき、ビザスクinterviewの原型が頭に浮かんできました。なぜなら「この人にもっと早く出会いたかった、この人の話を聞くためならお金を払ってもいい」と思ったからです。面談の1時間が終わるころ、その起業家に「こんなふうに、人から人へ知見を伝授するマッチングをサービスにしたい」と相談しました。すると、海外ではすでにそうしたビジネスが「エキスパートネットワークサービス」として確立されていると教えてくれました。

調べてみると、香港、上海、シンガポールなどアジアの主要拠点には進出しているのに、日本だけが素通りに近い状態です。「なぜこんなに有益なのに日本では広まらないのだろう」と海外の人たちにヒアリングしたところ、日本ではこうしたサービスを展開してもなかなかアドバイザーが登録してくれないことがわかってきました。「日本企業は情報にお金を払わない」とも言われました。私が体験したように、知見を持つ人の話を聞きたいニーズがあっても、アドバイザーがいなければサービスは成り立ちません。どうすれば普通のビジネスパーソンがアドバイザーに登録し、円滑にインタビューできる方法が根付くのかを考えた結果、誕生したのがビザスクです。

めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
端羽さんが語るこれからの10年とは何かが気になりますね。
続きは書籍「スタートアップス -日本を再生させる答えがここにある-」にてご覧ください!

「スタートアップス -日本を再生させる答えがここにある-」書籍概要

次の10年で、日本が世界での競争力を再生させていくうえで不可欠となる、スタートアップと大企業による事業共創がどのような変革をもたらすのか、過去10年で日本経済に影響を与えてきたスタートアップ企業トップへのインタビューを通じて明らかにする。
更に日本を代表するベンチャーキャピタル(VC、CVC)71社への調査を実施。ESG関連企業への投資意欲について分析するとともに、VC、CVC各社が推薦する有力スタートアップ92社をリストアップ。どのようなスタートアップたちが日本経済の再生をリードしていくのか、示唆を打ち出す。

目次

  • 第1章「日本のイノベーション、これからの10年 スタートアップと大企業の共創で実現」

対談:SHOWROOM 前田裕二氏/小学館 畑中雅美氏/KDDI ∞ Labo 中馬和彦

  • 第2章「過去10年にスタートアップが引き起こした変革」

上場、M&Aなどの形でエグジットした8社のトップが、これまでの10年にそれぞれの領域で起こした社会の変革について語る
◆ソラコム 玉川憲氏
「スウィングバイIPOでグローバルIoTプラットフォームを目指す」
◆ウォンテッドリー 仲暁子氏
「仕事に夢中になれる人を増やしたい」
◆ラクスル 松本恭攝氏
「インターネットとソフトで仕組みを変え産業のムダをなくす」
◆BASE 鶴岡裕太氏
「ロングテール対象にECを民主化」
◆マネーフォワード 辻庸介氏
「FinTechはこれからが面白い」
◆ビザスク 端羽英子氏
「エキスパートネットワークサービスを日本に定着」
◆オイシックス 高島宏平氏
「ECでサステナブルな食を届ける」
◆ビジョナル 南壮一郎氏/mediba 江幡智広氏
「今の日本には伸びしろしかない」

  • 第3章「VC・CVC ESG関連スタートアップ投資動向調査」

8割超が重要テーマに挙げるが、リターンは未知数。日本のVC、CVC 71社のスタートアップへの投資方針、ESG分野の投資に対する意識などを独自調査から明らかにする

  • 第4章「ESG関連有望スタートアップス VC、CVCが選んだ92社」

ESGの視点を意識しつつ、これからの10年で日本を変える可能性のある92社の有望スタートアップを紹介

Amazon-スタートアップス 日本を再生させる答えがここにある
https://www.amazon.co.jp/dp/4296110462/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_QT0RYMWY70JF6CJA8WY9
日本のスタートアップと大企業の共創がこれからの10年を創る

関連記事

インタビューの記事

すべての記事を見る記事一覧を見る

Contactお問い合わせ

掲載記事および、
KDDI Open Innovation Program
に関する お問い合わせはこちらを
ご覧ください。