
2026年08月04日
KDDIとGoogleが描く、日本発AI企業の未来 ~AIスタートアップ支援プログラム発表会レポート~
2026年7月28日、KDDIは新コンテンツサービス発表会を開催し、Google AI Futures Fundと連携した「AIスタートアップ支援プログラム by KDDI & Google AI Futures Fund」を発表した。
AIが産業や社会のあり方を大きく変えつつある今、日本から世界で戦えるAI企業を生み出すことは重要なテーマとなっている。今回発表されたプログラムは、KDDIとGoogleがそれぞれの強みを持ち寄り、日本発のAIスタートアップの成長を支援する取り組みだ。
目次
AI前提社会で問われる「日本発AI企業」の創出
発表会では、KDDIの中期経営戦略「Power to Connect 2028」に触れながら、AI前提社会において日本が直面する課題について説明が行われた。
その一つが、「世界で戦えるAI企業の創出」だ。
AIの社会実装が急速に進む中、多くの企業がAIを活用するようになっている。しかし、AIを利用するだけでなく、日本発のサービスや技術を世界市場へ展開できる企業を生み出していくことも同様に重要だ。
今回のAIスタートアップ支援プログラムは、そうした課題意識のもと、国内の有望なAIスタートアップの成長を後押しすることを目的としている。
15年にわたりスタートアップ支援を続けてきたKDDI
プログラムの詳細について説明したのは、KDDI オープンイノベーション推進本部 副本部長の舘林俊平氏だ。
KDDI株式会社 オープンイノベーション推進本部 副本部長 舘林 俊平氏
KDDIは2011年に国内事業会社として初めてインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」を開始して以来、15年にわたりスタートアップとの共創を推進してきた。これまで複数のコーポレートベンチャーファンドを立ち上げ、国内外170社以上に出資。
近年はスタートアップエコシステム活性化に向けた300億円規模の投資や、海外VCとの連携によるクロスボーダー支援にも取り組んでいる。
今回のGoogle AI Futures Fundとの連携も、こうした取り組みをさらに発展させる新たな挑戦として位置付けられている。
KDDIのオープンイノベーションの取り組み
KDDIとGoogleが共同で日本のAIスタートアップを支援
今回発表された「AIスタートアップ支援プログラム by KDDI & Google AI Futures Fund」は、KDDIとGoogle AI Futures Fundが協調して日本のAIスタートアップへ投資・支援を行う新たなプログラムだ。
両社は共同出資だけでなく、それぞれが持つ技術・事業基盤・ネットワークを提供し、AIスタートアップの事業成長を包括的に支援する。KDDI舘林氏は、「GoogleとKDDIが持つアセットを組み合わせ、日本発のAIネイティブサービス創出を加速していく」と説明した。
日本のスタートアップを最新AIモデル・インフラ・専門家サポートで支援
本プログラムの採択企業には、GoogleとKDDI両社合わせて最大200万ドル(約3億円)の協調投資に加え、Google DeepMindの技術者によるサポートや、Geminiをはじめとする先進AIモデルへの早期アクセスが提供される。さらにGoogle Cloudの技術支援やクラウドクレジットも利用可能だ。
一方、KDDIは約7,000万回線の顧客基盤や40万社の法人顧客ネットワーク、通信インフラ、事業開発ノウハウを提供する。加えて、大阪堺データセンターのソブリン型GeminiやGPU環境も活用できると発表した。
発表後の質疑応答では、プログラムの規模感についても質問が寄せられた。これに対しKDDI舘林氏は、「世界で戦えるAI企業を日本から生み出すこと」が本プログラムの大きな目的であるとしたうえで、現時点で採択企業数の上限を設けているわけではないと説明。
その一方で、Googleが実施している海外での先行事例も参考にしながら、「年間5社程度を採択していきたい」との考えを示した。
質疑の様子
また、スタートアップの選考方法や両社の役割分担についても説明が行われた。応募企業は特設サイトからエントリーし、その内容をKDDIとGoogleの双方で共有。それぞれの投資チームが審査を行い、両社が採択を判断した企業に対して協調投資を実施するという。
舘林氏は、採択した企業に対しては両社が「基本的に同じ比率で出資することを前提としている」と説明した。単なる紹介や連携施策ではなく、KDDIとGoogleが同じ立場で投資し、成長を支援していく点も本プログラムの特徴の一つだ。
採択後は、GoogleによるAIモデルや技術支援、KDDIによる顧客基盤や事業支援、さらに両社が共同で提供するAIインフラを組み合わせて支援を行う。ただし、すべての採択企業に一律の支援を提供するのではなく、それぞれの事業フェーズや課題に応じて必要なアセットを柔軟に提供していく方針だ。
舘林氏は、スタートアップごとに必要とする支援内容は異なるとしたうえで、「両社が持つアセットに加え、スタートアップの要望に応じて最適な支援を提供していく」と説明した。
時代の転換点ごとに連携してきたKDDIとGoogle
発表では、KDDIとGoogleのこれまでの取り組みについても紹介された。
フィーチャーフォン時代にはEZwebへのGoogle検索導入、スマートフォン時代にはAndroidの本格展開やYouTubeとの連携施策を推進するなど、時代の変遷に沿って連携を続けてきた。そしてAI時代には、堺AIデータセンターやソブリン型Geminiの展開へと協業の幅を広げた。
今回のスタートアップ支援プログラムは、そのパートナーシップをさらに発展させる取り組みだ。
GoogleとKDDIの歩み
Googleが日本に期待する理由
会見では、Google AI Futures Fund共同創設者兼ディレクターのJonathan Silber氏からのビデオメッセージも紹介された。
Google AI Futures Fund共同創設者 兼 ディレクター Jonathan Silber氏
動画リンク:https://www.youtube.com/live/-GE_yx2fVBA?si=MRv9UJfjaDb48O_g&t=1433
Silber氏は、「なぜ日本なのか」という問いに対し、Googleが2001年に初めて海外拠点を設立した場所が日本だったことを紹介。自身も東京で働いた経験を持ち、日本はいまなお世界でも有数の重要なデジタル市場であると語った。
さらに、日本の起業家が持つ技術力や独自の視点に大きな期待を寄せているという。働き方やナレッジ活用、ソフトウェア開発、クリエイティビティ、エンターテインメントなど、さまざまな領域で生まれる日本発のAIソリューションは世界にインパクトを与える可能性があると述べた。
また今回のプログラムでは、共同出資だけでなく、先進モデルへのアクセスや実践的なメンタリングを提供することも説明した。
「私たちはAIに対して大きなビジョンを持つ日本の起業家を支援したい」
Silber氏はそう語り、日本発のAIイノベーションへの期待を示した。
世界へ挑戦する日本のAIスタートアップを後押しする
AIスタートアップ支援プログラムの応募受付は7月28日から開始された。
KDDIの事業基盤とGoogleの先進AI技術を組み合わせた今回の取り組みは、単なる投資プログラムではなく、日本のAIスタートアップがグローバル市場へ挑戦するための成長基盤を提供するものだ。
フィーチャーフォン、スマートフォン、そしてAIへ。日本のデジタル変革を支えてきたKDDIとGoogleが次に目指すのは、「世界で戦える日本発AI企業」の創出だ。
今回のプログラムは、その第一歩として大きな注目を集めそうだ。
▼詳細のご確認や応募はこちらから!
https://www.kddi.com/open-innovation-program/koif/aistartup/
日本の生成AIスタートアップを最新AIモデル・インフラ・専門家サポートで支援
