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2024年06月24日

【最新】世界最大級の生成AIイベントで語られた衝撃の内容とは!? ーー GenAI Summit San Francisco 2024

KDDI Open Innovation Fundのサンフランシスコ拠点では、北米や欧州のスタートアップ企業への投資や事業連携を目的として活動しています。このコーナーでは現地で発見した最新のテクノロジーやサービス、トレンドなどをKDDIアメリカの一色よりお送りします。今回は、5/29~31にアメリカカリフォルニア州サンフランシスコにて開催された大型生成AIイベントGenAI Summit San Francisco 2024(以下GenAI Summit)についてお伝えします。


一色 望KDDIアメリカ
本誌の記者。KDDIオープンイノベーションファンドのアメリカ サンフランシスコ拠点でスタートアップとKDDIの事業創造を目指し、ディールソーシング(投資先探し)と投資評価に取り組み、既存の投資先企業もサポートしながらMUGENLABO Magazineの制作に携わる。趣味は世の中のトレンドサーチと、美味しいお店巡り、旅行、ジム通い。

GenAI Summitとは

GenAI Summitは、サンフランシスコにて開催された生成AIに特化した国際的なイベントで、今回が初めての開催です。 生成AIの責任ある開発と活用を促進することを開催の目的としており、AI関連の企業・政府担当者、スタートアップ、投資家、エンジニア、リサーチャー、学生などが参加しています。その中でも特にCEO(全体の23%)、エンジニア(21%)の参加が多く、イベントでは生成AI領域の最新の研究やプロダクトの紹介、ワークショップ、生成AIをテーマにしたセッション等が用意されました。

一色一色
今回が初めての開催ということで、イベントの入場口は大混乱の状態でした!セッションのメイン会場となるAGI Stageにも長蛇の列ができる事態となっており、インターネット黎明期の人々の熱狂ぶりが、AI領域で今、再来していると感じさせるようなものでした。

注目のセッション

著名なスピーカーのセッションを一目見ようと世界各国から多くの人が駆けつけました

GenAI Summitでは、生成AIに精通した著名人をお呼びしてセッションが行われました。その中でもとりわけ注目の集まったセッションについて以下ご紹介します。

Opening Remarks | Opening Ceremony Speaking for GenAI Summit
スピーカー:London Breed, Mayor @ City & County of San Francisco
初日にはサンフランシスコ市長のLondon Breed氏が駆け付け、開催の挨拶を行いました。サンフランシスコ市は常にテクノロジーとイノベーションの中心地であることを強調し、その例として、昨年はベンチャーキャピタルから同市内のスタートアップへの投資金額が343億ドルも集まっていること、さらに世界のAI企業のトップ50社のうち21社は同市内にあり、224億ドルの投資を受けていることについて話しました。

彼女はさらなる市内(特にダウンタウンエリア)の繁栄を目指し、2030年までに3万人の居住者と学生を増やすこと、また単なる日中の仕事の場としてだけでなく、エンターテイメントとしても楽しめるようなテクノロジーハブに変える計画について明らかにしました。また、AI業界の急速な成長を鑑みて、ダウンタウンとミッションベイなどに1,200百万sqft以上のスペースを借りることも計画していることも明らかにしました。

Advancements in Embodied AI: Key Technologies, Applications, and Future Trends
スピーカー:Dr.Jim Fan, Research Manager & Lead of Embodied AI, NVIDIA
Fan氏は、AI技術が「エージェンティック時代*」に向けて進化していると話し、“Generative”、“Neural”、“Classic”の後に続くAIの技術的なステップであると述べました。
*ソフトウェアエージェントが、ファウンデーションモデルや他のシステムと連携して動作する新時代のこと。

将来的には「動くものすべてが自律的になる」とのビジョンを持っており、この目標を達成するためにNvidiaのGEAR Labで研究を進めています。Fan氏は自律走行AIの開発において、あらゆる条件下でのケイパビリティを最大化するため環境が十分にオープンであること、大量のデータを使って常識の部分を構築することの2点が必要だと述べました。

MinecraftやIssac Simなどのシミュレーターを活用することにより、実際の1,000倍以上の速度で物理シミュレーションを実施し、効率的にエージェントのトレーニングを行うことが出来ると述べ、チャットボットからリアルの世界において有用なタスクをこなすロボットになるまでの過程が非常に短縮される可能性について強調しました。このように、基礎エージェントのトレーニングが、ChatGPTのようにテキストイン・テキストアウトの形で具体的な行動をアウトプットできるようになると彼は述べており、このアプローチがGEAR Labの研究でも利用されていると話しました。

Keynote | AGl Belongs to The Community in Open Source: Democratizing LLMs in The Service of Life and The Planet
スピーカー:Sri Satish Ambati, Co-Founder & CEO@H2O.ai
機械学習と予測分析用のオープンソースツールを提供するH2O.aiのCEOは、AIが新たな時代の豊かさを先導すると強調し、AIを通じて医療の進歩や自然災害の予測、気候変動の解決など、世界をよりよい方向に変えるよう役立てたいと語りました。また、人工汎用知能 (AGI) はオープンソース技術としてコミュニティに属するべきであるとの持論を展開し、その理由としてオープンソースであることによってAGIに最大の自由と革新がもたらされるためであると話しました。

また同社の使命として、オープンソースをベースとしたAIの民主化のほかに「予測 AI と生成 AI を統合すること」を掲げており、それによって企業がテクノロジー投資から最大の利益を得ることができると述べ、同社が新たにリリースしたモデルでは携帯電話やドローンなどのエッジデバイスに簡単に組み込むことができると話しました。

注目のスタートアップ

ブース展示にも多くの人が集まり盛況を見せました

GenAI Summitでは、世界でも注目されている生成AI関連のスタートアップが多数登壇しました。その中でも面白い取り組みをしているスタートアップを以下で紹介します。

Unitree Robotics(中国)

ロボット犬・ヒューマノイドロボットを開発するスタートアップです。ロボット犬のUnitree Go2は、2本足で立ったり、前足だけで逆立ちをしながら階段昇降ができます。また、ChatGPTを搭載しており周囲の環境理解や意思決定にAIが使われています。数ある展示社数の中でおそらく最も来場者を惹きつけたプロダクトでした。価格は1,600ドル~で、Stanford大学や、東京大学とも共同研究を行っているとのことです。

PanBotica(中国)
サービスロボットの製造を行う中華系の企業で、本イベントではロボットバリスタを商用提供していました。ロボットバリスタはコーヒーやお茶を淹れることができ、1杯7ドルで提供していましたが同じ会場で人が提供するコーヒースタンドでは1杯5ドルだったため、ロボットのほうが割高であることが参加者の間で話題になっていました。

Groq(アメリカ)
生成AIに特化した次世代の高性能チップLPU(Language Processing Unit)を開発するスタートアップです。LLMの処理において、GPUに依存した現在の処理と異なり、LLMモデルの”学習”ではなくLLM活用の際の”推論”に特化することで、ユーザーの生成AIアプリでのコミュニケーションを劇的に早くすることができます(1秒で500トークン出力することができ、GPT-4対比で約25倍の速度)。

日本語での出力はまだ他社に劣りますが、今後生成AI領域におけるゲームチェンジャーとして注目を集めています。彼らはメインのAGI Stageにも登壇しセッションを行いました。登壇で同社が語った内容は以下の通りになります。

・Groqは、既存ソリューションと比較して高速かつ効率的なハードウェア (LPU)を開発している。
・最高のパフォーマンスを実現するため、学習ではなく推論に注力。AIモデルのスケーリングとハードウェアの効率化によって、推論を高速化している。
・テストデプロイにおいて、1秒間に3万トークンという記録的なインプットスピードを達成した。
・1秒あたり2,500万トークンを実現するために、100倍以上のサーバーを展開することを計画している。
・中東地域を含み、グローバルでの事業展開が進んでいる。

最後に

サンフランシスコで行われたサミットでしたが、参加者の顔ぶれはアジア系(特に中国)も多く、展示企業についてもこのようなテックカンファレンスとしては珍しく、中国企業の出展が複数見られるなど世界的にも生成AIの機運が高まっていると感じました。今後もAIに関する北米のイベントについては積極的に参加して、MUGENLABO Magazineで随時発信していく予定ですので、生成AIに興味のある読者の皆様のお役に立てたら幸いです!

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