- 海外トレンドレポート
2022年12月09日
中国国際輸入博覧会 2022ーー海外トレンドレポート
KDDI Open Innovation Fundの中国上海拠点では、中国のスタートアップへの投資、共同事業の開発を行なっています。今回は、中国最大級のベンチャーキャピタル業界のイベントをレポートします!
- 熊 雨(Xiong Yula)KDDI中国
- 本誌の記者。KDDI Open Innovation Fundの中国 上海拠点でスタートアップとKDDIの事業創造を目指し、ディールソーシング(投資先探し)と投資評価に取り組み、既存の投資先企業もサポートしながらMUGENLABO Magazineの制作に携わる。
中国国際輸入博覧会とは
中国国際輸入博覧会(以下CIIE)は世界トップ10の総合貿易博覧会の1つに数えられる世界最大級の輸入博覧会で、今年は5回目の開催となりました。11月5日から11月10日まで、中国上海の国家会展センターで開催されました。
145の国と地域から3,000社近くの企業が出展を行い、関連する取引は735億2000万ドル(前年比3.9%増)と推定される非常に大規模なイベントとなりました。100以上の新商品の発表会も行われました。
会場の様子
展示ブース
今年のCIIEは、食品と農産品、一般消費、自動車、テクノロジー・エレクトロニクス、医療機器とヘルスケア、サービス貿易の6つの展示エリアに分けられていました。9平方メートルの小さいものから数千平方メートルの巨大なものまで様々なブースが出展しており、各社の主力商品が展示されました。本レポートでは、特に注目を集める「テクノロジー・エレクトロニクス」を中心にご紹介します!
テクノロジー・エレクトロニクスエリア
このエリアは集積回路、デジタル産業オートメーション、エネルギー低炭素・環境保護技術、AIの4つのゾーンに分けられており、その中でも今年初めて設立されたAIゾーンは特に人気を集めていました。AIゾーンには、5,000平方メートルの展示エリアにマイクロソフトやUnityなどAI業界の大手26社が出展し、AR・VR体験設備を中心とした展示を行い大変な賑わいを見せていました。この内METAなど16社が初めの参加になりました。
未来感あふれるUnityブース
マイクロソフトの展示エリアでは、各種産業のメタバース利用が一つのテーマとなっていました。Microsoft Azure IoT や Azure デジタルツインなどのテクノロジーを使用した、デジタル環境の構築とコラボレーション、ロボットのリモート操作などが展示されました。
マイクロソフトの産業メタバースシーン
自立走行する会場案内ロボットやごみ回収ロボットが会場を走行し、その他にはロボットサッカー・ロボットダンスショー・VR eスポーツコンテストなどのイベントも開催され、非常に多くのロボット利用シーンが提案されていました。
オムロンの卓球対戦ロボット 最新第7世代
食品と農産品エリア
一般観客の一番人気はやはり食品と農産品エリアでした。世界四大食品会社であるCargill・ADM・Bunge・LDCが揃って出展し、その他に世界三大種子会社Bayer、CortevaおよびSyngentaなどの有名ブランドも多数出展しました。
体長3m以上、重さ370kgにのぼる巨大マグロの解体ショーも披露されました。輸入博に出展された魚としては過去最大のサイズとのことです。
マグロ解体ショーの様子
環境保護・ゼロカーボンをテーマとした出展
今回は低炭素及び環境保護・ゼロカーボンをテーマとした出展が急増しました。例えば、エスティローダーのゼロカーボンブースは3,900以上のコルクの破片で構成された印象的な「コルクカーテン」で構成されました。 この「ゼロカーボンブース」で使われた全ての材料は、中国で初めてFSCの持続可能な森林プロジェクトの認証を取得しています。
エスティローダーの「コルクカーテン」で囲まれた「ゼロカーボンブース」
最後に
今年のCIIEは前年までと比べ、いくつか変化があったように感じました。まず出展する国の数と範囲の拡大です。先進国のドイツ・アメリカ・日本などからはもちろん多くの企業が出展した他、アイスランド・イラクなどの国からも事業機会を求めて初めての出展がありました。
またデジタル分野の企業のさらなる増加です。META等の欧米系テクノロジー大手企業も参加した他、初めてのオンラインでの展示も行われた結果、69の国と地域の300社の技術会社が参加しました。テクノロジーは毎年のフォーカスエリアではありますが、特に先進的な基礎技術を持ち競争力がある企業がハイライトされており、今回新設されたAIゾーンもその一つの現れと言えます。
中国は未だ入国に数日間の隔離を要するなどコロナの影響下にありますが、今回のCIIEには各国から多くの企業が参加していました。欧米系の大手企業も大規模なブース設けており、各社の中国マーケットへの期待が引き続き大きいことが感じられるものでした。
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