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2023年01月12日

-CES2023- 船酔いの心配無用、〝水上版テスラ〟の「C-8」をスウェーデンCandelaが公開

ガソリン車に代わってEV(電気自動車)が公道を走り、ヘリコプターに代わって人が乗れる電動ドローンが実用に近づく中で、海の上の交通手段についても、同じようなアイデアが生まれることはごく自然なことだ。スウェーデン・ストックホルムに本拠を置くCandelaは、先日アメリカ・ラスベガスで開催された大型トレードショー「CES」で、電動水中翼船「C-8」を公開した。(CES2023レポートはこちら


Candelaはこれまでに「P-8 Voyager」「P-8 Shuttle」「P-12 Shuttle」という3つの電動水中翼船を世に出しているが、C-8はその中で最新のモデルとなる。Candelaが売りとするのは、6つの「ゼロ」——ゼロエミッション(石油燃料を使わない)、ゼロノイズ(エンジンの騒音がない)、ゼロ船酔い、ゼロメンテ、ゼロガス・オイル、ゼロ航跡(水の抵抗が少ない)というものだ。

C-8 の推進力には、Candelaが開発したコンパクトモーター「C-POD」が使われているが、モーター部は水面走行中は水中に入るため、船上で騒音や振動が気になることはない。しかも、このモーターはC-8本体よりも長寿命で設計されているため、少なくとも船が使える間はメンテナンスフリーで使うことができる。永久磁石でプロペラを直接振動させるため、静音性が高いのも特徴だ。


「C-POD」 Image credit: Candela

CEOのGustav Hasselskog氏には面白いエピソードがある。Hasselskog氏は島に住んでいて、子供達のために数百円のアイスクリームを買いに往復20分出かけるのに、船を走らせる燃料費が数千円かかってしまう理不尽さに悩まされていた。これを解決しようと2014年に設立したのが Candelaだ。同社の船は船体の大部分が水上に浮くため、エネルギー効率は従来比で最大95%高い。

C-8は30万〜40万ユーロ(約4,000万〜5,500万円)と高価であるにもかかわらず、すでに150台が売約済で製造中だそうだ。この値段からも、従来のボートをリプレイスするのではなく、テスラ同様に、富裕層の新たな需要を開拓しようとしていることが窺える。Candelaは生産体制を強化するために、昨年の60人から今年後半には400人にまで社員を一気に6倍以上に増やす計画だ。

Candelaはまた、この自家用の電動水中翼船に搭載している技術を、30人乗りの双胴船(カタマラン)にも導入しようとしている。ストックホルムでは公共交通の多くは電化されているが、これまで水上の公共交通は例外だった。発電の方法にもよるが、水上交通にも積極的に電気推進が導入されることで、人の移動を起因とした温室効果ガスの排出を極限まで抑制できる効果が期待されている。

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