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2023年01月11日

世界最大級のテックイベントCES 2023参加レポートVol.2ーーメタバース/移動手段

KDDI Open Innovation Fundのサンフランシスコ拠点では、北米や欧州のスタートアップ企業への投資や事業連携を目的として活動しています。このコーナでは現地で発見した最新のテクノロジーやサービス、トレンドなどをKDDIアメリカの一色よりお送りします。今回は、1/5~1/8にアメリカ・ラスベガスにて開催された世界最大級のテックイベントと言われるCESの参加レポートを三部作でお届けいたします。


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一色 望KDDIアメリカ
本誌の記者。KDDIオープンイノベーションファンドのアメリカ サンフランシスコ拠点でスタートアップとKDDIの事業創造を目指し、ディールソーシング(投資先探し)と投資評価に取り組み、既存の投資先企業もサポートしながらMUGENLABO Magazineの制作に携わる。趣味は世の中のトレンドサーチと、美味しいお店巡り、旅行、ジム通い。

各トレンドごとの展示内容

前回の記事でも触れた通り、例年にならって、今年もCESの主催者であるCTAより、テクノロジー市場の概観と注目のトレンドについて発表されました。CTAの基調講演内容を念頭に、会場のフロアを一通り回ってきました。トレンドの領域ごとに、目立っていた展示などについて紹介します。

  • メタバース(Metaverse of Things)

    昨年は実際の展示があまり見られず残念だったメタバースですが、今年はTech East(LVCC,ラスベガスコンベンションセンター:主に大企業が出展する会場)にもTech West(エウレカパーク:主にスタートアップが出展する会場)のいずれにも、メタバースエリアが新設され、かなり出展社も増えたように感じられました。

    特にLVCCのメタバースエリアで目立っていたのはMagic Leapです。主に企業向けの提供を想定しているMagic Leap2のデモブースには、混雑を避けるために予約制が採用されていたにも関わらず、人だかりができていました。CES2023の中で、このMagic Leap2がFDA認証の取得により、医師利用が認められたことが大きなニュースとなったので、その影響もあったのかもしれません。

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    即座にアプリでデモ予約したものの、332番めの順番に絶望しました…。市場価格は1台$3,299ほどだそうです。


    Magic Leapのブースの様子。いくつかのデモブースがありました。


    Magic Leap2の展示。

    その他、昨年よりもプラスチックAR光学系の性能を大幅に向上させて2年連続でCESイノベーションアワードを受賞したLetinARや、一般的なメガネと変わらない外観でありながら高精細なmicroLEDディスプレイを表示することができるTCLのRayNeo X2など、多数のAR/VRヘッドセットが発表されたほか、パナソニック傘下のShiftallが新たに発表したSteamVR の全身トラッキングソリューションである 「Haritora X Wireless」や、先日発表され話題を呼んだソニーのモーショントラッキングシステム「mocopi」など、アバターをリアルタイムに操作できるトラッキング技術の体験ができるブースも多くの注目を集めていました。 


    TCLのスマートグラス。

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    グラスをかけると目の前にスクリーンが映し出され、バスケの試合を観戦しました!

    またメタバースエリアでもっとも大きな出展ブースを用意していたMicrosoftはTouchcastと開発したリテールのスタッフトレーニングのようなエンタープライズ向けのメタバースをアピールしていたり、CanonはVR技術を活用した映画製作技術を発表するなど、そのユースケースは企業によって様々であり、今後あらゆる分野でメタバースが拡がっていく予兆を感じることができました。

  • 移動手段(Transportation)

    昨年も注目を浴びたBMWの「色が変わる車」ですが、今年はなんと最大32色もの色が変わるようにアップデートされていました。このコンセプトカーは「i Vision Dee」と呼ばれ、末尾のDeeにはDigital Emotional Experience、デジタルな感情表現という意味の頭文字から名付けられています。実際に見に行きましたが、車体は単色だけでなくモノグラム柄のような複雑でダイナミックなデザインが可能となっていて、窓ガラスやタイヤの部分まで色が変わるように設計されており、まさに未来の車という感じがしました。

    また、デザインのみならず、車内システムも最新技術が施されており、MR技術を搭載したデジタルフロントガラスには運転情報やSNSの通知など様々な情報を表示することができるようになっていたり、最新のボイスアシスタントによって運転サポートやドアの自動開錠ができるようになっていたりするそうです。現地メディアでは、この車は以前より噂されているAppleの電気自動車のライバル車と位置付けられています。この車は2026年に販売されるとのことで、その頃の各社のラインナップと売れ行きがどのようなものになるのか、今から楽しみです。


    BMWのi Vision Dee。

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    色が変わっている瞬間を撮影したのですが、実物はもっとかっこいいです!

    もう一つの注目株としてはソニーとホンダがタッグを組み開発を進めるEV「AFEELA」です。CES2023のソニーブースで、プロトタイプが初披露されました。この車は、自動運転機能レベル3を目指しており、車内外には45個のカメラ、センサーを搭載しているとのこと。実際に見に行ったのですが、外観は無駄を削ぎ落した非常にシンプルで洗練されたデザインで、サンフランシスコを走行している某自動運転テストカーとは大違いであることが一目瞭然でした。

    また、主にソニーが実績を持つエンタメサービスについても車内の搭載を目指しており、新たな運転体験の創造を目指していくとのことです。こちらも2026年に北米から展開していくそうです。


    ソニー・ホンダモビリティのAFEELA。

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    来場者が車体の周りを360度取り囲んで写真撮影していました。

    また、今年イノベーションアワードを受賞したJohn Deereの電動掘削機や、Autelが発表した自律走行型FVドローンなど、EVの波は自動車以外にもあらゆるビークルに拡大されていることがわかりました。

    次回のレポートでは、ヘルスケアテクノロジーやサステナビリティの展示内容についてお届けします。ぜひご一読いただければと思います。

    Vol.3に続く

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