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2023年06月02日

アジア最大級テックイベントBEYOND EXPO MACAU 2023参加レポートVol.1ースタートアップ

KDDI Open Innovation Fundの中国上海拠点では、中国のスタートアップへの投資、共同事業の開発を行なっています。今回は、5月10日から12日までマカオのホテルベネチアンマカオで開催された、「テクノロジーの再定義」をテーマとする第3回BEYOND EXPO MACAU 2023の参加レポートをお届けします!


熊 雨(Xiong Yula)KDDI中国
本誌の記者。KDDI Open Innovation Fundの中国 上海拠点でスタートアップとKDDIの事業創造を目指し、ディールソーシング(投資先探し)と投資評価に取り組み、既存の投資先企業もサポートしながらMUGENLABO Magazineの制作に携わる。

BEYOND EXPOとは

BEYOND EXPOは毎年アメリカで開催されているCESのアジア版を目指し、アジア最大級のテックイベントとして、2021年からマカオで開催が始まりました。2022年はコロナウイルスの流行によりオンライン開催となりましたが、今年は2年ぶりにリアルでの開催となりました。

3日間の中、サステナビリティ、ライフサイエンス、コンシューマーテクノロジーの各分野におけるテクノロジー関連のエキスパートによる講演、パネルディスカッションや、スタートアップ企業によるピッチイベントなどが行われました。その他、約10万平方フィートの展示エリアに、世界のトップ500企業、MNC、ユニコーン企業、スタートアップ等600以上の企業が出展を行いました。

今回はアジアインフラ投資銀行総裁兼取締役会長の金立群氏、シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院創設学長で国連安全保障理事会元議長のキショア・マブバニ氏、NBAブルックリン・ネッツとWNBAニューヨーク・リバティのオーナーであり、アリババグループ共同創設者兼取締役副会長の蔡崇信氏などがBEYOND Expo 2023の開幕式に登壇し、テクノロジーの将来について議論を行いました。

2021年に続き、KDDIオープンイノベーションファンドの中国上海拠点の笠井もパネルディスカッションに登壇し、フィナンシャル・タイムズ(FT)中国の編集者Wang氏とドイツの化学大手BASFの投資担当者Li氏と「世界のCVC動向と実践」について議論を行いました。


パネルディスカッションの様子

スタートアップ紹介

それでは、スタートアップのピッチ及びと展示企業から幾つか特徴的な企業をご紹介していきます。

  1. Tashan Technology (他山科技)

    Tashan Technologyは人工知能触覚チップとその活用ソリューションを提供している企業です。チーフサイエンティストであるSteve Furberは、英国両アカデミーのメンバーであり、脳型コンピューターチップの分野における主要な研究者の一人です。

    世界初のデジタル・アナログハイブリッド型AI触覚チップを開発し、既存のヒューマンコンピュータインタラクション操作方法のタッチ、プレス、スライドの他に、温度、湿度、ローテーションなどの要素も含めて、多次元触覚信号解析とマルチチップ協調知覚制御という世界的な技術課題を解決し、自動車、スマート家電、都市のデジタル化など多くの分野で広く使用されています。

  2. Elephant Robotics(大象ロボット)

    Elephant Roboticsは2016年に中国・深センで設立されたロボット開発企業で、工業、商業、教育、科学研究分野でサービスを提供しています。Elephant Roboticsは「Enjoy Robots World」をビジョンに掲げ、バイオニックロボット(MarsCat/metaCat)、コンシューマ向けのコラボレーションロボット(myCobot/myPalletizer/myAGV/mechArm/myBuddy/ultraArm)を開発しました。


    開発したロボット

    metaCatは音声に反応し、指令に従って、鳴き声、アイコンタクト、息遣いなど本物そっくりのモーションをAIディープラーニングで生成できます。

  3. Deep Glint(格霊深瞳)

    コンピュータビジョン、ビッグデータ解析、ロボティクス、ヒューマンコンピュータ等の各種技術を統合し、様々なシナリオでの社会実装を実現する人工知能企業です。スマートファイナンス、都市管理、商業小売、鉄道輸送、スポーツ・健康、メタバース等の分野で人工知能製品およびソリューションを提供しています。

    Deep Glint社の設置したテストパークでは、フィールドにいる全員の位置や手足の動きが完全に認識され、様々な映像効果、インタラクションが生まれます。バスケットボールやサッカー、バドミントンや卓球など、道具を使用するスポーツでも人と道具が正確に認識され、適した演出効果を表示することが可能です。

    フィールドにいるプレーヤーの没入感を妨げないよう、プレイヤーは運動認識センサーを装着したり、VRメガネを持参する必要はありません。全方位を高精細プロジェクターで囲むことで、新しいインタラクティブ空間を作り、プレーヤーが自由にデジタル空間上で遊べる体験を実現しました。

  4. Waydoo Tech(葦渡科技)

    Waydoo Tech社は電動サーフボード(EFOIL)の開発と販売を行なう企業です。製品はサーフボードをベースに、バッテリー、モーター、ドライブ、プロペラ、ハイドロフォイルからなるパワートレイン構造を組み込み、「ベルヌーイの原理」によって、水上で利用者を安定させ、ボードを前進させる原動力としています。波のない水面上でも電動でサーフボードの下に波を作り、いつでもサーフィンのような体験ができる、未来感に溢れる製品です。

  5. i2cool(創冷科技)

    i2coolは香港のインキュベーションプログラム「HK Tech 300プロジェクト」出身のスタートアップで、効率的な太陽光反射と中赤外線の熱放射により、塗るだけで周囲よりも大幅に塗装面の温度を低下させる塗料(パッシブ放射冷却塗料)を開発しました。

    現在、この冷却塗料は、ビル等の建築、太陽光発電、貯蔵タンク、工業生産など多くの分野で使用されており、市場は東南アジア、中東、ヨーロッパ、アメリカ等へと拡大していまする。今後も例えば、自動車、傘、帽子、室外家電ケース、カーテン、服などさまざまな製品での利用が見込まれています。

  6. コロナウイルスによる行動制限が解除された今年のイベントはより国際色の強いものとなり、ブラジルやポルトガルなど海外のスタートアップによる特別セッションも開催され、VR、医療など関連のスタートアップ合計10社がプレゼンテーションを行いました。
    後編では展示ブースについてお伝えします!

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