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2026年04月17日

登壇57社から見えてきた技術トレンドとは?──KDDI ∞ Labo全体会登壇まとめ第3弾・DeepTech・素材・宇宙領域11社【2025年7月~2026年3月・保存版】

第2弾では AI×産業応用領域の11社を紹介した。第3弾では、大学発・研究所発の技術駆動型スタートアップが集まる「 DeepTech ・素材・宇宙」領域の11社を取り上げる。


DeepTech ・素材・宇宙領域の特徴

本カテゴリの最大の特徴は、大学や研究機関の基礎研究から生まれた技術を社会実装に繋げようとしている企業が多いことである。広島大学発のマテリアルゲート、横浜国立大学発の UNTRACKED 、大阪大学発のエルシオ、慶應義塾大学発の AYUMI BIONICS 、山口大学発の New Space Intelligence など、アカデミアの知見を事業化する動きが加速している。

領域も半導体・メモリからロボット、宇宙構造物、衛星データ、レアメタルリサイクル、感情可視化まで多岐にわたる。いずれも長期的な研究開発が必要な分野だが、社会課題の解決に直結する技術であり、実用化に向けた具体的なロードマップを描いている企業が揃っている。

  1. 素材の力で未来を創る – マテリアルゲート

  2. マテリアルゲートは、広島大学で発見された単分子誘電体を組み込んだ次世代不揮発性メモリを開発するスタートアップである。従来材料では実現できていない高速処理・高密度記録・低消費電力を兼ね備えたメモリで、高度に情報化された未来社会においてコンピュータの消費電力削減という喫緊の社会課題の解決策として提唱されている次世代不揮発性メモリの実用化を目指している。

    同社は「日本の研究者が紡いできた材料科学の知の蓄積と素材産業の揺るぎない国際競争力を次世代へ繋ぐ架け橋でありたい」と語る。世界が直面する様々な社会課題を化学技術を起点に解決し続けるため会社を立ち上げた。

    AI ・ビッグデータ等を活用した豊かな未来社会を実現するため、コンピュータが生み出す膨大なデータ処理や莫大な消費電力の削減を「素材の力で解決する」ことをミッションに事業を推進している。

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  3. 人の感情や心理状態を可視化「感情インフラの提供」を目指す – Olive
  4. Olive は、生体データの解析を通して人の行動や意思決定の背景にある感情との因果関係を解き明かすスタートアップである。 喜怒哀楽、集中度、ストレスといった「無意識の本音」を生体反応から推定・可視化するプラットフォームを提供している。アンケートなどの自己申告に頼らざるを得なかった顧客体験の把握やストレスチェック等を、感情データという新しい指標で補完できるのが特徴で、録画・録音を行わないためプライバシーに配慮した感情推定が可能である。

    Business Development の大久保有右氏は「察してくれる世界の実現を目指している」と語る。人は本音や感情を常に言葉にできるわけではなく、その無意識の部分をテクノロジーで可視化することで新たな価値を創出しようとしている。

    教育、エンタメ、小売、観光など幅広い領域でクラウドベースのプラットフォームとして活用されており、単なる分析ツールにとどまらず感情可視化を使用した新規事業の創出も行っている。

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  5. 最先端技術で転倒リスクを見える化 – UNTRACKED
  6. UNTRACKEDは、横浜国立大学発ベンチャーとして大学の研究成果を社会実装するスタートアップである。人体情報をセンシングし、数理解析および AI 技術を活用して人の心身状態を解明するプロダクトを開発している。主力製品の「StA2BLE」は、立位機能を定量化して転倒リスクを評価するシステムで、理学療法士の知識を AI 化した最適な改善トレーニングと組み合わせた転倒予防パッケージを1人あたり月額3,000円で提供する。

    島氏は「弱くなった機能を専門家の知識を AI 化したサービスとして提供することで、心身状態の改善を目指している」と説明。 B2C 向けには StA2BLE 対応テレビゲームタイトルの提供も計画しており、転倒しにくい身体づくりをゲーミフィケーションで実現する取り組みも進める。

    転倒災害の抑止という社会課題に対し、大学の研究成果を実用的なサービスとして社会に届けることを目指している。

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  7. 人とロボットが共に成長する世界 – リビングロボット
  8. リビングロボットは、日常生活に自然に溶け込むパートナーロボットを開発するスタートアップである。パートナー・ロボット・プラットフォーム( PRP )事業とライフ・イノベーション( LI )事業を展開しており、教育用ロボット「あるくメカトロウィーゴ」や高齢者支援ロボット「見守りウィーゴ」を提供。ロボット開発・クラウド連携・サブスク型サービスを組み合わせ、 B2B/B2C 向けに学習支援・生活支援ソリューションを構築するビジネスモデルが特徴である。

    川内氏は家電メーカーで携帯電話・スマートフォン開発から世界初のスマホロボットの開発に至るまで長年携わった経験を持ち、「人に寄り添うロボットを社会に届けたい」という想いから2018年に創業した。

    ロボットが人の生活に自然に寄り添う社会を目指し、生活・教育・業務のすべての領域でロボットが自然に活躍する未来を見据えている。「生活に寄り添うロボット」「社会を支えるロボット」の双方を磨き上げながら、ロボット市場の未来を切り開くことを目標としている。

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  9. 宇宙の難題に"構造"で挑む – cosmobloom
  10. cosmobloom は、宇宙空間で使用される超軽量・大面積の膜面構造を中心とした展開型宇宙構造物を開発するスタートアップである。代表取締役の福永桃子氏が率いる同社は、独自の非線形構造解析ツール「NEDA」を活用し、宇宙ゴミ対策品であるデオービット装置や、ダイレクト通信に向けた膜面アンテナを開発している。衛星の安全運用やスペースデブリ低減を実現するとともに、次世代の通信・電力インフラに応用可能な構造ソリューションを提供する。

    創業は大学研究室で取り組んだ膜面等を用いた柔軟な展開構造の研究がきっかけであった。薄い膜が宇宙で大きく展開し新たなミッションを可能にする技術である一方、研究で終わってしまう現実に危機感を覚え、この分野で日本が世界で評価されてきた技術を絶やすべきではないという想いから、研究室の仲間たちと起業を決意した。

    目標は膜面展開技術を核とした超軽量・大面積構造を実用化し、宇宙空間の新しいインフラを築くことである。デオービット装置やダイレクト通信向け膜面アンテナの開発に加え、将来的には電力インフラへの応用も視野に入れている。

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  11. スペースポートとともに未来をひらく – ASTRO GATE
  12. ASTRO GATE は、スペースポート(宇宙港)の企画段階から運営まで一気通貫で手がけるスタートアップである。発射場の Feasibility Study や環境アセスメント、設計・建設、ロケット打上げオペレーション等の包括的なサービス提供を目指し、世界中の様々な国のスペースポートプロジェクトに関わる。ビジネスモデルは空港と同様のコンセッションモデルで、国や自治体から運営業務を受託し継続的に関わることを想定している。

    CEO の原田悠貴氏は「宇宙をより身近にするためには、宇宙サプライチェーンにおける根本である輸送領域の課題解決が必要」と以前より感じていた。特に課題となっているのがスペースポートの不足で、人工衛星会社からの打上げ需要に対してロケット会社の打上げ供給が間に合っていない状況である。

    船舶、飛行機に次ぐ次世代の長距離輸送インフラとしてロケットが台頭してくる世の中に向けて、スペースポートの開発・運用マネジメントを通じて宇宙産業のインフラを支えることを目指している。

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  13. 複数衛星のデータを補正・統合 – New Space Intelligence
  14. New Space Intelligence( NSI )は、衛星が観測した地球のデータを正確に整え、社会や環境の課題解決に活用する山口大学発スタートアップで、代表取締役 CEO の長井裕美子氏が率いる。鉄道や道路などのインフラ監視、災害時の被害把握、森林や土地利用の変化の分析など、地上からは把握しづらい広い範囲を宇宙から見守ることで人々の安全や暮らしを支えている。

    衛星の種類や観測条件によってデータの精度や形式が異なるため、複数の衛星データをそのまま比較・解析することは困難である。 NSI はこの課題を解決するために、複数の衛星データを補正・統合し誰もが利用しやすい形式へと自動変換するプラットフォーム「Satellite Data Pipeline」を構築。独自の校正技術により衛星データの信頼性と一貫性を高め、観測の高頻度化・低コスト化・高精度化を実現している。

    現地調査をすべて置き換えるのではなく、現場を補完し判断のスピードと精度を高める新たなツールとしての役割を果たしている。解析結果はレポートやダッシュボードで提供され、サブスクリプション型の継続モニタリングも可能にしている。

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  15. オートフォーカスグラスで視力低下問題の解決に挑む – エルシオ
  16. エルシオは、大阪大学発の液晶レンズの光の波面制御テクノロジーにより視力低下問題を解決するオートフォーカスグラスを開発するスタートアップである。「Elcyo Glasses」は自動でピントが合うオートフォーカスグラスで、老眼、近視、遠視等の症状を持つ人たちの視力をサポートする。現在プロトタイプ開発中で、約2年後に1本約10万円での販売を予定している。

    代表取締役 CEO の李蕣里氏は、学生時代に小児弱視と知的障碍を併発している女の子に出会い、目の病気に悩む人たちの治療をより早く安心して行ってもらいたいと考え始めたことが創業のきっかけであるという。「いつでもだれでも見たいものが見える世界」というビジョンを掲げている。

    自分の目に合わせた視界を提供する眼鏡によって、目の病気を予防し健康を守る未来を目指す。液晶レンズは眼鏡だけでなく XR グラスにも搭載可能で、デジタルデバイス使用による目の不調を防ぐ新たな見え方を提案・創造していく。

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  17. 原子力科学でSXを駆動する – エマルションフローテクノロジーズ
  18. エマルションフローテクノロジーズは、原子力研究から生まれた革新的溶媒抽出技術「 エマルションフロー」をコア技術として資源循環事業と環境ソリューション事業を展開するスタートアップである。リチウムイオン電池からのレアメタルリサイクルを目指す資源循環事業と、 PFAS などの環境汚染物質の回収・除去を目指す環境ソリューション事業の2軸で、受託開発からプラントの設計・販売・導入支援までを組み合わせた多層的なビジネスモデルで国内外への普及を目指している。

    代表取締役社長 CEO の鈴木裕士氏は、「原子力研究の成果が社会に活用されずに埋もれていく現状に対する強い危機感と、エマルションフロー技術を活用してレアメタルを取り巻く社会課題の解決に挑戦したいという強い想い」から、志を共にした研究者4人で創業した。

    レアメタルの安定確保や環境汚染物質の除去という世界規模の課題に対して、日本発の先端分離技術で解決策を提供することを目指している。

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  19. 動作解析技術で心身機能を判定 – AYUMI BIONICS
  20. AYUMI BIONICS は、慶應義塾大学発のスタートアップとして、スマートフォンを用いて従業員の筋力・バランス・反応速度などを簡便に測定できる「AYUMI Scan」を開発・提供する。従来は専門機器や多大なコストが必要だった体力測定を、動作解析技術と AI を組み合わせることで手軽に実現し、中高年従業員の労災リスクを測定してデータ解析と職場改善までサポートしている。

    代表取締役の田脇裕太氏は「日本の現場を支えたい」をミッションに掲げ、現場労働者の身体・メンタルヘルスを評価し職場の安全管理と労災予防を支援する AI システムを開発。

    心身機能データを活用した安全管理システムを広く普及させ、労働現場における転倒災害や労災の削減に貢献することを目指している。

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  21. 次世代半導体生産技術の開発 – FSMC

FSMCは、2023年に設立された半導体開発・製造スタートアップである。少量多品種のカスタム IC を誰もが手軽に利用できる世界の実現をめざし、その鍵となる「LDIC( Line-Determined IC )型カスタム IC 設計・製造アーキテクチャ」を開発。無数のバリエーションを生み出せる LDIC マスタ回路と、そのバリエーションを迅速に製造できる LDIC 製造プロセスを組み合わせることで、開発コストを100分の1以下、開発期間を最短約1週間へと短縮している。

エレクトロニクス業界では、設計ツールやフォトマスクにかかる高額な初期費用と1〜2年に及ぶ開発期間が、中小企業やニッチ用途でのカスタム IC 活用を難しくしてきた。 FSMC はこの課題を解決し、ユーザーが迅速に製品を市場投入できる環境を整える。

カスタム IC 活用のハードルを大幅に引き下げることで、これまで汎用品で妥協していた製品にも最適な半導体ソリューションを提供し、日本の半導体産業の競争力強化に貢献することを目指している。

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まとめ

第3弾では、 DeepTech ・素材・宇宙領域の11社を紹介した。これらの企業に共通するのは、大学や研究機関の基礎研究から生まれた独自技術を社会実装に繋げようとしていることである。半導体メモリ、オートフォーカスアイウェア、宇宙構造物、衛星データ解析、レアメタルリサイクルなど、いずれも長期的な研究開発に裏打ちされた深い技術的優位性を持ち、社会課題の解決に直結するソリューションを提供している。

次回第4弾では、サステナビリティ・フード・ライフスタイル領域の企業を紹介するのでお楽しみに!

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