- インタビュー
2022年09月01日
アクアポニックスで持続可能な食料生産を目指す - プラントフォーム
- 株式会社プラントフォーム
山本 祐二 - 代表取締役CEO
2022年8月19日、KDDI ∞ Laboの月次全体会において、スタートアップ6社が大企業に向けてピッチを行いました。MUGENLABO Magazine編集部のめぇ〜ちゃんが登壇企業にインタビューを行いました。
1社目はプラントフォームです。次世代の農業「アクアポニックス」で持続可能な食料生産システムを目指すスタートアップです。今回は、プラントフォーム代表取締役CEOの山本祐二氏に話を聞きました。
- めぇ〜ちゃん
- 「アクアポニックス」とは、陸上養殖と水耕栽培を同時に行う次世代の農法です!
代表取締役CEOの山本氏に伺いました
何をしている会社ですか?
山本:養殖と水耕栽培を同時に行うアクアポニックスという技術を活用し、持続可能な食料生産システム実現に向けた事業を行っています。アクアポニックスは、養殖魚の排泄物をバクテリアによって分解し、それを栄養として野菜を育て、野菜が栄養を吸うことで水を浄化し、水を捨てずに養殖と水耕栽培を行うことができるシステムです。
当社の主な事業としては、このアクアポニックスの技術を活用して農業に参入したいと考える企業等へ向けて当社の生産システムの販売と運用サポートサービスの提供を行っています。また、このアクアポニックスの技術を活用することで、植物工場で有機栽培を行えるようになるため、世界的に後れを取っている日本の有機栽培のマーケット拡大を目指しています。
養殖事業では当社はまずはチョウザメの養殖に注力して事業開発を行っており、キャビアが取れる農業の実現を目指し研究開発を行っており、2022年秋に初めてキャビアの収穫を行い販売を開始する予定です。
「アクアポニックス」の仕組み
なぜ会社を立ち上げたのですか?
山本:寒冷地の外気と雪を活用して冷却を行う最先端のデータセンター事業を、2016年に長岡で起業したのが始まりです。当社はそのデータセンターから出る「温」「冷」2つの余熱を活用した更なるエネルギー循環事業として立ち上がった会社になります。
事業構想の段階から、IT機器を使う際に使われるエネルギーが周り回って食料生産に繋がるという大変ユニークな事業モデルを実現したいと考え、当初から植物工場にターゲットを絞りリサーチを行っていました。ただ、調査していく中で限られた敷地で植物工場を黒字化させるのは困難であるということが分かりました。しかしどうしても諦めきれず、何とかならないかと海外を含めてリサーチを続ける中で、アメリカで循環型の新しい農業の技術が話題になっているという情報を知り、「これだ!」と確信したのがアクアポニックス農法です。その技術を日本でも実現させたいと、2018年に創業したのがプラントフォームになります。
これからの目標はありますか?
山本:現在、日本の有機栽培の生産比率はわずか0.5%しかありません。日本政府はその比率を伸ばそうと過去には1%という具体的な目標値を掲げて取り組んでいましたが、四季がある日本独特の風土で有機栽培を効率的に行うことは大変難しく、ほとんど生産量を上げることができませんでした。しかし、この間にも世界のオーガニックマーケットは成長を遂げ、フランスは既に日本の10倍を超える生産比率を達成し、既に1兆円を超えるマーケットが年間20%という数字で更に急成長しています。
つまり日本は完全に取り残されている状況にあります。しかし、当社のアクアポニックスの技術を活用した植物工場が広がれば、これまで実現できなかった有機野菜の安定生産、大量生産を国内で実現することができます。その為に当社はアクアポニックス型植物工場の全国展開を行い、「誰もが、いつでも有機野菜を選べる世界の実現」を目指しています。(2050年に有機栽培の生産比率を25%へ拡大させるという、農水省が立てた新たな日本の農業振興に関する目標値達成への貢献も目指しています)
最後に一言お願いします
山本:当社は現状アクアポニックスの技術を活用しておりますが、アクアポニックスの会社ではありません。当社が目指しているのは有機栽培をいつでも誰でも選べる社会の実現、そして水産業を含めた持続可能な食料生産モデルの実現です。そのためにはアクアポニックス技術の発展と新技術の開発が急務となっています。
当社事業モデルとシナジーを生み出せそうな技術やアセットをお持ちの企業様がおりましたら、是非お声がけお願いします。そして、まずは当社プラントに見学に来てください。そして新しい食料生産の仕組みとその可能性を感じてください。
- めぇ〜ちゃん
-
「キャビアが取れる農業」はなんだかワクワクしますね!
それでは次回もお楽しみに!
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