- インタビュー
2023年01月17日
【Web3起業家シリーズ】NFTブランドとコラボ、街×ARに新たな体験と価値を創造(1)——Psychic VR Lab XRアーティストDiscont氏
Psychic VR Labは近年、XR(Extended Reality)ソリューション「STYLY」で実在する街にARを重ね合わせる事業を展開しており、MUGENLABO Magazineでも取り上げてきました。そこに、さらにNFTを組み合わせた試みとして、NFTブランド「NEO TOKYO PUNKS」とのコラボAR「NEO TOKYO CLASH」を11月から12月にかけて展開しました。
今回のコラボARで重要な役割を担ったのが、2021年からPsychic VR Labに参画されたXRアーティストのDiscontこと一岡洋佑(いちおか・ひろすけ)さんです。コミュニティやクラスタが異なると言われるXRやARとNFTとを掛け合わせた理由、そして初めての試みは幕を閉じましたが、コラボ ARの今後の構想などについてDiscontさんに話を聞きました。
Psychic VR Labは当初、ファッションVRなど色々なVRを手掛けていましたが、最近は都市にVRを重ねるなど、デジタルツインの方に寄ってきているのでしょうか?
Discont:Psychic VR Labとして「STYLY」プラットフォームを開発する点において一貫はしているんですけど、ターゲットが少しずつ変わってきてるというのはおっしゃる通りです。哲学みたいな部分はずっと残り続けていて、僕達は「空間を身にまとう」時代をつくるというのをミッションに掲げています。
空間を身にまとうのが、ファッション文脈でもあり、都市の文脈でもあるわけです。当初立ち上げた時はファッションを強く意識した文脈だったのですが、それが少しずつスケールアップされていって、ファッションから自分の周りの空間へと展開し、その延長線で都市空間にどんどん広がりをみせているイメージですね。
今年の初めにリアルメタバースという新しい概念を打ち出し、そこから都市とARにフォーカスし始めました。メタバースにはいろんな考え方がある中で、バーチャル空間にアバターで入っていくメタバースが一般的だと思うんですが、もっとリアルの世界に寄ったメタバースがあると思い、それをリアルメタバースという言葉で表現しました。
まさに都市空間の中にARで世界観を重ねるような構想をしているのですが、それをやっと実現できるようになったのが今年の10月で、WIRED のカンファレンス(WIRED CONFERENCE 2022)で、STYLYに追加した都市機能とNFT機能を発表しました。そこから本格的に都市ARが動き始めました。
STYLY に追加された都市機能。テンプレートから、日本の6都市が選べる。
都市とVRにフォーカスしたリアルメタバースという点では、1月25日にKDDIと発表した「XRscape」でもある程度実現できていると思うのですが、そこにNFTを加えようと思われたのはなぜでしょうか?
Discont:メタバースの本質にNFTが絶対必要というわけではないとは思うのですが、XR 空間に存在する作品を売買する時にNFTの技術を取り入れた方がより説得力があります。STYLYというプラットフォーム上でできることを広げるという意味でNFTの機能を取り入れています。
今回のNEO TOKYO CLASHは、NEO TOKYO PUNKSとのコラボですね。Psychic VR Labとどのように役割分担しているのですか?
Discont:今回の企画はNEO TOKYO PUNKSさんとのコラボレーションという形で実現しました。NTPのみなさんに監修をいただきつつ、NEO TOKYO CLASHのARコンテンツを作り上げていきました。NEO TOKYO PUNKSは、サイバーパンク×アニメ風イラストを特徴とするNFTコレクションです。その世界観をARで都市に拡張したのがNEO TOKYO CLASHです。
Psychic VR LabはMETADIMENSIONSというプロジェクトを通じ、さまざまなアーティストやNFTブランドの世界観を都市ARコンテンツに落とし込んでいきたいと考えています。METADIMENSIONSは単にARコンテンツのプロデュース集団というわけではなく、アーティスト一人ひとりと向き合い、共にAR表現の最前線を切り開いていく表現者集団でありたいと思っています。そういう意思を込めて、私たちは自分たちを表現者たちの集合体「コレクティブ」と呼んでいます。
コレクティブとして、今後は渋谷だけでなく、さまざまなロケーションでさまざまなアーティストとコラボレーションし、都市ARコンテンツを展開していきます。最終的には都市をデジタルアートで埋め尽くし、都市をもっと彩り豊かな空間にしていくので、ぜひMETADIMENSIONSの今後の活動にも注目していただけると嬉しいです。
METADIMENSIONSは、NFTブランドやアーティストとコラボして、いろいろ作品を作っており、NEO TOKYO CLASHもその一つです。先月は別の NFT プロジェクト「BŌSŌ TOKYO(暴走東京)」とコラボしました。そんな感じで、1ヶ月単位でブランドとコラボし、渋谷のスクランブル交差点を舞台にアーティストがいろんな表現をインストールしています。
今は渋谷スクランブル交差点を中心とした渋谷だけですが、次第に、大阪とか京都とか、もっと日本の都市にも展開していきたいと思ってますし、海外にも展開していきたいと思っています。METADIMENSIONSも将来的にはDAOのような運営にしたいんですが、現在はまだそこまで至っていなくって、ほとんど私が決めています。将来はメンバーで作っていきたいです。
後編へ続く:【Web3起業家シリーズ】都市ARにNFTが必要なワケ(2)——Psychic VR Lab XRアーティストDiscont氏
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