- インタビュー
2021年03月09日
エンターテインメント領域で新たな産業創出をーーテレビ東京コミュニケーションズの投資活動
- テレビ東京コミュニケーションズ
遠藤 哲也 - メディア事業開発本部 ビジネスデザイン部
兼テレビ東京 ビジネスプロデューサー
企業の共創活動をリレー的に繋ぐコーナー、前回お届けしたヤマトHDのスタートアップ投資に続いてお届けするのは、テレビ東京コミュニケーションズのスタートアップ投資活動です。
テレビ東京のグループはテレビ東京ホールディングスをトップに、中核となる地上波とBS放送のテレビ東京とBSテレビ東京、テレビ通販やEC、コンテンツなどの周辺事業を手がける連結子会社12社、そしてコミュニケーション領域として動画配信事業などを手がけるテレビ東京コミュニケーションズが集まって構成されています。
テレビ東京ホールディングスが昨年に公表した中期経営計画では、コロナ禍における厳しい広告収入を前提としており、放送収益の落ち込みを最小限に抑えつつ、アニメ・コンテンツ事業やイベント、通販といった放送外・周辺領域の事業展開を強化するとしています。
本記事ではその中にあってクロスメディアや動画配信、IP事業などを手がけるテレビ東京コミュニケーションズが窓口となって推進する、スタートアップ投資の活動についてお伺いしました。(太字の質問は MUGENLABO Magazine編集部、回答はテレビ東京コミュニケーションズBusiness Producerの遠藤哲也さん)
事業本体からの投資活動ということですが、どのようなフォーカスで出資されていますか
遠藤:スタートアップとの事業シナジーを目的に出資をはじめました。投資領域は日本国内オンリーで、エンターテインメント領域に出資をしております。CVC形態ではなくプリンシパル投資のみです。出資した企業との事業連携により、実益をスタートアップと創出できるよう意識しております。出資後、すぐに現場に実装できるよう、密なコミュニケーションを取らせて頂き、各部署にスタートアップサービスの紹介、連携推進をしております。またメディア戦略や事業戦略のアドバイスも行っており、積極的な企業グロースのバックアップをさせて頂いております。
かなり明確な投資方針でわかりやすいですね。具体的なケーススタディはどのようなものがありますか
遠藤:出資先のZeppyとはデジタル経済番組の共同制作を実施しています。Zeppyは投資領域に特化したYouTubeコンテンツ制作を手がけていて、「投資をもっと普通のことに」をミッションに、投資の大衆化を目指し活動している企業です。株式投資専門チャンネルとしては国内最大級で、このZeppyに所属するYouTuberと連携することで、幅広い属性の個人投資家やYouTubeを日常的に視聴する一般層へのリーチを目的とした取り組みをしています。
また、同様に出資先のSEPALとは保有IPを活用したグッズ販売を実施しています。LINEと連動したECシステムで、若年層へシームレスなグッズセールスを目的とした取り組みです。彼らのECサービス「Live self order」はイベント事業者を中心に一気に活用が広がっています。
マーケットを変革するためにも、スタートアップは文字通りスタートしたら「アップ」し続けるべきだと思っています。世の中のニーズを捉え、経済の牽引役となる新たな産業を創出するべきです。私自身、スタートアップでマーケットへチャレンジしてきた経験もあり、現職でもそういった果敢にチャレンジするスタートアップを本気でバックアップしたいと思っています。
具体的な出資のポリシーや意思決定のフローはどのようになっていますか
遠藤:マイノリティ出資、リードを取ってのマジョリティ出資など、出資先企業毎に違います。出資時の重要な判断軸は、(1)経営者、(2)事業シナジー含めてのマーケットの成長性、(3)優位性です。
初面談から出資までのスケジュールとして、おおよそ3〜4カ月は頂いております。現場担当がスタートアップと面談し、その後、私に案件の報告があります。マーケットとビジネスモデルが弊社の事業拡張領域とフィットするのであれば、私の方で改めて面談のお時間を頂いております。更にビジネスゲインやキャピタルゲイン、共に見込めるようであればDD(デューデリジェンス)に進んで出資計画書を作成します。その後、役員に提案して細かい部分でのフィードバック、最終チェックを経て出資委員会での決議、出資という流れになります。
新たなアイデアや技術、ビジネスモデルに挑戦する方々と一緒に共創し、新たな産業創出にチャレンジしていきたいですね。
ありがとうございました。
ということでテレビ東京コミュニケーションズのスタートアップ投資活動についてお届けしました。次回もお楽しみに。