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2025年04月14日

SXSW2025参加レポートVol.1ーースタートアップによるSXSW Pitch

KDDI Open Innovation Fundのサンフランシスコ拠点では、北米や欧州のスタートアップ企業への投資や事業連携を目的として活動しています。このコーナでは現地で発見した最新のテクノロジーやサービス、トレンドなどをKDDIアメリカの一色よりお送りします。

今回は、3/7~15にアメリカテキサス州オースティンにて開催された大型テックイベントSXSW 2025(South by Southwest / サウス・バイ・サウスウエスト、以下SXSW)について、2部作でお伝えします。


一色 望KDDIアメリカ
本誌の記者。KDDIオープンイノベーションファンドのアメリカ サンフランシスコ拠点でスタートアップとKDDIの事業創造を目指し、ディールソーシング(投資先探し)と投資評価に取り組み、既存の投資先企業もサポートしながらMUGENLABO Magazineの制作に携わる。趣味は世の中のトレンドサーチと、美味しいお店巡り、旅行、ジム通い。

SXSWとは

アメリカテキサス州オースティンにて開催される、テクノロジーと音楽・映画の祭典として知られる年次イベントです。元々は音楽関係者のイベントとして1987年に開始され、アーティストやクリエイターなどのクリエイティブな人々の目標達成をサポートするという開催理念があります。テクノロジーのほか、映画、音楽、教育、カルチャーなど多岐にわたるトピックが扱われ、参加者も大手企業、スタートアップ、メディア・エンタメ業界関係者、政府関係者、大学教授など幅広いことが特徴です。

今年は、「AIにおけるセキュリティと信頼性、AIと量子コンピューティングの次の時代、エンターテイメントにおけるイノベーション、サステナビリティと気候変動における新たな解決策」などが焦点に当てられ、これらのテーマに沿ったセッションやキーノートが開催されました。

SXSW Pitch概要

今年で17回目の開催となるアーリーステージスタートアップのピッチコンテストです。2025年のカテゴリは9つで、ファイナリストの総計は45社となりました。

2日間にわたりピッチが行われた後、各カテゴリの優勝者とスペシャルアワードの受賞者が発表されました。各部門の受賞者は以下の通りです。

各部門の受賞者

  1. AgTech & Food部門優勝:Knead Technologies
    $940Bにのぼるフードロス問題に対処するため、リアルタイムに食品廃棄物を回収し食品の再利用につなげる物流ソフトウェア・ソリューションを提供しています。フードレスキュー版のUberと呼ばれ、ソーシャルインパクト企業としても注目されています。

  2. サービスイメージ

  3. Best In Show受賞、Enterprise, Smart Data, FinTech & Future of Work部門優勝:Peadbo

    安全なデータトランザクションのためのエージェント型AIインフラストラクチャで、企業が情報漏洩リスクを負うことなくAIツールを利活用することができます。また、独自のSLM(Small Language Model)エージェントを使用して、AIが生成したなりすましの検知、不正行為の防止、AIの透明性の強化を実施し、AWS、Google、NVIDIAなど名だたる企業と連携しています。


  4. サービスイメージ

  5. Entertainment, Media, Sports & Content部門優勝:NeuralGarage
    海外映画など非母国語のコンテンツにおいて、吹替音声と一致した違和感のない口の動きを生成できるエンタメ業界向けのAIスタートアップです。Google AI AcceleratorやAWS GenAI Acceleratorなど、複数のアクセラレーションプログラムへの採択実績があります。
  6. HealthTech, MedTech, BioTech & Accessibility部門優勝:Glidance
    目の不自由な方や弱視の方の自立した移動をサポートするために設計された、世界初のAI搭載自律型移動補助装置です。障害物や危険物の検知や、ドアや階段などの位置特定などの機能が搭載されており、ユーザーに安全性と快適さを提供します。
  7. Innovative World Tech部門優勝:Xatoms
    特許取得済みの量子化学とAI技術により、太陽光を利用して汚染物質から水を浄化できる新しい光触媒材料を開発しています。
  8. Robotics, Web3, Voice & Extended Reality部門優勝:Contoro
    輸送コンテナやトレーラーなどの荷物の積み降ろしを自動化する、AI搭載のアーム型ロボットを開発しています。同社の先進的なHITL(Human-in-the-Loop)モデルは、実際の稼働において99%以上の成功を保証しており、NASAや大手小売企業などに導入されています。

  9. サービスイメージ

  10. Security, GovTech & Space部門優勝:Little Place Labs
    先進的なスペースエッジコンピューティングと衛星上の機械学習を活用し、アセットの監視、災害検知、海上監視などを提供しています。米空軍に採用されており、意思決定に関わる正確でタイムリーなデータを提供しています。
  11. Smart Cities, Transportation & Sustainability部門優勝:Helix Earths
    NASAの宇宙ミッション用に開発した技術を応用して、業務用屋上空調の効率を改善し、電気代を最大50%削減する装置を開発しました。CO2排出量も大幅に削減することができます。

惜しくも受賞には至りませんでしたが、日本からは2社の企業がSXSWファイナリストに選出されており、大勢の聴衆の前でプレゼンテーションを実施しました。

  1. MUSE
    主にリテール業界向けの業務効率化と顧客エンゲージメント強化を目的として、多用途ロボット「Armo」とデータサービスを統合したロボティクスプラットフォーム「Eureka Platform」を開発しています。

    ロボットはモジュールを組み合わせることで在庫搬送、棚のスキャニング、顧客案内、プロモーションなどのタスクを実行し、プラットフォームでは在庫不足や棚の不一致を検知して効率的な店舗運営を実現します。


  2. 展示イメージ

  3. MyEndoscope
    VRシミュレーションアプリとBluetooth対応コントローラーを組み合わせた、ポータブル内視鏡トレーニングシステムを開発しています。未踏アドバンスト事業に採択されています。
  4. 一色一色
    SXSW Pitchに出場した日本のスタートアップ「MUSE」と面会しました!リテールと物流に特化したロボティクスを開発していて、テキサスに子会社を設立しているそうです!
    注目のキーノートやセッションの内容についてお届けする、続編のSXSW2025参加レポートVol.2もお楽しみに!

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