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2022年06月08日

SXSW2022参加レポートVol.4ーーCreative Industries Expo

KDDI Open Innovation Fundのサンフランシスコ拠点では、北米や欧州のスタートアップ企業への投資や事業連携を目的として活動しています。このコーナでは現地で発見した最新のテクノロジーやサービス、トレンドなどをKDDIアメリカの一色よりお送りします。3/11~20にアメリカテキサス州オースティンにて開催された大型テックイベントSXSW2022(South by Southwest / サウス・バイ・サウスウエスト、以下SXSW)のレポート記事第四部をお届けいたします。


一色 望KDDIアメリカ
本誌の記者。KDDIオープンイノベーションファンドのアメリカ サンフランシスコ拠点でスタートアップとKDDIの事業創造を目指し、ディールソーシング(投資先探し)と投資評価に取り組み、既存の投資先企業もサポートしながらMUGENLABO Magazineの制作に携わる。趣味は世の中のトレンドサーチと、美味しいお店巡り、旅行、ジム通い。

はじめに

この記事では、SXSWの最終章として、最大の展示会であるCreative Industries Expoについてお伝えしたいと思います。他のテックカンファレンスとは異なる特徴として、その場で購入可能なファッションやアートのブースが多数あったり、まるでゲームセンターのごとくゲーム機がたくさん並んだコーナーがあったりと、一般の来場者も楽しめる工夫がたくさんなされていました。実際に、会場では小さな子どもが走り回っていたり、ペットの犬を連れて歩く来場者がいたりと、通常のカンファレンスでは見られない光景を目にして驚きました。


バーチャル試着が楽しめるMirelz体験の様子

注目のブース出展企業

今年のSXSW Creative Industries Expoは数百社の出展があったそうですが、メインは欧米の企業で、日本を含むアジア諸国からの来場者・出展者は共にとても少なく感じました。その中でも会場で一際目立つ出展を遂げた日本発企業がありましたので、本記事で紹介したいと思います。

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1社目はShiftallです。パナソニックの子会社で、今年1月のCESでメタバース関連デバイスのリリースについて発表し、注目を集めた企業です。CESの際には発表のみでしたが、SXSWでは実際にデバイスのデモを体験することができました!


Shiftallのブースの様子

出展されていたのは、グラス型のVRヘッドセットMeganeX、メタバース空間でのプライベートなボイスチャットを可能とするmutalk、メタバース空間とリンクして体感温度を変動させることができるPebbleFeelの3つです。
MeganeXは、一見するとその名の通りメガネですが、実は軽量かつ高機能なVRヘッドセットです。長時間の装着を想定して極限まで軽量化を行ったそうで、重さはたったの250グラムしかありません(通常のVRゴーグルは、重たいものだと600グラムほどもあるようです)。

私も試しにかけてみましたが、ARグラスのような感覚で装着でき、VRゴーグルをつけるときの煩わしさから解消された気分でした。軽量だからといって機能を削ぎ落しているわけでもなく、OLEDディスプレイ搭載、6DoF対応となっており解像度とトラッキングシステムも申し分なさそうです。

またPebbleFeelのデモでは、VR空間上に暖炉のイラストと雪だるまのイラストが表示された各々の部屋が用意されており、暖炉に近づくと首に設置されたウェアラブルデバイスが徐々に温かくなり、雪だるまに近づくと冷たくなるという体験ができました。


メタバース関連のデバイス

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CESで発表されたメタバース関連のデバイスがこんなに早く体験できるとは思いませんでした!発売はCES発表時より少し遅れて、年内を目指すとのことです。

SXSWのオンライン会場では、Shiftallプレゼンツでライブパフォーマンスが行われたことでも注目を集めました。
このようなメタバースと連動したウェアラブルデバイスは、温度を感じられるShiftallのほかにも先日の記事で紹介した振動が感じられるFeelbeltなど、CESやSXSWでも複数の企業が開発を進めていますが、うまくゲームやコンテンツと連動できれば、より没入感の増す映像視聴体験ができるようになるため、今後の発展やコンテンツとの連携に期待したいです。

2つめの日本企業はZOZONEXTです。ZOZOTOWNのグループ会社で、主にグループ内では研究開発、R&Dの役割を担っています。ブースでお話しを聞いた所、もともとグローバルでの事業展開を目指していて、今後本格的なアメリカ進出に伴い、SXSWでの出展に至ったということでした。先述のShiftallと同じく、他のブースと比較してかなり大きなスペースを確保してのブース出展であったことから、その意気込みを窺い知ることができました。


黒を基調としたシックでモダンなZOZONEXTブースの様子


ZOZONEXTのバーチャルヒューマンクリエイター体験ブース

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中でもバーチャルヒューマンクリエイターの体験ブースは常に人だかりができていました。顔写真を撮影して、体重・慎重などの情報を入力すると、すぐに自分そっくりな3Dアバターが生成され、アバターを使ってバーチャル試着が楽しめるという体験ができます。大人気のコンテンツでメディアも多く集まっていました。ただ残念ながら私は体験できませんでしたが、自分にそっくりのアバターが即時に生成される様子に、体験した人からは驚きの声が上がっていました!

またこのほかにも東京大学とZOZONEXTが共同開発したスマートテキスタイルの展示がありました。スマートテキスタイルとは日本の伝統工芸である西陣織をテクノロジーによって進化させたものであり、周囲の温度に合わせて色が変化する織物や、紐状の有機ELを使って発光する織物などが展示されており、その美しさは圧巻でした。日本が世界に誇る伝統工芸と最新のテクノロジーの融合によって新たな美やファッションを創出する。これこそ真のイノベーションではないかと感じました。

他にも、遠隔で重機の操作が体験できるデモブースを設置したeinrideや、CESとSXSW両方でアワードを受賞したホログラフィックプロジェクションボックスを提供するPROTO、気球型のユニークで先進的な乗り物での宇宙旅行体験を提供するWORLD VIEWなどがEXPOでは特に人気のブースであり、人が列を成していました。どれも近未来を感じられるとても面白いデモでしたので、是非一度HPを見てみていただければと思います。


einrideのブース

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einrideのブースに実物大の巨大トラックが出現しました。この奥にオペレーションコーナーがあり、実際にスウェーデンの現場とリンクしてリモートコントロール作業が体験できました!


PROTOブース

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4Kカメラでその場で撮影した人物映像が、ものの数秒で即座にこのボックス内に表示されます。文字は人物の前に表示されるようになっており、奥行きも表現されててクオリティが高かったです!


WORLD VIEWブース

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この球体の中でバーチャル宇宙旅行が体験できます!

最後に

4回にわたるSXSWのレポート記事はいかがだったでしょうか?実は、今回紹介したCreative Expoの他にも、ヘルスケアやオルタナティブフードなどが集結するWellness Expoや、あらゆるVRコンテンツ、ソリューションを中心に展示するXR Experienceも別会場で実施されており、記事には書ききれないほどたくさんの体験をしてきました。

街全体をあげて開催されるSXSWは、1つの会場に収まりきらないスケールなので移動だけでもかなり時間がかかってしまうことが多く、周囲の参加者と常に情報交換をしながら1日1日の動き方の戦略を立てていました。現地でもたくさんの学びがありましたが、今回はオンライン会場には参加できなかったので、来年はオンライン・オフライン両方で参加してみたいと思います。日本からも、オンラインでしたら気軽に参加できるかもしれませんので、興味がある方は是非覗いてみてください。

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ちなみに、今回は会期中に現地で日本人オフ会が開催されました。シリコンバレーやニューヨークなどに居住する日系企業駐在員の他、日本企業からの出張者、日本人の起業家、日本からの留学生、SXSW JAPAN OFFICEの方々、中にはSXSWが大好きで日本から観光として来ている方もいました。全体で50人ほど集まっていたと思います。現地でのネットワークもできて非常に内容の濃いイベントとなりました。

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