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2022年05月06日

NFT保有者が増える東南アジアのWEB3トレンドーー海外トレンドレポート  

KDDI Open Innovation Fundのシンガポール拠点では、東南アジアのスタートアップ企業への投資や事業連携を目的として活動しています。このコーナーでは現地で発見した最新のテクノロジーやサービス、トレンドなどをKDDIシンガポールのイーフィーよりお送りします。第二弾として、東南アジアにおけるWEB3トレンドについて紹介いたします。


イーフィーKDDIシンガポール
はじめまして!KDDIシンガポールのイーフィーと申します。趣味は、中小企業のケーススタディ、マイクロプライベートエクイティなどに関するノンフィクションを読むことに加え、戦略系のボードゲームとスキー・登山などです。
現地で発見した最新のテクノロジーやサービス、トレンドなどをMugenlabo Magazineを通して皆様にお届けできればと思います。よろしくお願いいたします!

シンガポール発のNFT付き物理コレクションの「MightyJaxx」とは

2012年に設立されたMightyJaxx社は、コレクタブル・トイを製造・配送する単独事業からスタートし、F1、ワーナーブラザーズ、ハスブロ、東映アニメーションなどの巨大ブランドとコラボレーションするまでに成長しました。その後、ハイテクを駆使したコレクターズトイやNFTの生産にも進出しています。

2021年7月には、Korea Investment PartnersやKB Investmentなど他の投資家を含む、Tencent主導の資金調達ラウンドで1,000万ドルを調達、これにより同社の資金調達総額は約1,480万ドルとなりました。同社はすでにシンガポールと中国にも定着し、ロンドンとロサンゼルスにもオフィスを構えています。今後は米国と欧州で規模を拡大するために重要な幹部職を加え、世界でのプレゼンスを高める計画です。

2020年4月の前回のラウンドでは、NFT対応の物理的なコレクションのためのプラットフォーム"MightyVerse"の開発のために320万ドルを調達しました。このラウンドは、韓国最大の銀行の1つであるKB Financial Groupが主導し、Greycroft PartnersのゲームファンドGC VR Gaming Tracker Fundと、出戻り投資家のSGInnovateも参加しました。

MightyVerseの開発は、MightyJaxxがUbisoftのEntrepreneurs' Labに参加した際に生み出されたものです。MightyVerseのプラットフォームにより、MightyJaxxのコレクションは情報やデジタル資産を保存することができます。この機能の拡張として、このプラットフォームではグッズに搭載された固有のNFCチップをスキャンしてNFTを生成することが可能です。

物理的なコレクションからNFTを生成するためのスキャニングプロセス

NFTの生成は、物理的なコレクションを購入することによってのみ可能です。

  1. MightyJaxxのアプリをダウンロードして、アカウントを作ります。
  2. MightyJaxxのコレクションから、NFCチップを覆っているシールをはがします。

  3. NFCチップを覆っているシール

  4. スマートフォンのNFCリーダーをチップに合わせ、MightyJaxxのコレクションをスキャンします。
  5. 認証されると、ユーザーは認証されたコレクションを自身のアプリ内にて保管できます。


NFCリーダースキャン画面

東南アジアの主要市場におけるNFT関連のスタートアップ

東南アジアの新興国はNFT保有率で世界をリードしています。比較した20カ国中、フィリピンが最もNFT所有者が多く(32%)、次いでタイ(27%)、マレーシア(24%)、UAE(23%)、ベトナム(17%)の順となっていました。なお、NFTを保有するインターネットユーザーの割合が最も少ないのは日本(2%)でした。このように、東南アジアをNFTで盛り上げている注目すべきスタートアップ3社を紹介します。

TokoMall : インドネシア
インドネシアトップの暗号通貨取引所であるTokoCryptoは、国内初のマルチカテゴリーNFTマーケットプレイスとしてTokoMallを立ち上げました。2017年に設立されたTokoCryptoは、Signum CapitalとBinanceなどから資金調達。2021年8月にローンチしたTokoMallは地元の芸術や文化に焦点を当て、より多くのインドネシアのクリエイターがオンラインで作品を販売できるようにすることを目指しています。

Sky Mavis : ベトナム
Sky MavisはAxie Infinityを運営するゲーム会社です。Axie InfinityはAxie(NFT)と呼ばれる生き物のアバターを購入し、他のAxieとの戦闘、探索、繁殖に使用するデジタルペットコミュニティで、暗号通貨イーサリアムを通じて運営されています。2019年に設立したSky Mavisはベトナムのホーチミン市が本社で、3回のラウンドでAccelやAndreessen Horowitzなど世界のトップVCから合計16,100万ドルの資金を調達しました。

Fraction : タイ
Fractionは個人および企業が、あらゆる暗号資産の小数所有権を投資、販売、管理できるようにするプラットフォームです。当初のNFT用途は不動産ですが、他のアセットにも拡大する予定です。

最後に

イーフィーイーフィー
今回訪ねたMightyJaxxの実店舗は、何の変哲もないショッピングモールの地下にありました。店舗自体は非常に小さく(おそらく20平方メートル以下)、人の家にあるようなありふれたガラスキャビネットが置かれているだけの簡素なものでした。

特にコレクターズアイテムに興味がない私の偏見かもしれませんが、MightyJaxxが物理的なコレクションにNFT機能を搭載したのは、純粋に顧客に付加価値を提供するためというよりは、NFTを関連付けることで投資を募ることが目的だったのではとも推察してしまいます。

最近ではAxieがハッキングされ、ゲームの暗号通貨6億ドル相当が失われましたが、被害を受けた人々には法的措置がほとんどなかったそうです。一般消費者にとっては暗号資産を購入する真のリスクが何かはまだよく分かっていないのが実情ですが、それでもこの領域で多くの起業家が集まる東南アジア市場は今後も要注目です。

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