1. TOP
  2. インタビュー
  3. 新・企業共創時代:共創が真の産業を生み出すためには - KDDI 中馬和彦 Vol.4
  • インタビュー

2020年11月10日

新・企業共創時代:共創が真の産業を生み出すためには - KDDI 中馬和彦 Vol.4

KDDI中馬
KDDI株式会社
中馬和彦
ビジネスインキュベーション推進部長/KDDI ∞ Labo長

長期に渡る連載も最終回です。中馬さんと語ってきたこれまでは、共創という仕組みをどうやって作り、運営し、そしてそこに携わる人たちにどのような覚悟が必要なのか、それを問い直す時間でした。最終回はこの共創という方法が狭い意味での「協業」に終わらず、産業というステージに向かうためにどのようなアイデアが必要になるのか、それをインタビューの締め括りとしてお送りしたいと思います。(文中の質問者はMUGENLABO Magazine編集部、回答はKDDIビジネスインキュベーション推進部長 中馬和彦、文中敬称略)


共創が真の産業を生み出すためには

2011年から始まったKDDIの共創への取り組みは2020年に5Gという新しいキーワードを携えて、次のステージに移ろうとしています。思えばこの10年はスマートフォンによるモバイルインターネットへのシフトでした。次のシフトは全産業のデジタル化ということでしたが、これはどのタイミングで実社会に実装されるとお考えですか

中馬:僕はコロナ前、2020年から5Gが始まり、最初の5年と最後の5年って言っていて、最後のゴールは2030年ごろまでかかるんじゃないかと言っていました。やっぱりリアルを絡めなきゃいけないし、確かに自動運転とか言っても時間もかかるから前半の5年で色んなアイディアを仕込んで、後半の5年に大きくダイナミックに反映されてくる。という予想で「2030年」が鍵になると言っていたんです。

ただ、コロナによって社会は変わってしまいました。

リアルの価値は早くも落ち始めていて、よりバーチャルとかデジタルドリブンで物事を進めざるを得なくなっています。そう考えるとやっぱ5年ぐらい短縮したなと思ってるので2025年あたりがターゲットですね。5年で社会は完成すると思いますよ。だから、ここ一年が勝負だと思います。本当にこの一年。

このシフト、波を自分たちの力にするために必要なことを改めて教えてください

中馬:2つポイントがあると思っていて、まず一つは人ですね。やっぱり最後は人に帰着するので、これは今の大企業にいる優秀な中間層をどのくらい流動化させられるか。ここがやっぱり一番大きいと思います。企業っていう形を維持した状態のままで業務提携してやっていくんですけど、KDDIから見える景色と例えばトヨタ自動車から見える景色は全く違っていて、だから僕らがどれだけ頭使ってトヨタ自動車を考えても、僕たちはトヨタにはなれないんですよ。

その点で言うとやっぱりその双方にそれぞれのことを理解する人たちをもっと増やさないといけない。本当の意味でのダイナミックで新しい産業革命を日本から興そうと思うと、人が必要なんです。

この大企業の人材がダイナミックに流動化する件については実はちょっと妄想していることがあって、極端に言うと大企業間で転職しても引き継がれていく仕組みについてです。大企業リパブリックというアイデアなんですが、大企業の企業年金とかいろんな福利厚生を全部統一して、大企業での評価制度を含めて色々なスキルが可視化できるようになると、それぞれの企業の知恵が流動化する。

日本ってセーフティーネットみたいなのがあるようでいて、会社を辞めた途端イチ個人になってしまうっていう怖さが、やっぱり人材の流動化を妨げているように思うんです。そういう人たちが自由に動けるような仕組みを小規模でも作っていかないと、日本はこのまま変われないんじゃないかと懸念しています。

もう一点はグローバルですね。

僕らの課題はやっぱり国内ではプラットフォーマーとしてアセット提供もできるし、新規事業の担い手としてまあ何かしらできると思うんですけどちょっと海外に出た瞬間、プラットフォーマーとしての軸足が非常に弱すぎる。モンゴルとかミャンマーでは事業をやってますけど、コンシューマー向けのプラットフォームビジネスを展開しているのはその2カ国しかないわけで、もっと規模を出していかないとグローバル競争の環境では勝ち抜くことができません。

だからこそ一社単独ではなく、大企業同士のアライアンスによって始めから大きな規模での事業を設計していくことが、これから日本企業がグローバルへシフトしていく上での鍵ではないかと思っています。

ありがとうございました。

関連記事

インタビューの記事

すべての記事を見る記事一覧を見る

Contactお問い合わせ

掲載記事および、
KDDI Open Innovation Program
に関する お問い合わせはこちらを
ご覧ください。