- インタビュー
2023年03月10日
Z世代が「Z世代起業家の原動力って何?」を聞いてきた(1)——僕と私と株式会社代表・今瀧氏
Z世代ーー。概ね1990年代から2010年代に誕生したデジタルネイティブ世代を指していつしか「Z世代(Generation Z)」と呼ぶようになりました。生まれながらにしてデジタル化・情報化が進んだ世界で生まれ育った彼らは現在、20代から30代に差し掛かろうという時期にあります。
言葉で一括りにしようとする一方、マス・コミュニケーションが全般だった昭和や平成初期と異なり、ソーシャルメディアやパーソナライズによって分散化された世界で成長した彼らを何か一言で表現することは困難です。
そのような世代において一社、この世代に共感を得ている会社があります。食べられるお茶「咲茶」や、メンズも通えるネイルサロン「KANGOL NAIL」などのヒット企画で知られる「僕と私と株式会社」です。
企画だけでなく働き方や「メンバー全員社長化」など自分たちならではの価値観を表現する同社。2020年創業の若い企業は何を考え、どこに向かうのか、MUGENLABO Magazine編集部で自身もZ世代の丹羽が代表の今瀧健登さんにお話を伺ってきました。(文中の敬称は略させていただいています)
まず、今瀧さんは大学在学中に小学校の特別教員をされたり、正社員として働きながら起業されています。その行動力やモチベーションについて伺えますか?
今瀧:モチベーションや原動力については根幹となる考え方が二つあって、一つ目が「考えるより行動する」ということ。二つ目は「いつ死んでもいいように生きる」ということです。基本的には若干生き急いでいるような生き方をしています。弊社では僕含めZ世代が多く、僕自身が今25歳なので経験や知識はまだまだ少ない。どうすればいいだろうと色々考えている暇があるのなら行動した方がいいなと思ってます。
なぜかというと単純に経験とか知識が浅いので、めちゃくちゃ考えてめちゃくちゃ設計しても結果として全然違ったという風に、想定と事実ベースの乖離が大きい。基本的には考えても想定通りにならないことが多いんです。考える精度が低いので想定通りにならないことが多いというのが一つ。もう一つはまだ若かったりするのでぶっちゃけ取り返しがつくというか、失敗が失敗のままにならない。なので、とりあえずいろんなことに挑戦してみる方がいいと考えています。
いつ死んでもいいように生きるというところでは、人はいつ死ぬか分からないと思っていて、毎年すごい数の人が事故とかで亡くなりますが、その人たちが明日死ぬと思って生きてはいないじゃないですか。極論これが僕の最後のインタビューになるかもしれないし、未来のことは分からない。予測できないので、その中でできる限り楽しく生きるという考えがあります。この二つが僕の根本的な考え方です。
モチベーションの原動力については、人それぞれモチベーションは多分全然違うと思っています。何をモチベーションとして生きるのか。僕の場合は達成欲とかは皆無なんです。何かを達成したいとかお金を稼ぎたいといったことは何の感情も湧かないぐらい皆無で、全くないんです。人と話すのは楽しいので、人と話すために働く。そういう自分のモチベーションに合わせた働き方を理解してるからずっと維持できるのかなとは思ってます。
僕と私と株式会社でのワーケーションの様子
そのような価値観は何がきっかけで生まれたのですか?
今瀧:誰かに何か言われたというよりは、起業して色々やっていく中で考えても全然そうじゃないことも多くて。ただ自分でやってみた方が早く学べたり、失敗しても結果としてそれが成功に繋がるといったことがあるので、基本的には考えるより行動して後でフィックスするようにしてきました。今僕が起業しているのもそうなんですよ。元々学部でやっていたことは教育学なわけで、経営も経済も分からない中でやってもビジネスはうまくいったりする部分もあるじゃないですか。何をもって成功と捉えるかはあれなんですけれども。
でも、少なくとも3年前の僕には想像し得ない領域に今いる。そもそも社長になるという感情もなかったので。今、三菱UFJ銀行さんと一緒に地方創生に取り組めたり、KDDIさんもそうですし、関西電力さんと一緒に脱炭素行動を促すための企画をできているということは、数年前までは全く想像し得ないことだったんです。行動していたら結果に繋がったと考えると、行動してよかったなと思う。だから今後も行動し続けていきたいし、行動の質をもっと上げていきたい。自分が思っているものとの乖離をできるだけ少なくしていきたいなと思います。
お仕事でも人との繋がりを大切にされている印象ですが、やはり事業をする上でも重要なポイントでしょうか?
今瀧:僕にとっては一番大切なポイントです。ただすべての会社にとって大切かと言われたら優先順位が低いと思います。僕は人と話すのが好きなので、自分が尊敬する人や自分を高めてくれる人を自分の周りに置くことが自分にとっての一番のモチベーションと成長に繋がるんですよ。
ただ、それなら友達と仕事をして上手くいくのかという言葉があるように、会社としてそれが全部正解なのかと言われると全然そんなことはないと思っています。スキルベースで仕事するのか感情ベースで仕事するのかみたいな、合理性と感情的なもののバランスが必要だと思っています。
社内起業も盛んな印象を受けますが、実際はどうでしょうか?
株式会社Aika代表の中澤一彰はうちのTikTok事業部のディレクターであったり、株式会社MoreChoice代表の伊藤大憧は僕と私とのウェブ事業部のマネージャーであったりするように、もちろん元々知り合いで何か一緒に仕事できないかなというところから生まれて、そこから僕と私との中で働いて、僕と私との事業部が独立していったということなので、まだ会社になっていないときから一緒に仕事をしているような形ですかね。
今瀧氏が共同代表.CMOを務める株式会社会花の商品
なるほど、社内の新規事業のようなイメージですか?
今瀧:社内起業ですが子会社にしてないんです。だから若干のバグがあって、一般的な事例がない。基本的に社内でやったらみなさん子会社にするので。
子会社にしない理由は?
今瀧:僕がお金儲けをしたいわけじゃないので子会社にする理由はあまりないのです。資本関係があると対等には絶対話せないんですよ、どう考えても。これはやむを得なくて。資本関係や服従関係、雇用関係がない方がフラットに話せると思っているので子会社にしないというのもあるかもしれないですね。
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