- インタビュー
2020年12月03日
ウェルビーイング領域に大きな期待ーー住友生命「SUMISEI INNOVATION FUND」
- 住友生命保険相互会社
藤本 宏樹 - 執行役員 兼 新規ビジネス企画部長/SUMISEI INNOVATION FUND事業共創責任者
企業の共創活動をリレー的に繋ぐコーナー、前回ご紹介した三井不動産「31 Ventures」に続きお届けするのは、住友生命のCVCファンド「SUMISEI INNOVATION FUND」です。
住友生命では、オープンイノベーションかつスタートアップ企業とのシナジーによる保険事業の新しい価値創造を目指し、2020年11月20日にSBIインベストメントと80億円規模のCVCファンドを共同設立しました。今後5年間で4-50社への出資を計画中です。(太字の質問は MUGENLABO Magazine編集部、回答は住友生命保険 SUMISEI INNOVATION FUND事業共創責任者の藤本 宏樹さん)
SUMISEI INNOVATION FUND設立の経緯を教えてください
住友生命:今回、改めてのCVCファンド設立です。経緯としては「スミセイ中期経営計画2019」が立ち上がったころにまで遡るのですが、この中期経営計画では、オープンイノベーションの推進・フィンテックへの戦略的活用を掲げておりまして、2018年11月頃には既に、2社のスタートアップ企業様への出資を実施しています。
また、国内外計5つのファンドに対し50億円以上のLP出資を実行しておりまして、その後の「スミセイ中期経営計画2022」では、オープンイノベーションを推進させるだけでなく、新たな価値創造の加速も掲げることになりました。
これら計画実行にあたり、投資と事業共創がセットになった、効率的かつ効果的な枠組みのCVCファンドが最適であると判断がなされ、今回「SUMISEI INNOVATION FUND」設立へと至ったというわけです。
事業投資ではなく、CVCが最適と判断した理由は
住友生命:オープンイノベーションの議論をする中で、スタートアップ企業様と事業部門の「時間軸」の違いがやはり課題になっていました。将来的に共創の可能性があっても、事業部門単体では現業の課題解決で手一杯だったり、優先度から先送りになることがしばしばあったんです。特にスタートアップ企業様にとっては「次年度以降」というのは「はるか遠い先」であって、そのズレから協業が進まないこともありました。だからこそ、別組織としてCVCファンドという形を取ることで、まず出資してスタートアップ企業様を支援しながら一緒に先の事業を創っていく、この仕組みを設計できることの重要度は高いと感じていました。
「スミセイ中期経営計画2022」全体像
2019年度の中期経営計画ではフィンテック分野に注力ということでしたが、2022年度へ向けて何か変化はありますか
住友生命:主な投資領域としては、弊社Vitalityを中心とした健康増進活動に結びつく、ウェルネス関連企業を視野に入れています。例えば「体・心・社会的健康」を目指すウェルビーイング領域、様々な疾病管理の領域、スマートエイジング領域において、事業共創を通じた同領域のエコシステム構築や新しい価値創造の可能性があると大きく期待しています。加えて、DX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む世の中の流れの大局を捉え、将来的な新事業創造につながるような保険市場へのR&D投資も視野に入れています。
現在、具体的に取り組んでいる共創のケーススタディがあれば教えてください
住友生命:ヘルスケア領域のスタートアップ企業様との共創では、疾病管理のプログラムについて自治体の協力を得て実証実験の準備を実際に進めるなど、現在進行形で動きがあるものがあります。また、非対面での新たな顧客体験と接点づくりを目指したインシュアランスモビリティーの実証実験を多くのスタートアップ企業様と共に行わせていただいています。その他、KDDI ∞ Laboで出会ったスタートアップ企業様と様々な領域での実証実験も協議中です。
ファンドはSBIインベストメントとの共同設立ということですが、実際の投資判断までの役割分担などはどのようなプロセスになっていますか
住友生命:まず、やはりスタートアップ企業様の事業内容を深く理解させていただくのはもちろんのことですが、その際、弊社の関係事業部門の担当者も一緒に相互のニーズが合致し得る事業共創プランとなり得るかのディスカッションを実施します。また、その上で、SBIインベストメントの財務デューデリジェンスの中で投資可否を検討していただき、シナジーが見込め、かつ将来有望と判断された先に投資実行という流れとなります。
ありがとうございました。
ということで住友生命保険の投資事業「SUMISEI INNOVATION FUND」についてお届けしました。次回は東急さんの取り組みにバトンをお渡ししてお送りします。
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