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2020年12月22日

テレビの課題とネットの解決方法ーースクーとテレビ東京コミュニケーションズが共創 Vol.2

課題とチャンスのコーナーでは毎回、コラボレーションした企業とスタートアップのケーススタディーをお届けします。


前半では、双方向性を重視した学習プラットフォームサービスを手掛けるSchooとテレビ東京コミュニケーションズの取り組みについて、スタートアップサイドの話題をお届けしました。後半では、テレビ東京コミュニケーションズサイドで本プロジェクトに参加する、同社のメディア事業本部 ビジネスデザイン部 事業推進ユニット、行田尚史さんに話を伺います。同社がインターネットを活用したオンライン教育事業に参戦する意義や目指すゴールについて語って頂きました。


テレビ局がデジタル番組に参入する理由


ライブ配信番組『ギモンの法則 -不確かな未来を経済でひらく-』

Schooと共創に至ったきっかけはどのようなものでしたか

行田:テレビ局の制作するコンテンツは、基本的に一方向性なものがほとんどです。ただ、インターネットの広がりで、今や双方向性のある動画コンテンツは当たり前となりつつあり、テレビ東京コミュニケーションズとしてデジタル番組の可能性は常に模索している状況でした。そんな中、その領域においてノウハウのある「Schoo」さんと「KDDI ∞ Labo MeetUp!!」で出会い、テレビ局がデジタル番組に参加する可能性について協議をいくつか重ねてきました。

その結果、両社の持つ動画コンテンツ力やネットワークという強みを組み合わせることで、既存インターネット動画コンテンツにはない、新しいコンテンツが制作できるのではないかという結論に至ったのがすべての始まりです。

テレビとネットはコンテンツとして近いと言われてきました。ネット側から映像コンテンツを作ってきたスタートアップのSchooと実際に協業してみてどのような印象をもたれましたか

行田:ご一緒することで学ぶことが多いですね。企業としての進め方やプロジェクト進行、細かいところなんですが、テレビ東京コミュニケーションズにはなかったものでしたし、私が初めて知った進行の手法や言葉があったりしました。興味を持てることが多く、また、Schoo側のスキルセットが非常に高いです。いい刺激を受けています。

共創することで新しい発見と出会えた

行田:時代がデジタルシフトする中で良くも悪くも、現代は人の好みが細分化されてきていると感じます。特にデジタルコンテンツの世界においては、より専門性の高いコアな層が自分の好きなものだけを消費するという流れにシフトしています。今までテレビ局は、マスの需要に合わせたコンテンツ制作を中心にやってきました。逆に1000人だけが見てくれればよいというような、ニッチな番組制作のチャレンジをどうしても今までできていなかったという課題感もありました。

手始めとして経済の領域に絞ったコンテンツ制作を進められていますね

行田:元々、テレビ東京コミュニケーションズでは経済カテゴリーにおける動画コンテンツで「ガイアの夜明け」や「カンブリア宮殿」などを制作してきました。しかし、お伝えしたようにあくまで一方向性であることが課題の一つです。双方向性なデジタル番組の成長に加え、昨今ビジネス分野においてもインターネット動画コンテンツが台頭し始めており、今後も需要が伸びていくことが予想されています。そうした市場のトレンドも捉え、経済と学びの番組から始めさせていただいています。

双方向性がポイントとされていますが、設計として工夫されている点は

行田:まさにSchooさんとご一緒させていただいているというのが答えになります。出演者側と視聴者側をコメントで繋げ、そのコメントを基に番組全体の構成をしていく流れに重きを置いています。コメントと言っても、そのほとんどは視聴者からの「質問」です。リテラシーが高めの番組設計であれば、例えば自分の意見を主張するようなコメントのコンテンツが望ましいのかもしれませんが、私たちはあくまで学びたいという意識が強いユーザーに向け番組制作をしています。

そのため、質問のコメントを拾いながら出演者が番組の流れを作ることにはなりますが、まさに双方向性が伴い、かつ積極的に視聴者が参加できる生放送ならではの番組作りができているのではと感じます。

Schoo×テレビ東京コミュニケーションズというブランドが目指す姿

経済関連のデジタルコンテンツの需要が伸びていますが、一方で情報過多になっている印象もあります

行田:今までのデジタル経済番組はある程度リテラシー高めな人に向けコンテンツが訴求されてきていたように感じます。しかし、実際には経済を学ぶことに興味はありつつも、まだそこまで入り切れていない層も多く存在しているのでは?と仮説を立てています。そうした潜在的なユーザー層に向け、テレビ東京コミュニケーションズが持つ既存の知見とSchooさんのインターネット動画コンテンツへの知見を組み合わせ、現状提供されている番組とは違った角度での新しい「経済×学び」の番組が出来上がるのではないかと考えています。

ターゲット層や番組の方向性的に、アテンションを取りやすい経済用語に頼った集客がしずらいかなと思います。(例えば「デジタル通貨」など)そこで、どういった点にフォーカスしターゲット層の獲得を目指していくのでしょうか

行田:番組のテーマ設定自体はあまりビジネス感のないように工夫をしています。例えば、「なぜ転売ヤーは儲からないのか」・「なぜ同僚のあいつは出世するのか」など視聴者にとって身近な出来事や人物を主に取り上げています。

つまり、経済が先行しているのではなく、普段の生活で思った疑問が先行し、そこから経済の理論に結びつけ答えを導くという番組のスタンスを前面に押し出すことで、正しいターゲットへのリーチを取るという戦略です。難しいワードを覚えましょうという見せ方では全くないんですよね。

Schooさんとのリリースで、「双方向性で共創する時代を捉えた学びブランド」の構築を目指す、と触れられています。剛体的にはどういった「ブランド」なのでしょうか

行田:「学び続けられる、経済番組」としての第一想起にSchoo×テレビ東京コミュニケーションズとなるブランドづくりを目指しています。Schooさんはミッションに「世の中から卒業をなくす」を掲げ、大人になっても学び続けられる場所というコンセプトを大事にされています。そうした面でも、私たちの制作する番組は「ユーザーの分からないという需要」に対して「答えをその場で導く」という性質に重きを置いた番組の構成になっています。「学び」×「経済」の掛け算の部分に、テレビ東京コミュニケーションズをブランド化していく、そういう戦略を抱いています。

ありがとうございました!

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