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2024年08月05日

日本文化の上質な体験を届けるJ-CAT、KDDIとのタッグで事業成長の加速を目指す

J-CAT株式会社
飯倉 竜
代表取締役CEO

コロナ禍を経てインバウンド需要が急回復、また現在は数十年ぶりの円安水準になっていることも影響し、日本の観光産業が大きな盛り上がりを見せています。この動きを受けて事業を急成長させているのが、伝統文化や食、工芸といった日本の魅力に触れられる体験プランを提供する、国内観光客向け予約サイト「Otonami」や訪日観光客向け予約サイト「Wabunka」を運営するJ-CATです。


同社は今回KDDIと連携して、KDDI子会社のLoco Partnersが運営する、厳選されたホテルや旅館の宿泊予約サービス「Relux」のサイト内に、Otonamiとコラボレーションした特設ページが設置されました。


この取り組みの背景やKDDIとの連携の展望について、J-CATの代表取締役CEO 飯倉竜氏に話を聞きました。


起業した経緯、そしてJ-CATで取り組んでいる事業「Otonami」について教えてください。

飯倉:前職は住友商事で仕事をしていました。営業として3、4年を過ごしたあとにCVCを担当する部署へ移り、アメリカに駐在して現地のスタートアップへ出資したり、国内投資向けのファンドを立ち上げたり、アクセラレータープログラムを運営したりしていました。大学にいた頃からスタートアップや起業に興味があり、2019年末には住友商事を離れて自ら起業しました。

起業する事業領域は、母がきっかけで選びました。母は書道家だったのですが、母子家庭で金銭的な余裕が決してなかったものの、書道で稼いだお金で私を大学まで通わせてくれました。その経験から、伝統文化やそれに関わるクリエイターを支援することに興味が湧いたのです。

クリエイターの方々に話を聞くと、Webサイトを作ったり、PRを発信したりすることに苦労している様子でした。そこで、飲食店を営む方々や観光事業者などを含め、日本のよき文化を伝える人たちが普段の仕事から縁遠いホームページ制作などを自ら担わなくてはいけないこと、さらにそのクオリティ次第で仕事につながるかどうかも左右される状況に対して、とても違和感を覚えました。

振り返ると、母も書道教室のホームページを自分で作っていましたし、そこに載せるコンテンツも愚直にたくさん制作していました。その結果、SEOに強くなって検索でも上位表示されるようになり生徒さんも増え、銀座や新宿といったエリアに教室を構えるまでになりました。しかしそれは、書道教室の運営ではなくホームページ作りを頑張ったからなのです。

こうした、日本の文化を守ろうと取り組む人たちにスポットライトを向けるようなビジネスの仕組みを生み出したいとスタートしたのが、「Otonami」です。Otonamiには日本の魅力に触れられるさまざまな種類の体験プランが用意されており、ユーザーは体験したい内容を検索して予約することが可能です。

「Otonami」のイメージ

OtonamiがReluxと連携することになった背景をお聞かせください。Otonamiは、事業の成長にあたってどのような課題を抱えていたのでしょうか。

飯倉:今回の連携では、Reluxをご利用いただいているアッパー層に対して、Otonamiの感動を生むような上質な体験プランは親和性が高いと考え、Reluxの提供する宿泊予約とセットでOtonamiのサービスを利用できる特設LPを開設。相互のサービスからユーザーを送客し、宿泊と体験を一緒に楽しんでもらうことができるようにしています。

Otonamiは体験プランを用意し、それをリッチなデザインでWebコンテンツに落とし込むことに強みをもつ一方、集客面、制作したコンテンツを広くユーザーへ届けることに対して課題がありました。そこでReluxやauスマートパスなど、グループ内でさまざまなサービスを手がけるKDDIと一緒に取り組むことで、私たちが手がけるコンテンツをKDDIが抱えるユーザーに届けてもらえればと考え、今回のReluxとの連携に至りました。

Reluxとの連携イメージ

Reluxとの連携で大変だったこと、それをどう乗り越えたかについて教えてください。

飯倉:自分自身が大企業の出身ということもあり、会社の意思決定の構造などもおおよそ見当がついていたので、大きな困難もなく想定通りにここまで連携できていると感じています。いちばん気をつけたのは、取り組みをご一緒する最初の段階での、期待値の擦り合わせでしょうか。KDDIは大きな会社なので、何がどうなったら今回の連携を成功と言えるのか。逆に私たちJ-CATは、どうすると自分たちにとって上手く連携できたことになるのか。時間をかけてお互いにコミュニケーションをとりながら思いを突き合わせていったことで、現在の成果につながっていると感じます。

今回の連携について、ユーザーからの反響はいかがでしょうか。

飯倉:宿泊と体験をセットで販売したことで購入数が増えるなど、連携の効果が現れているとReluxの担当者からは聞いています。特設LPのPVやUUも、顕著に数値が増えているようです。一方でOtonamiは、KDDIやReluxという世間に広く知られる会社やサービスと一緒に取り組んだことで、潜在ユーザーに対するサービスの認知度が高まったと考えています。

今後はauスマートパス会員向けにサービスを提供するなど、KDDIの会員基盤を軸に、さらにOtonamiのコンテンツを広く届けられるといいですね。Otonami内で提供する体験プランも、ラインナップを拡充予定です。パッケージ旅行のような国内ツアーや、新しい飲食プランもご紹介できるようにしたいと考えています。

今後の意気込みをお聞かせください。

飯倉:海外から多くの観光客が訪れるなど、日本の観光産業は過去に例のない盛り上がりを見せていると感じます。オーバーツーリズムの問題や産業の高付加価値化といった課題がある観光という大きなマーケットで、パイを奪っていける存在にJ-CATはならなくてはいけないなと。社員、ステークホルダーを含めて、熱い思いと実力をもつメンバーが会社に揃っているので、業界を引っ張っていけるようにがんばっていこうと思います。

KDDIの担当者コメント

KDDI株式会社 マーケティング本部 木村 芙美氏

今回、取り組みを実施した目的は、 弊社が現状持つサービスでは提供できない価値をお客さまにお届けすることで、 お客さまに喜んでいただき、LTVを向上することでした。 Reluxは旅行前の予約サービスに留まらず、旅行中の過ごし方もご提案するサービスへ成長していく意向があります。 Otonamiは、Reluxが提供する厳選された宿泊施設とリッチさが近く、相性が良いと考えJ-CATとLocoPartnersへお声をかけさせていただきました。

連携する中で困難だったこととしては、弊社からは初めてご紹介するサービスを、訴求においてどの程度説明する必要があるかでした。 LPの構成を3社で確認し、冒頭でOtonamiとは何かを丁寧に説明したり、 体験の内容を動画や写真でお示しすることで新しいサービスへの心理的ハードルを下げることができたのではないかと思っています。 また、両社がそれぞれ提供している厳選された宿泊施設と上質な体験を近隣で探す点に苦労しました。宿泊施設と体験の立地があまりに離れてしまうとお客さまの体験価値が下がってしまいます。 両社のサービスをストレスなく体験していただけるエリア選定をしたことは工夫したポイントです。

当初の目的通り、これまで弊社で提供できなかったサービスをきっかけに、Otonamiの認知拡大、Reluxの予約拡大が図れたことが何よりよかったと考えます。

また、今回の連携に重ねて、特設LPに掲載された宿泊施設に特別価格で宿泊いただけるクーポンキャンペーンを行ったとことろ、2週間で約2万件の応募をいただきました。サービスがお客さまの目に触れた結果いただいた応募ですので、認知の効果は大きかったと感じています。

引き続き、各社のメリットが合致する点において連携を強化し、双方のサービス拡大の一端となれるよう取り組んでいきます。

KDDI株式会社 マーケティング本部 木村氏

 

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