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2023年03月10日

有力なICTスタートアップが集結ー「起業家万博」参加レポートー

3月7日〜8日、総務省およびNICT主催の「令和4年度 総務省・NICT Entrepreneurs’ Challenge 2Days」が開催されました。この記事では、若手起業家を対象とした「起業家万博」の参加レポートをMUGENLABO Magazine編集部の新米記者めぇ〜ちゃんよりお送りします。


めぇ〜ちゃんMUGENLABO Magazine編集部
本誌の新米記者。事業共創やオープンイノベーション、CVCに関する知識を勉強しながら、MUGENLABO Magazineの制作に携わる。
めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
本イベントは、全国アクセラレータ・プログラムの成果としてブラッシュアップしたビジネスプランを披露するDEMO DAYです。今回は若手起業家向けの起業家万博に参加してきました!

起業家万博とは

総務省及びNICTは、革新的な技術やサービスを有する地域発ICTスタートアップの創出に向けて、起業を志す学生や有望な若手起業家を全国から発掘し、メンタリングやビジネスプランのブラッシュアップなどの育成過程を通して事業化をサポートする「全国アクセラレータ・プログラム」を毎年度実施しています。

「Entrepreneurs' Challenge 2Days」では、全国各地から選抜された学生や若手起業家が集結し、ブラッシュアップしたビジネスプランを披露するDEMO DAY「起業家甲子園」(学生向け)・「起業家万博」(若手起業家向け)を開催されています。

そして、起業家万博は、ICTを用いて豊かな世の中を目指そうと取り組む全国各地のICTスタートアップが、工夫を凝らした新規事業を発表し、事業提携・資金調達・販路拡大・人材確保などのビジネスマッチングにチャレンジするイベントです。


会場の様子

登壇企業

【北海道】ATOMIQs 登壇者 冨岡克広 氏

ATOMIQs社は、燃えない未来技術デバイスプラットフォームを提供するスタートアップです。電力消費量が増大し続けている今、トランジスターの物理限界により電圧や電力が急増し、発熱も急増しています。ATOMIQsが開発する集積回路では高性能極小3Dコンピュータ技術などを用いて電力量を90%削減することに成功しています。

現在は新しい集積回路の基本構造を研究開発しており、 数年後には量産・集積技術開発を進めるとします。これから参入したい領域として、ウェアラブル機器・スマートフォン・サーバーを挙げており、スマートフォンに搭載した場合、2週間に1回だけの充電で日々生活することが可能になるそうです。地球規模の消費エネルギー抑制と技術革新な持続的な加速を目指します。

【関東】N-Sports tracking Lab合同会社 登壇者 横井愼也 氏

N-Sports tracking Lab社は、高精度GPSを用いたトラッキングによって秒間隔の位置情報を更新表示する特徴を活かしたネット配信型サービス「HAWAKCAST」を展開するスタートアップです。

フィールドスポーツの課題として、競技中の姿を見ることができない、自然の中で動きながら競技が行われるため現地で応援しづらいといったことが挙げられます。そこで、スポーツの魅力を最大化するサービスを開発しました。

選手のスーツや自動撮影を行うドローンなどにデバイスを装着させてデータを蓄積、そして転送システムを用いてスマホ観戦やパブリックビューイングが行える環境をつくります。HAWAKCASTは、国際大会やワールドカップなどグローバルな大会にて採用されており、高い評価を受けているサービスです。

【関東】合同会社トンボ 登壇者 吉住海斗 氏

トンボ社は、児童養護施設など親を頼れない子どもたちが暮らす、社会的養護に特化した求人情報サイト「ALLHOME」の提供するスタートアップです。

社会的養護の問題として、周囲の関心や知識のなさや高等学校以上の進学率は全体の半分に留まるといった進路の問題が挙げられます。また児童養護施設の現場として、職員の離職率の高さや施設間格差がある(大学進学実績がない等)ことが問題視されています。

トンボ社はHR×PRでそのような問題の解決を目指します。PR領域では施設のパンフレット制作など、HR領域ではイベント運営サポートや研修講師の手配などを行います。加えて、口コミ型の求人サイトを提供し、生活していたから分かること、働いていたから分かることを集め、雇用や施設運営の向上などに貢献します。


ALLHOME

【東海】アイティップス株式会社  登壇者 クマール・ラトネッシュ 氏

アイティップス社は、建設業界の人材不足を解消するweb3時代の職人キャリアアップシステム「oyakata」を提供するスタートアップです。2030年には23万人の職人が不足すると言われています。外国人労働者も建設業においては5割が疾走するという現状があります。その背景として、技術を学びにきている外国人と安い労働力として雇う企業側とのスマッチが発生しているからです。

そのミスマッチを防ぐ「oyakata」には3つのポイントがあります。1つ目はソフトスキルとして、勤怠や安全意識、顧客評価といった評価の蓄積が分かる点です。2つ目はハードスキルとして、資格制度や技能訓練所などの教育機会の提供です。自社工場での実証実験では、実施前後で15%施工コストが削減されました。そして、3つ目は評価と資格を仕事と給与に反映させたマッチングです。

将来的には金融や住宅、保険、医療など、職人のあらゆる生活圏をoyakata経済圏を構築するという構想を持っています。

めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
日本法人として初めて、インド政府からインド人材の送出ライセンスを付与されたそうです!

【近畿】スリーアップ・テクノロジー  登壇者 三上典秀 氏

スリーアップ・テクノロジー社は、産業用IoT・AI装置の稼働状況の見える化・データ化を可能とするクラウド稼働監視システムを開発するスタートアップです。

製造業の課題として、休職や退職による品質低下や品質偽造問題、古い設備の故障、現場と経営層の乖離などが挙げられます。例えば、従来は品質データや作業日報を紙でやり取りしており都合が悪いデータは上がってこないということがありました。

そこで、現場データの自動記録化を実現しました。他にも、故障要因診断記録や経営層によるデータ管理により、製造業の課題の解決を目指します。生産設備へのIoT機器設置後は顧客専用のクラウドの提供も行っています。サービス提供開始から5年、今ではリピーターが増加しているということです。


Multi Signal IoT Gateway

【九州】オーシャンソリューションテクノロジー株式会社 登壇者 水上陽介 氏

オーシャンソリューションテクノロジー社は、漁業者支援システム「トリトンの矛」を提供するスタートアップです。日本の水産業課題として、漁業者の収益低下、高齢化進行と後継者不足、法対応による事務負担の増加などが挙げられます。その例として、漁業者の高齢化が進んでいるためデータ報告が難しく、これまでは操業日誌を手書きで行っていました。

そこで漁船の航跡からの漁法推定AIと操業位置推定AIを用いることで自動で操業日誌を作成できるソリューションを開発しました。これにより、「いつ、どこで、だれが」を出港時から帰港まで操作不要で航跡を自動記録してくれます。また漁獲報告や自治体が行う水産統計等の事務負担の低減に繋がるということです。

さらに、産地偽装や報告漏れ撲滅に向けて、不正や改ざんができないようブロックチェーンを活用して産地証明力の向上を目指します。


オーシャンソリューションテクノロジー社のブース

【九州】株式会社yuni 登壇者 内橋堅志 氏

yuni社は、寝具の引き取りと再生素材化を行うことで、焼却処分場を再生工場に、日本を廃棄大国から資源大国へ変えることを目指すスタートアップです。

業界最大の課題として、廃棄物として回収された寝具の98%は焼却されており、2%しかリサイクルされていないという現状があります。また、日本の焼却処分場、焼却率は世界の国々と比べてもかなり高くなっています。本当に廃棄しなければならないのか?そういった想いから始めたのが、寝具の引き取りと再生素材化です。

寝具を引き取ることで廃棄をなくし、それをオリジナルの機械や特許技術を用いて素材として再生させ社会に戻すという循環を生み出しており、事業開始直後から多数の自治体と連携しています。現在はアパレルや自動車、建築など寝具以外の領域にもyuni社の新素材が展開されており、廃棄を前提とした業界構造を変えることを目指します。

【沖縄】aipass株式会社 登壇者 山田真由美 氏

aipass社は、非接触型のチェックイン機能をベースにした宿泊施設の基幹運営システム「aipass for hotels」を提供するスタートアップです。スマートチェックインをベースとしたUXと事業者の課題解決を支援するプラグイン機能を追加するEXで、ホテルに最適化したエクスペリエンスシステムを提供します。

旅行者はチェックインからチェックアウトまで自分の好きなように観光でき、Roomサービス、アクティビティなどもスマホで完結します。事業者側としてはUIUXがわかりやすく教育コストかからない点もメリットです。

また、一気通貫で提供している点が競合優位性となっており、業界問わず様々な施設に導入されています。旅行者からは「子供がいるので事前に手続きができてよかった」、従業員側からは「フロントで鍵を渡すだけのためとてもスムーズだった」といった声があるそうです。旅行や宿泊施設を中心としたオフライン体験のDXを推進していきます。


aipass for hotels

受賞

各社素晴らしいピッチが行われ、審査委員やパートナー企業などによる審査が進められました。そして、緊張が走る中、建設業界における人材不足を解消するアイティップス株式会社が審査委員特別賞、株式会社yuniが総務大臣賞に輝きました!

総務大臣賞を受賞された内橋様は「率直に驚いているが、(このような賞をもらい)社会的責任を感じているとともに関係者の皆さんに伝えたい。」とお話されておりました。

また、パートナー企業として、KDDIからはaipass株式会社に∞Labo賞を授与させていただきました。∞Laboが毎月開催するピッチイベントへご登壇いただく予定です!

めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
どの企業様も勢いと実績のあるスタートアップでしたね!今後どんな風に世の中を変えていくのか楽しみです!今後も、日本のスタートアップが集まる地に登場しますので、次のレポートもぜひお楽しみに!以上新米記者めぇ~ちゃんでした!!

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