- インタビュー
2022年06月15日
営業デジタル化推進する商談解析クラウド「ailead」、エン・ジャパンと連携
商談解析クラウド「ailead(エーアイリード)」を展開するバベルは6月、エン・ジャパンとのパートナー連携を発表した。aileadはオンライン商談のデータを自動で収集・解析して営業現場の業務効率を改善するクラウドサービス。Zoomなどと連携し、AIによる文字起こし機能やSalesforce連携によって議事録作成などにかかる時間を節約してくれる。
今回のパートナー連携によって、エン・ジャパンが推進するセールステック推進事業「エンSX」を通じ、aileadの拡大を狙う。MUGENLABO Magazine編集部ではバベル代表取締役の杉山大幹氏にサービスの詳細をお聞きした。(太字の質問はすべて編集部。回答は杉山氏、敬称は略させていただいています。)
マーケティングツールや営業支援サービスが増える中、ailieadはどういったポジションを狙ったものになりますか?
杉山:コンセプトとしては商談のデータを自動で取得、解析、可視化していくので営業組織の業務効率化です。ジャンルとしてはセールス・イネーブルメントのカテゴリで、営業活動のデータを活用して継続的に優秀な営業パーソンを輩出する仕組み作りのお手伝をさせていただいております。
未だにデータ活用が商談の中身については進んでいないと思っておりまして、商談の前プロセスで言えば例えばMAツールがありますし、その後にインサイドセールスとかコールしてアポを取るツールも出てきています。さらに商談の準備をする時の日程調整ツールもすごく便利になっています。一方、商談後についてもSalesforceさんなどのCRM/SFAのサービスが確立してきてるかなと。
一方で商談の中身です。コロナ以前に関してはオフラインだったので、そもそもデータを取得しようとかデータを取得して何かをしようという考えがなかったので、これが急速にオンライン会議が進んだことによって、データが取れるようになったということが、大きなマーケット変革のタイミングの理由かなと考えております。
どういった提供価値・体験を得られるのでしょうか?
杉山:aileadは商談の前後と商談を繋げるプロセスを自動化していくことで、商談データを蓄積していくと同時にそれらのデータを可視化、AIで解析して組織で人材育成に活用するような機能を提供しています。日本でセールス・イネーブルメントって結構ふわっとしたワードとして語られていると思いますが、具体的にどういう価値を提供するかというと、大きく分けて3つあります。
まずはオンラインのオンボーディングってすごく難しくてですね、今までは新しく営業メンバーが入ってきてもオフィスで隣にいるので、見様見真似でやってくださいと育っていく環境があったかと思っています。それがオンラインになったことで、新メンバーの即戦力化までの時間というのが長引いてるっていうのが、いろんな会社さんからお聞きしている課題です。
2点目はナレッジコンテンツとマネジメントというところで、営業の現場の人に知識や知見が蓄積されるわけです。日々お客さんに向き合って質問に答えたりとかですね、要望に答えてるっていうのはやっぱり現場で、それらのベストプラクティスの収集や体系化、共有をすることで会社のアセットに変えていこうというものです。
3点目はセールスマネージャーがコロナ禍によってリモートになり、なかなかチームメンバーの活動やプロセスが分かりづらくなったので、それを把握しやすくするという点です。商談を前進させるためのアドバイスをしやすくする。こういった3点についてフォーカスした機能や体験を作っています。
具体的な機能についても教えてください。
杉山:お客様が作られた商談が録画できる仕組みになっており、商談録画がミーティングの終わった際に自動でクラウドにアップロードされます。そこで文字起こしがされ、AIによる解析でメタデータが付くようになっています。例えばミーティング内で新規プロジェクトというキーワードで検索すると「8分20秒に誰々さんが新規プロジェクトについて話してる」といったところまで探すことができます。
もしこの新規プロジェクトのプレゼンが素晴らしいもので、他の人にも真似して欲しいとなった場合、ライブラリと呼んでいる「動画のまとめ」を作っていくことができるようになっています。このまとめを用いて例えばフィードセールスがどうやって商談をしているかを見ていただいたりすることが可能になるんです。
また、セールスのコーチングにおいても、リモートワークでの商談のフィードバックを気軽にできるようになっています。コロナの前であればマネージャーとメンバーが一緒にミーティングに出て、その後に5分とか10分とか何かフィードバックをしているケースがあるんですが、簡単にいうとそれを非同期でできるようにしたものです。YouTubeのように再生秒数を指定をしてコメントとかメンション、リアクションを書くことができるもので、実際の生の商談データを見ながらディスカッションできるので、現場の営業メンバーの記憶に頼らなくても改善していけるんです。
顧客接点の情報管理自動化という部分は僕たちのプロダクトの肝になっています。我々がやろうとしてるクラウドAI SaaSは、人間のインプットというものを極限まで減らし、その上で最大限のアウトプットを得られるように作っています。
例えばZoomとaileadを連携していただくと、セールスフォースに自動記入までしてもらえる形になっていて、Zoomミーティング終了時に自動で(営業記録が)追加されるようになっています。実は(これらの人的な記録・入力業務に)日々現場の営業パーソンの方は悩まれていて、実際、マッキンゼー社が2021年2月に出した「日本の営業生産性は なぜ低いのか」というレポートによると、日本企業がグローバル企業に比べて営業効率性が低い根本課題の一つとして、前線の営業パーソンが直接の顧客対応以外に時間をかけ過ぎていることが指摘されています。こういった部分の業務の自動化をすることで営業組織の業務の効率化、そして売れる営業人材の育成というセールス・イネーブルメント、この二つが軸になっているサービスになっています。
課題はありますか?
杉山:規模が大きいエンタープライズの方ならではの課題が出ているんです。SaaSスタートアップの罠かもしれませんが、スモールビジネスの方に展開していると課題にならなかった、例えば権限で取締役以上はこういうデータを見れていいけど、一方でそれ以外はダメとか、そういった細かい権限管理が必要になってきています。こういった点に対して即座に改善するために、プロダクトチームも増やして対応しているところです。