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2026年03月31日

IoT とドローンの融合が切り拓く建設現場の未来——MODE と KDDI スマートドローンが語る協業の舞台裏

MODE, Inc.
道間 健太郎
事業開発シニアマネージャー
KDDIスマートドローン株式会社
山澤 開
プラットフォーム事業部 プラットフォームシステム開発リーダー

2月25日に東京・コングレスクエア日本橋で開催された「Open Innovation Summit by KDDI ∞ Labo × Headline Asia/ IVS」は、同社の2月全体会として位置づけられ、パートナー企業115社とスタートアップが一堂に会するオープンイノベーションサミットとなった。


この日のプログラムで注目を集めたのが、国内オープンイノベーションの実践事例を共有するセッション。


登壇したのは、IoT プラットフォームを提供する MODE の道間健太郎氏と、ドローン事業を手掛ける KDDI スマートドローン の山澤開氏。


モデレーターは KDDI の谷知幸が務めた。両社は現在、建設業界向けのソリューション開発で協業を進めており、その過程で直面した課題と乗り越え方について、率直な議論が展開された。


シリコンバレー発の IoT プラットフォームと通信会社のドローン事業

MODE, Inc. 事業開発シニアマネージャー 道間 健太郎氏

登壇した MODE は2014年にシリコンバレーで創業し、2017年に日本オフィスを開設した IoT スタートアップ。現場のフィジカルデータをデジタル化し、AI を活用して価値に変換するクラウドプラットフォーム「BizStack」を提供。創業者の上田学氏は元 Google エンジニアで、Google マップの開発に携わった人物だ。

道間氏:私たちは60社以上のセンサーメーカーやカメラメーカーとアライアンスを組んでおり、統合ダッシュボード上で複数メーカーの機器を一元管理できることが強みです。ゼネコンや鉄道会社など、人手不足が深刻な業界を中心にサービスを展開しています。

同社は2023年から生成AIへの取り組みを本格化させ、2024年春にAIエージェント機能を正式リリースした。このエージェントは、普段使っている業務システムに自然言語で質問することで、同僚に聞くのと同じ感覚で情報を引き出せる機能を実現している。

高速道路の規制業務をデジタル化した事例では、コーンにGPS端末を取り付けることで、規制の開始時間や範囲を自動取得し、関連業務をほぼゼロにすることに成功した。また、ニチレイとの協業では、全国の冷蔵倉庫を統合管理するシステムを構築し、点検業務の効率化を実現している。

一方、KDDI スマートドローンは2016年からドローン事業に取り組み、現在は70以上の自治体、460社以上の企業と協業しながら市場を形成してきた。山澤氏は同社の特徴を次のように語る。

山澤氏:私たちは通信会社として培った強みに加え、アメリカのドローン会社であるSkydio社 への出資を通じた関係性、日本航空(JAL) 社との連携によるオペレーションノウハウの活用など、機体、通信、システム、オペレーションを一気通貫で推進できる立場であり、その強みを生かしながらドローン業界を盛り上げています。

当初は人がドローンを現地に運んで操縦する形態でしたが、技術の進歩と航空法の規制緩和により、現在は東京から日本各地のドローンを遠隔運航するサービスを展開するまでに進化している。

建設現場の課題解決に向けた両社の協業

KDDIスマートドローン株式会社 プラットフォーム事業部 プラットフォームシステム開発リーダー 山澤 開氏

両社の協業は、建設業界の施工管理における課題解決を目指している。

KDDI スマートドローンはドローンで撮影したデータを蓄積する基盤を持っていたが、そのデータをいかに活用するかが課題であった。一方、MODE は建設会社への導入実績を持ち、現場のデータ活用に強みがある。

山澤氏は協業の狙いを次のように説明する。

山澤氏:建設会社の施工管理者や現場の方々の UX を向上させるために、ドローンのデータをいかに見やすく管理できるかが重要です。BizStack との連携により、ドローンで撮影した映像や画像、パノラマデータを、現場の方が必要な情報をピンポイントで探し出せるようにすることを目指しています。具体的には、MODE の AI アシスタント機能と連携し、自然言語で「この現場の映像を見せて」と聞くだけで、必要なドローンデータにアクセスできる環境を構築しています。

セッションの中核となったのは、両社が協業を進める中で直面した課題と、それをどのように乗り越えたかという実践的な議論でした。山澤氏は三つの壁を挙げます。

山澤氏:第一は「技術の壁」です。ビジョンは共有できていても、実際にシステムを連携させる段階で、相手のシステムの技術的な制約が明らかになることがあります。ビジネス側の定例と開発側の定例を毎週並行して回し、お互いの技術戦略を理解し合うことで、この壁を乗り越えました。

第二は「連携の壁」です。どちらがどこまで開発を担当するのか、責任分界点をどこに置くのかという問題が必ず発生します。これに対しては、最初の段階でお互いの進め方、目指すゴール、出口戦略を明確に話し合い、SOW(作業範囲記述書)を作成することで対応しました。

第三は「組織と文化の壁」です。両社ともスピード感を持って進めていましたが、社内の承認を得る際には投資対効果の説明が求められます。

一方の道間氏は協業成功のポイントとして、顧客体験の共有を挙げます。

道間氏:協業する上で、どのお客さんにどういう UX を届けるのかを、2社間でしっかりビジョンを揃えることが大事です。最初に会ったタイミングから『建設業界を一緒に攻めよう』と話し、ユースケースをお互いに出し合いながら進めました。技術者同士の勉強会も定期的に開催し、面と面でやり取りすることを大切にしています。

CES で見た未来像が協業のビジョンに

KDDI株式会社 オープンイノベーション推進本部 SUグロース戦略部1G 谷 知幸氏

両社が目指す姿を共有する上で、大きなきっかけとなったのが CES(Consumer Electronics Show)での体験だという。

道間氏:CES でゼネコン各社が出展していたコンセプトを見て、これだと思いました。建設現場では運転席のない重機が走り回り、ドローンが飛び交い、デジタルツインが構成されて、すべてを遠隔で管理する、そんな未来像が示されていました。山澤さんに『この動画の通りの世界を目指そう。5年後、3年後にこれを実現するために、ドローンは絶対に必要です』とお話しし、そこでビジョンが定まりました。

このビジョンを形にするため、両社は協業のコンセプト動画を共同制作した。KDDI が昨年開催した展示会「KDDI CONNECT」でもこの動画を公開し、目指す方向性がずれないよう定期的にマイルストーンを設けて確認した。

道間氏:動画を作ることは本当に大事です。動きがあるとお客さん自身も手触り感が増しますし、連携においてはこれを大切にしています。

両社の協業事例は、スタートアップと大企業グループ会社が対等なパートナーとして協業を進める際の実践的な指針を示すものとなった。技術的な壁、責任分界の壁、組織文化の壁。これらを乗り越えるために必要なのは、密なコミュニケーション、明確なビジョンの共有、そして顧客価値を起点とした議論の積み重ねである。建設現場のデジタル化という大きなテーマに向けて、両社の協業は今後も進化を続けていく。

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