- インタビュー
2024年02月07日
家庭向けのIoT機器制御で分散型エネルギー社会を切り開くパートナーとして - Nature
- Nature 株式会社
塩出 晴海 - 創業者(CEO)
KDDIは、「自然との共生をドライブする」をミッションに掲げてIoTプロダクトを活用したエネルギーマネジメント事業を展開するスタートアップのNature株式会社へ出資したことを公表しました。脱炭素などの環境課題に取り組むベンチャー企業への出資を行う「KDDI Green Partners Fund」を通じたもので、出資額や評価額などの詳細は非公開。
今回はNature 創業者(CEO)の塩出 晴海氏にお話を伺いました。
創業者(CEO)の塩出氏に伺いました
何をしている会社ですか?
塩出:Natureは「自然との共生をドライブする」をミッションに、IoTプロダクトを活用し、再生可能エネルギーへのシフトの実現を目指しています。
2017年にスマートリモコン「Nature Remo」を発売、日本のスマートホーム市場を牽引してきました。2019年に「Nature Remo E」でエネルギーマネジメント事業に参入し、2022年より電力会社向けのデマンドレスポンスサービスの提供を開始しました。
今後は、それらの事業を発展させ、DER(Distributed Energy Resources:分散型エネルギーリソース※)を最適制御するエネルギーマネジメントプラットフォーム「Nature DER Platform」の構築を進めております。
※DER(分散型エネルギーリソース)とは、需要家(電気などのエネルギーの利用者)が各地に分散して所有しているエネルギー源のことを指す。具体的には、各地に分散して発電や蓄電ができる太陽光発電システム、蓄電池、電気自動車、エネファームなどの設備になります。
「Nature DER Platform」
なぜ会社を立ち上げたのですか?
塩出:10歳の時に、父が自分の会社で作った3人のチームでPlaystationの3Dレーシングゲームを開発しているのを目の前で見てました。市場調査のためにゲームを買い込んできて一緒にプレイしたり、少しずつ完成していくゲームをプレイしてフィードバックしたり、発売されてからは販売速報を夕飯の時に教えてもらっていました。まさにスタートアップの「夢」や「躍動感」を目の前で見せつけられちゃったので、将来自分も会社をやりたいと思うようになりましたね。
当時は10歳で起業することも難しかったので、それからすぐにプログラミングを独学で勉強して、大学に入ってからは日本、米国、インド、スウェーデンでComputer Scienceの勉強をしました。
大学院を卒業して就職するまでの3ヶ月の間、父と広島から沖縄までヨットに乗って行きました。その時に、一度沖縄から奄美大島に初めてオーバーナイトでセーリングしたんです。夕日がやんわりと海を照らし、でも風はほどよく一定のスピードで吹き続けていました。海は穏やかで、周りはどこを見ても海しかない。風がフワッと吹くと、それに呼応するようにヨットがギュンと前に進む。一定のリズムで繰り返されるその流れ、周りを囲む大自然にただただ感じる高揚感。
この瞬間がきっかけで、人間というのは遺伝子レベルで自然と共生するように創られているのだろうと考えるようになり、自然とより調和した社会を作りたいと思うきっかけになり、それが今のNatureのミッションになっています。
これからの目標はありますか?
塩出:今、東日本では未曾有の電力危機に直面しています。東日本大震災後に福島原発は全て廃炉が決定し、カーボンニュートラルへの取り組みが加速する中で電源を火力に依存し続けることも難しいのが実態です。つまり、太陽光や風力のようなVRE(Variable Renewable Energy:変動性再生可能エネルギー)を劇的に増やすこと、DERを調整力として活用することが安定的な未来の電力供給にとっては不可欠です。今回ご参画いただいたパートナー企業の皆様とも協調して、「Nature DER Platform」を発展させ、まずは東日本の電力危機の克服に貢献したいです。
KDDIからの出資を通して期待していることはありますか?
塩出:KDDI様は、サステナビリティ経営を標榜し、脱炭素社会の実現に向け今後エネルギー関連の事業環境の変化を予見し2022年にauエネルギーホールディングスを設立されました。
弊社ではすでにauエネルギーホールディングス傘下のauエネルギー&ライフ様と、「Nature Remo」を活用した節電サービスについて検討しています。僭越ながら、弊社のミッションや事業戦略とKDDI様の目指す脱炭素社会の実現に向けた事業展開は非常に親和性が高いと感じておりますので、カーボンニュートラルを牽引するパートナーとして幅広く領域で協業の機会を頂ければ幸いです。
最後に一言お願いします
塩出:朝ランニングする時にTed Talk DairyというPodcastを聴いているのですが、生物会社のKathleen McAuliffeさんが「Do gut microbe control your personality?(腸内細菌が人格を支配しているのか?)」という非常に面白いトピックでお話をされてました。その最後に、「The person you call I is actualy we.(あなたが "私 "と呼ぶ人物は、実は "私たち "なのだ。)」という言葉で締められました。
最近、常々私たちが個と認識しているものは、実は全体の一部でしかないということを感じてます。Natureも、「自然との共生をドライブする」という大きなミッションに向かって突き進む中で自分達の非力さを日々痛感しています。カーボンニュートラルの実現は地球人にとってのクリティカルミッションです。ぜひ、同じ志を持つ大企業の方々と共創してこの難題を乗り越えて行きたいと思っておりますので、弊社との協業にご興味のある方はいつでもご連絡ください!
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