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2023年12月19日

2023年最終回はGoogle出張版、卵子凍結から生成AIまで登壇スタートアップ8社をご紹介/KDDI ∞ Labo12月全体会レポ【前編】

KDDI ∞ Laboでは毎月、オープンイノベーションに関わる∞Laboパートナーとスタートアップの共創をサポートする全体会を開催しています。12月に開催した会では、パートナーとして参加いただいている86社の方々と、スタートアップ8社が協業や出資などのきっかけを求めてGoogle渋谷オフィス内の会場に集まりました。本稿では登壇した8社のうち前半4社のピッチステージの内容をお送りいたします。


めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
今月は、パートナー企業であるGoogle Cloud社と共同で開催しました。登壇していただいたスタートアップをご紹介します。

ホワイトハッカーが脆弱性診断してくれるバグバウンティIssueHunt

IssueHunt CEO 横溝一将氏

アプリケーションを開発すると、そこには必ずバグやセキュリティホールが内在します。それらを一つずつ、しらみつぶしに当たっていくのは至難の技です。当事者は見つけにくいので、開発者以外の第三者に見てもらうことが理想的ですが、それでも、想像もできない箇所にバグやセキュリティホールが潜んでいたりするものです。

こうした問題を企業が克服できるよう、群衆知と報奨金(バウンティ)の仕組みを使って、ホワイトハッカーと呼ばれる悪意の無い技術者からバグやセキュリティホールの報告を募ることができるのが「IssueHunt」です。バグやセキュリティホールを見つけてほしい企業と世界中の優秀なホワイトハッカーをマッチングします。

以前は大企業へ営業に行った際に、「うちは対策してるからいらない」ということを度々言われたんですが、過去10年間に上場企業から漏えいした個人情報の数が1億人分を超えているという現実があります。日本にバグバウンティプラットフォームがなかったこともあり、最近では、大企業からも多数の引き合いをいただいています。

横溝氏

IssueHuntは創業当初、セキュリティベンダーではなく、オープンソース開発を生業としてきました。エンジニア向けのサービスを数々リリースする中でIssueHuntのローンチに至り、現在、世界中のユーザーで構成されるコミュニティは70万人規模にまで成長しています。同社ではセキュリティ人材20万人が不足しているとされる日本で、世界の知の力を使い、セキュリティチームの活動を支援します。

IssueHuntでは来年2月、 日本のセキュリティエキスパートを登壇者に迎えて、カンファレンスとバグバウンティイベントを開催する予定です。また、ホワイトハッカーの予備軍を増やす観点から、座学だけに終わらない、実践を伴ったセキュリティ実装のためのハンズオン講座などを学生向けに開催しています。

中国発の体験型エンタメ「マダミス」を手軽に楽しめるようにするSally

Sally 代表取締役CEO 平石英太郎氏

小説にせよ、ドラマにせよ、ミステリーにはそのシーンを第三者視点で見るものが多いです。つまり、読者や観客が自ら犯人や被害者になることはかなり稀です。マダミスはプレーヤーが自ら主人公になる対話型ゲームで、登場人物として、一度きりの物語を紡ぎながら楽しむことができます。このジャンルを「マーダーミステリーゲーム」、略してマダミスとSallyでは呼んでいます。

マダミス(中国語では「劇本殺」と表記)が生まれた中国では、映画やスポーツに続いて3番目に市場規模の大きなエンタメ分野に成長しており、2022年度末では4,600億円に達したことが明らかになっています。平石氏は2020年の夏頃に初めてマダミスに触れ、ほぼ毎日のように見知らぬ人とのゲームにふけっていたそうです。

外から見るのではなくて、自分がミステリーの登場人物になることで、どうやったら自分が解けるのかをすごく切実に体験しようというのが面白さのポイントです。

平石氏

ただ、中国で生まれたマダミスには、いくつかの課題があることに平石氏は気づきました。まず、パソコンや専用ソフトウェアが必要なため環境構築が面倒。さらに、複数名でオンラインにてゲームを楽しむ際に必要となる司会者を見つけることが難しいとわかりました。それに、同じシナリオでは複数回遊ばないので、シナリオの取り揃えが少ないと飽きてしまいます。

そこでSallyが開発したのがアプリの「ウズ」です。ウズを使えば、ユーザーはスマホだけで簡単に遊ぶことができる上、全国にいる作曲家やゲームクリエイター1,000人以上が参加して制作したオリジナルシナリオが400以上も用意されています。平均課金額は有名ストリーミングサービスの2倍、平均使用時間は有名漫画アプリよりも長いそうです。

Sallyでは地方自治体や企業と連携し、リアルの場や企業商品とリンクしたシナリオを作成し、ユーザに楽しんでもらいながら、マーケティング効果を訴求できるB向け商品の開発にも取り組んでいます。企業各社とは、企業が持つ既存アセットと連携したコンテンツの開発、エンタメ業界むけにファンダム構築を支援するサービスなどで業容拡大を狙います。

東大松尾研からスピンアウト、LLMで企業のDXを支援するELYZA

ELYZA DXコンサルティングチーム マネージャー 松浦大貴氏

ELYZAは、AIで知られる東京大学松尾研究室のメンバーがスピンアウトして創業したスタートアップで、ジェネレーティブAIのLLM(大規模言語モデル)の研究開発・社会実装に注力しています。特に企業が自社向けにフルカスタマイズ構築した、自社LLMを使ったAIサービスの構築・運用を支援しています。

ChatGPTを実現しているGPT-3やGPT-4といったLLMはクローズドモデルです。一方で、Metaの「Llama 2」はオープンモデルで提供されており、企業は費用を支払うことなく、自社サービスと連携したり、組み込んだりして利用できます。ELYZAは英語でしか利用できなかったLlama 2を日本語化し「ELYZA-japanese-Llama-2-7b」としてオープンソースで公開しています。

独自LLMを検討する上では、2つのポイントがあると思います。ChatGPTはクラウド利用が前提なので、企業がセンシティブな情報にAIを使いたい時、オンプレミス環境でLLMを使ったり、NVIDIAなどのエッジデバイスに載せたいといった場合におすすめです。専門的な知識を学習させたい場合にも活用すると良いと思います。

松浦氏

ELYZAはLLMの社会実装にあたり、複数の産業分野の企業と協業したいと考えています。鉄道事業はLLMと相性が良く、この分野での事業の可能性を追求すべく鉄道事業者との連携を希望しています。また、コールセンター、技術戦略でジェネレーティブAIをコアに据えている企業とも連携したいそうです。

パッケージングやブランディングで日本酒の流通を革新するAgnavi

Agnavi 代表取締役 玄成秀氏

Agnaviは、日本酒を扱うスタートアップで、新しい飲み口を提案し、国内外での輸出を通じて日本酒の消費拡大を目指しています。現在、130種類40万本以上の販売実績があり、大手企業や地元企業とのコラボレーションも進めています。同社は2年半前に創業したスタートアップで、東洋製罐グループホールディングス、三菱UFJキャピタル、JR東日本スタートアップから出資を受けています。

Agnaviでは、日本酒を1000リットルのタンクで買い付け、それを独自にブランディングして缶に入れて販売しています。一般的に日本酒は瓶や紙パックで販売されることが多いですが、缶には紫外線をカットできる、軽量で持ち運びしやすい、リサイクル効率が高いなどの利点がある上、国内外で物流コストの削減が期待できるそうです。

日本酒は(1975年と2022年を比べた場合)消費量が77%減少しており、我々の目標はこれを改善することです。そのために、輸出を増やしたり、品質管理を改善したりすることが課題だと考えています。

玄氏

Agnaviでは、日本酒は地域を代表する産業と考え、地域の蔵元や地主との連携を通じて地方創生にも貢献しています。現在は「ICHI-GO-CAN」と「Canpai」という2つのブランドを展開し、日本酒業界の縮小傾向に対抗すべく、アルコール市場の拡大を目指しています。また、大手企業との戦略的提携を強化し、新しい容器の可能性を開発しています。

Agnaviの最終的な目標は、ビール市場が缶利用で拡大したように、日本酒を通じて地域に訪れる人を増やすことで、地域の魅力を発信し、日本酒業界全体の広がりを促進することです。これまでの取り組みはメディアや各国で取り上げられており、大手企業とのコラボレーションも進めています。

めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
後編に続きます!

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