- インタビュー
2021年06月25日
見守りサービスで高齢者ヘルスケアの課題解決へ - ジョージ・アンド・ショーン
- ジョージ・アンド・ショーン株式会社
井上 憲 - 代表取締役
2021年6月17日、KDDI ∞ Laboの月次全体会(完全オンライン実施)において、スタートアップ5社が大企業に向けてピッチを行いました。MUGENLABO Magazine編集部の新米記者めぇ〜ちゃんが登壇企業にインタビューを行いました。
2社目はジョージ・アンド・ショーンです。位置情報見守りサービス「biblle(ビブル)」などを提供しているスタートアップです。今回はジョージ・アンド・ショーン株式会社代表取締役の井上 憲氏に話を聞きました。
- めぇ〜ちゃんMUGENLABO Magazine編集部
- 本誌の新米記者。事業共創やオープンイノベーション、CVCに関する知識を勉強しながら、MUGENLABO Magazineの制作に携わる。
- めぇ〜ちゃん
- 「biblle」とはなくしもの防止・見守りタグです。タグの位置情報を確認できるだけではなく、スマートフォンとタグを双方向で呼び出すことができます。これを活用した高齢者集合住宅施設向け見守りシステム「施設360°」も展開されています!
代表取締役の井上氏に伺いました
何をしている会社ですか?
井上:高齢者のライフサイクルを支えるためのサービス群を提供しています。コンシューマーサービスとしては、位置情報見守りサービス「biblle」や高齢者施設向け位置情報見守りサービス「施設360°(サンロクマル)」の提供、また生活習慣データを活用した認知症・軽度認知障害(MCI)の早期検知を行うAIエンジン「Cognivida」をサービス化して提供しています。
「Cognivida」サービスイメージ
サービス開発は既存チャネルやリソースを保有する大企業との連携により展開しているものが多く、認知症検知サービスはNTT西日本様やインフラメーカー様と、地域住人向けの沿線アプリは小田急電鉄様と共同で展開しています。
なぜ会社を立ち上げたのですか?
井上:私の祖母が認知症になったことをきっかけに2016年に創業しました。創業当初は祖母が徘徊をすることが多かったため、そのための見守りサービスとして、Bluetoothビーコンを利用した見守りサービスを展開していました。その後、祖母の日常的な行動を把握できていれば認知症に早く気付き対応ができたのではという気づきから、認知症/軽度認知障害を早期発見するためのサービス開発を開始しました。
回復を見込むことができる軽度認知障害(MCI)期の高齢者の方々は、まだまだ元気で現役、という思いの方が多く、MCIの発見に医療情報を用いるというのは現実的ではないと考えました。そこで着目したのが、自身の体験でもあった日常生活情報から類推するというアプローチです。現在では、位置情報、家電情報、睡眠情報、対話情報など複数の生活情報から認知症/MCIを類推することができるようになっています。
弊社は現在20名ほどの社員のうち、自分も含めた9割が兼業社員として働いています。社会課題をビジネスとして解決するソーシャルビジネスは事業化に年月がかかる一方で、実施した際のインパクトの大きさや働きがいがあります。こういった観点から、兼業として進めていくには最適なテーマだと考え組織構築を進めています。
これからの目標はありますか?
井上:長期の目標としては、認知症に限らず様々な高齢者疾病の発見から回復までをサポートする包括的なヘルスケアサービスプロバイダとなることを目指しています。現在は認知症領域において、複数のセンサーや回復のための自社サービスの開発も始まっています。短期的にはこれらを実装し、高齢者施設をはじめとしたB2Bでの展開を進めていき、中期的には在宅の高齢者に向けての展開も行っていきたいと考えています。また回復に向けてのサービスとして、運動、食事、対話という3つの観点からのサービス化も進めており、長期的には、健康に関する問題の早期発見から回復までの流れを一元的に支援できるサービス提供を図っていきたいです。
最後に一言お願いします
井上:既に国内では40を超える多くの企業様との共創事例があります。弊社は高齢者医療という軸が中心ではあるものの、データの収集、解析、それらを利用したサービスの開発と範囲が広いこともあり、多くの企業様と何かしらの形でご一緒できるのではと考えております。スマートシティ・スーパーシティの文脈で動いている事案もあり、実装に向けたフィールド提供でもお役に立てるかと思います。
高齢者ヘルスケアという大きい課題の解決に、ベンチャー単体でどうにかできるものではありません。既に強いブランド、チャネル、リソースをお持ちの大企業の皆様と連携することで、日本発のアイデアの実装を進められればと思っています。宜しくお願い致します。
それでは次回もお楽しみに!
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