- インタビュー
2022年02月04日
ロボティクスを活用した「見せたくなる」パワード義足 - BionicM
- BionicM株式会社
関口 哲平 - 取締役COO
2021年12月17日、KDDI ∞ Laboの月次全体会において、スタートアップ6社が大企業に向けてピッチを行いました。MUGENLABO Magazine編集部のめぇ〜ちゃんが登壇企業にインタビューを行いました。
5社目はBionicMです。ロボティクスを活用したパワード義足を開発するスタートアップです。今回は、BionicM 取締役COOの関口 哲平氏に話を聞きました。
- めぇ〜ちゃん
- 「パワード義足」とは既存義足の機能的制限によるQoLの課題を解決する技術です!
取締役COOの関口氏に伺いました
何をしている会社ですか?
関口:BionicMは革新的なロボット技術を応用した高機能パワード義足を開発しています。自身が義足ユーザーでありエンジニアでもある代表の孫小軍が、東京大学でロボット技術を応用した義足の研究を行い、その研究成果をもとに事業化しました。
市場に流通する主流の義足は、義足自体が力を出して動作をアシストすることができません。そのためユーザーは日々、日常動作の根源的なところで多くの不自由を抱えています。BionicMのパワード義足は失われた足の筋肉を代替することで、可能な日常動作の幅を広げ、技術的進歩が遅れている義足業界の新たな技術として、世界中の下肢切断者のQOL向上に貢献することを目指します。
パワード義足を着用する孫氏
なぜ会社を立ち上げたのですか?
関口:代表の孫小軍は幼少期に足を失い、以降15年間松葉杖で生活をしてきました。大学時に初めて義足を装着し、松葉杖に拘束されていた両手が解放され、義足のありがたみを強く感じました。一方で義足自体の課題も感じ、当時ハードウェアのエンジニアであった孫は、自身でより良い義足を作れないかという思いから東京大学で義足の研究を行い、その成果をもとに起業しました。
世界の下肢切断者数は、糖尿病増加に伴い30秒に1人のペースで増えていると言われ、更には下肢切断に占める高齢者の割合も上昇しています。特に筋力の衰えた高齢者は義足を使いこなせずに車椅子や寝たきりの生活を強いられ、QOLの低下が課題となっています。
BionicMのパワード義足は、失われた足の筋肉を代替し、既存の義足を使いこなせない高齢者も含めた下肢切断者の動作をアシストします。さらに「見せたくなる義足」をコンセプトとした審美性の高いデザイン設計で、ファッションの一部として義足ユーザーの個性となる技術を目指します。自身の足で動く自由を提供し、障害者の社会的自立・進出・QOL向上へ貢献します。
これからの目標はありますか?
関口:BionicMはMissionとして"Powering Mobility for All(すべての人々のモビリティにパワーを)"を掲げており、長期的には、下肢切断者に限らず全ての人々が自身の足で自由に動くことに貢献するデバイス・サービスを提供していきたいと考えています。筋力の衰えた方、病気で足が麻痺した方、怪我をした方、様々な人が自身の足で自由に動くことに対する課題を抱えています。
現在は持っている技術と限られたリソースの中で、義足にフォーカスして事業を行っていますが、義足で培われた知見・技術をベースに、下肢を支える技術として展開していくことを考えています。Human Augmentation(身体拡張)領域において、世界の人々のMobilityを拡張させる技術を提供し、すべての人々が自身の足で自由に動ける世界を実現します。
最後に一言お願いします
関口:大学での研究を含め約5年の研究開発を経て、いよいよ製品として技術を世の中へ普及させるフェーズへ近づいてきました。市場がニッチでありユーザー数が限定的となりやすく、さらにリードタイムの長いハードウェアである福祉機器において、PMF確立までのプロダクトマネジメントは様々な障壁が想定されます。
テストマーケティングや実証実験の機会の獲得、医療機器認証を含めた海外展開における協力パートナー探し、販売チャネル拡大に向けた事業開発など、連携による事業の加速、"Powering Mobility for All"のMissionに向けて共創できればと思います。
- めぇ〜ちゃん
-
従来の義足のイメージを変えるカッコいい「見せたくなる義足」が素敵ですね!
それでは次回もお楽しみに!
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