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2024年12月02日

大手企業3社に学ぶ、スタートアップ連携の実践術 〜明確な目的意識が結果を生むーーエクシングのオープンイノベーション戦略〜

エクシング
伊藤 秀樹
新規事業推進部部長

15日に開催したKDDI ∞ Labo 全体会では、企業内で新規事業に取り組む方々にその事例を共有いただくセッションを実施しました。登壇したのはエクシングの伊藤秀樹氏、小田急電鉄の和田正輝氏、セイノーホールディングスの髙橋一馬氏の3名。各社の特色ある取り組みと、連携を成功に導くための具体的なアプローチ方法、社内展開のノウハウまでを詳しく解説いただきました。


今回は、エクシングの伊藤秀樹氏が語る、オープンイノベーション戦略についてお届けします。


カラオケの枠を超えて、データ制作から新規事業へ


エクシング 伊藤秀樹氏

エクシングの新規事業推進部部長・伊藤秀樹氏は、カラオケのデータ制作者としてキャリアをスタートさせました。その後、海外拠点の立ち上げや、携帯電話向けサービスの企画、R&D業務と幅広い経験を積み重ねてきた人物です。「最初から新規事業をやっている人間ではなく、カラオケデータの制作者として入社した」と伊藤氏は振り返ります。
現在は月に10件程度のスタートアップとの面談をこなし、関連する案件を含めると月50〜60件もの商談に関わっているといいます。特徴的なのは、社内の連携のしやすさです。
伊藤氏は以下のように説明しました。

大体どの部署や子会社にどのような課題があって何をやっているのか、ということはうちのメンバーが把握しています。何か案件があれば、やれそうかどうかコーディネートをしてくれます。

伊藤氏

ガンマ波カラオケの開発から見える、スピーディーな事業化の仕組み

では、スタートアップとの取り組みはどのようなものがあるのでしょうか?

代表的な成功事例が、「ガンマ波カラオケ」の開発です。ガンマ波とは人間が記憶や思考を行う際に発生する30Hz以上の脳波のことで、この音を聴くことで認知機能の改善効果が期待できるという研究結果があるそうです。
ガンマ波の研究を行うスタートアップ「VIE」との協業により実現したもので、エクシング社は楽しみながら健康的な生活をサポートする、高齢化社会における課題解決のアイデアとして世に送り出しました。

ガイドメロディー部分にガンマ波を組み込むという工夫により、カラオケとしての品質と機能性を両立させ、介護施設への導入を実現しています。
このアイデア、将来的には認知症予防のためのカラオケ利用という、新たな価値提案を目指しているそうです。
伊藤氏は以下のように、期待を寄せています。

「認知症防止のためにカラオケに行く」という流れができるとカラオケ自体のステータスがひとつ上がる。

伊藤氏

また、歌特化ライブ配信アプリ「ColorSing」との協業では、配信事務所機能を社内に新設し、カラオケ音源の提供とライバーマネジメントを組み合わせた新たなビジネスモデルを構築。この事業は1年という短期間で部署設立から事業化まで実現し、現在も順調に成長を続けています。

スタートアップとの協業において伊藤氏が重視するのは、明確な目的意識です。伊藤氏はこのように指摘しました。

一番よくないのは『何かやりませんか』みたいな感じで始まって、何となく終わってしまうこと。

伊藤氏

サービスや事業のイメージが明確に描けること、そして互いのアセットを活かした具体的な提案があることが、成功への重要な要素となっています。

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