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2024年05月10日

虎ノ門ヒルズ「TOKYO NODE」にデジタルツインが誕生!開発担当・水田氏に聞いた新体験の見どころとは?

KDDI株式会社
水田修
事業創造本部 Web3推進部

今年3月、東京・虎ノ門ヒルズの「TOKYO NODE」内に、先進的なエンターテインメントホール「TOKYO NODE DIGITAL TWIN HALL -RESPECT YOU, au(以下、デジタルツインホール)」がオープンしました。VR(仮想現実)やデジタルツインなど最新テクノロジーを用いて、これまでにない〝リアルとデジタルの融合〟を体現する場所です。


リアルの会場にデジタル空間を重ね合わせ、実際に足を運んでくれた人々と、世界中からアバターで参加できるデジタルユーザーの双方が、一つの体験を共有できるのが最大の特徴です。果たしてこの新しいエンターテインメントは、どのようなものなのでしょうか。企画の中心人物であるKDDI 事業創造本部 Web3推進部の水田修氏に、込められた思いを伺いました。


虎ノ門ヒルズ ステーションタワー

5Gネットワークの本格化が出発点

スマートフォンの画面が中心になっている体験が、5Gでは実際の生活の場に拡張する体験が重要だと思いました。具体的には渋谷区などと連携し、ARなどを使って位置情報とデジタルコンテンツを組み合わせる取り組みを開始しました。

水田氏

例えば、スマホの画面上に現実の風景に重ねて周辺の飲食店の情報が直感的に分かるように表示したり、デジタルアートを渋谷の街中に設置して回遊を促進するなどの試みを実施しました。テクノロジーを使い、リアル世界にデジタルの価値を加え、新しい体験を創出しようと模索してきた軌跡がうかがえます。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、このようなリアルな活動に制約がかかった時期もありました。バーチャル渋谷などのオンラインコミュニティを立ち上げることでリアルの代替となる場所を作る一方、やがてはリアルへの回帰が高まってきました。

コロナが5類に移行した2023年、森ビルさんから新たなパートナーとしてお声がかかりました。それは、デジタルとリアルの融合に向けた取り組みに一緒に参画できないか、というものでした。

水田氏

それは、デジタルツインの技術を使い、リアル会場とそっくりなデジタル空間を重ねあわせ、その仮想空間には世界中のどこからでも参加できるというもの。アバターが会場内を自由に移動でき、現地に集まった人々と一つの体験を共有できます。このアイデアに双方共感し、具体的な企画が進んでいきました。

リアル臨場感×デジタル自由度の融合を目指す

一つの空間をリアルとデジタルの両方が共有する場合、それぞれで体験は微妙に異なってきます。それぞれの体験の魅力とは何かを改めて整理してみたいと思います。デジタルのメリットは、無制限の収容人数と手軽なアクセシビリティです。リアルの会場に行けない人でも、世界中のどこからでもアバターになって参加できます。自由に視点を動かせるため、リアルの参加者が味わえない体験ができるでしょう。

一方リアルの魅力は、実際に足を運び、その場にいる臨場感にあります。拡張現実感(AR)によってデジタルの世界と入り交じる感覚を体感できますし、さらに「実際にここにいる」という選ばれた特別な体験感も堪能できます。

私たちが目指すのは、リアルの価値とデジタルの価値のベストミックスです。リアル側にはそこでしか味わえない臨場感や特別感があります。一方デジタル側には無限の自由度と可能性があります。
一つのコンテンツを、リアル側もデジタル側も一緒に体験でき、お互いの体験を高めあうことができれば最高のエンターテイメントになると確信しています。

水田氏

デジタルツインホールでは、リアル側でのイベントの音や照明演出、映像をデジタル空間にリアルタイムでコピーし、同期させることで、アバターでも現実にいるような臨場感を実現しています。デジタルであっても、単なるコンテンツの配信ではなく、参加型の体験が味わえるということです。

今後は海外アーティストの招聘など、デジタル空間ならではのイベントも視野に収めているとのことです。遠方の人々もアバターで参加できるというメリットを最大限に活かしていく考えだそうです。

リアルとデジタルの融合について

今後の展開への意気込み

デジタルツインホールのような新しい試みは、いろんな障害に直面することもあるでしょう。しかし徹底して挑んでいけば、仲間が集まり、遂には企画を実現できるはずだと水田氏は力強く語ってくれました。

誰も実現したことのない企画は、最初は周りからの反対されたり懐疑的に思われることが多い印象があります。しかし、社外のパートナーから評価されニーズがあり応援されるものであれば、それは周りがまだ気付いていない、むしろいい企画の証しかもしれません。信じて諦めなければ、必ず仲間は現れるはずですし、実現できると思っています。

水田氏

水田氏は今後、デジタル空間ならではの価値をどう具現化していくかが大きな課題になるといいます。例えばリアルの会場では実現が難しい、パフォーマンスやスリリングな演出などにも挑戦できるかもしれません。アバターの機能を拡張すれば、現実では体験できないことを疑似体験できるチャンスがあるでしょう。

20年、30年先の未来を見据えた時、リアルとデジタルの融合は常識になっているはずです。デジタルツインホールはその常識を生み出す起点になると信じています。

水田氏

20年、30年先の未来を見据えた時、リアルとデジタルの融合は常識になっているはずです。デジタルツインホールはその常識を生み出す起点になると信じています。

デジタルツインホール イメージ

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