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2024年04月04日

Z世代の心をつかむSNSアプリ「TapNow」で世界制覇を目指すサンゴテクノロジーズ

サンゴテクノロジーズ株式会社
野間 悠磨
代表取締役CEO

サンゴテクノロジーズはZ世代をメインユーザーとするSNSアプリ「TapNow」を開発・提供しています。ベトナムでのオフショア開発も行っていますが、スタートアップとしての事業展開はTapNowが中心です。TapNowの差別化戦略によるユーザトラクションが評価され、サンゴテクノロジーズはこれまでに、SBIインベストメント、East Ventures、アドウェイズ・ベンチャーズ、DIMENSION、三菱UFJキャピタルから合計で3億円を資金調達しました。


起業に至った経緯、TapNowが人気を集めている秘訣などについて、サンゴテクノロジーズの代表取締役CEOの野間悠磨氏に話を伺いました。


TapNowは、従来のSNSと何が違うのか

「TapNow」サービスイメージ

TapNowは、Z世代をメインユーザーとするSNSアプリです。InstagramやTwitterと同様に友達同士で写真を共有するシンプルなアプリですが、既存のSNSとの決定的な違いは、スマートフォンのホーム画面にあるウィジェットを利用して写真を共有することにあります。

従来のSNSは、自分を中心に1つの大きなネットワークに全てを閉じ込めていく構造でした。一方でTapNowは、ネットワークを切り分け、コミュニティごとに分けていくような構造を目指しています。

野間氏

例えば、あなたに子供がいて、その子供の七五三の写真をSNSにアップロードしたとします。あなたが繋がっているビジネス上の知人と、高校時代からの友人では、その写真に対してコメントの内容は違ってくるはずです。従来のSNSでは、そうした異なる関係性の人々が1つのネットワークに集まり、場を汚してしまう可能性がありました。しかし、TapNowでは、共通の友達でなければ、ある投稿に対するコメントが見えない仕組みになっているので、そうしたリスクがないのです。

「TapNow」特徴について

コメントが見られる人々を物理的に分けるのではなく、シームレスに分けていくアプローチを取っています。ネットワーク構造そのものを根本から作り直しているので、コメントの内容に合わせて、自動的に適切な人々だけに露出するよう調整されます。

野間氏

TapNowでは人と人とのネットワークの切り分けを、その関係性に合わせて自在に制御できる革新的な構造を実現しました。この仕組みこそ、TapNowが従来のSNSと一線を画す最大の特徴となっています。

駐在員時代のリベンジを原動力に起業

サンゴテクノロジーズ株式会社のメンバー

野間氏は新卒でデジタル広告代理店に入社後、中国とベトナムで計6年間駐在した経験があります。当時の会社でのミッションは海外向けのプロダクト開発でしたが、世界的に通用するサービスを生み出すことはできなかったと語ります。

深く悔しい思いをしました。自分の思い描いていた、世界中の人が当たり前のように使ってくれるようなサービスを作ることができなかった。完全にダメだったわけではなく、中途半端な結果になったのですが、日本に帰国しました。

野間氏

そのような経験から、野間氏は一つの組織に務めるのではなく、自分には起業してやるしかサービスを世界に広めることはできないと考えるようになったといいます。それがサンゴテクノロジーズの起業の裏には、このデジタル広告代理店時代のリベンジを期す決意がありました。

日本企業が世界で通用するプロダクトを生み出せなかったことへの、個人的な悔しさみたいものがあります。日本人としての自負を賭けて、デジタル広告代理店時代に達成できなかった夢を、今度こそ実現させたい。そういう思いが原動力になっています。

野間氏

Z世代の心理と、数十年後のZ世代を見据えたマーケティング戦略

「TapNow」機能について

Z世代のSNS利用動向について、野間氏からユニークな分析についてお話いただきました。

Z世代は友達同士の距離感が近く、デジタル上のパーソナルスペースが狭いので、TapNowのようにホーム画面上に友達の写真が出ても違和感を感じません。また、Z世代は「映えない写真」を投稿することで「私は盛っていない」という表向きの理由を作り出す傾向にあります。

彼らが求めているのは結局のところ、承認欲求を満たすことです。ただし、わかりすぎる承認欲求の表し方は避けたいので、「このアプリでは盛れない」といった理由を作り出し、承認欲求を満たすための材料としているのです。

野間氏

つまり、TapNowは「Z世代の承認欲求に応えながら、表向きの理由を重んじるサービス」と位置付けられているわけです。広告やプロモーションなどのマーケティング施策も、こうした分析を基に最適化されているそうです。

すっぴんでもかわいく見せたければ、かわいいアングルやライティングを使って撮影します。本当はすっぴんとは程遠い写真を #すっぴん というハッシュタグを付けて投稿します。TapNowはそうした現代のZ世代の心理に合致したサービスになっていると自負しています。

野間氏

さらに野間氏は、Z世代の承認欲求の行く末について興味深い考察をお話いただきました。

SNS上で自己顕示欲を満たそうとする姿勢は、少し前の世代よりも後の世代になるほど強まっているように感じます。Z世代が10年後、20年後のZ世代が親になったときには、さらにそうした傾向が極端になる可能性があります。子供の承認欲求を満たすための投稿があふれるかもしれません。

野間氏

このように、Z世代分析から大胆な予測まで立てるのが野間氏のマーケティング戦略です。TapNowにはそうしたトレンド変化に強い対応力があり、さらにシェアを伸ばせるポテンシャルがあると野間氏は強調しました。

TapNowの世界展開

サンゴテクノロジーズでは現在、TapNowのアメリカ展開に力を入れており、特に西海岸での地道なプロモーション活動を展開中です。マーケティングチームを現地に置き、大学生なども巻き込んだ活動を行っています。

TapNowは、Z世代だけでなく、年代を超えて多くの人々に支持されるサービスになり得る可能性を持っていると信じています。ネットワーク構造の革命性、Z世代心理への対応力、マーケティングの切れ味の3つの武器を活かし、グローバル展開に挑戦します。

世界に通用するプロダクトを作りたい。デジタル広告代理店時代のリベンジを果たしたい。そうした思いは今も変わらず、日本発の当たり前に使われるようなサービスを世に送り出すため、今後もサービス拡大に全力を尽くします。

野間氏

野間氏の覚悟には揺るぎないものがありました。サンゴテクノロジーズの今後の躍進に期待が高まります。

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