- インタビュー
2024年12月05日
大手企業3社に学ぶ、スタートアップ連携の実践術 〜明確な目的意識が結果を生むーー〜物流業界の新しい潮流を作る、セイノーのCVC戦略〜
- セイノーホールディングス
髙橋 一馬 - オープンイノベーション推進室
15日に開催したKDDI ∞ Labo 全体会では、企業内で新規事業に取り組む方々にその事例を共有いただくセッションを実施しました。登壇したのはエクシングの伊藤秀樹氏、小田急電鉄の和田正輝氏、セイノーホールディングスの髙橋一馬氏の3名。各社の特色ある取り組みと、連携を成功に導くための具体的なアプローチ方法、社内展開のノウハウまでを詳しく解説いただきました。
今回は、セイノーホールディングスの髙橋一馬氏が語る、オープンイノベーション戦略についてお届けします。
アスリートからドライバーへ、新規事業への転身
セイノーホールディングス 髙橋一馬氏
セイノーホールディングス オープンイノベーション推進室でCVCを担当する髙橋一馬氏は、2015年に西濃運輸にアスリートとして入社しました。しかし怪我による1年目でのリタイアを機に、ドライバーとして現場を経験。その後の営業を経て、2020年にオープンイノベーション推進室に異動しました。現在は月50件から60件という多くのスタートアップとの面談をこなしています。
髙橋氏は以下のように説明しました。
物流はいろんなところでお客様と繋がることが多いので、我々がわからない目線、外から見た物流がどうなのかという視点も踏まえて色々な方とお話をさせていただいています。
髙橋氏
過疎地域の物流課題に挑む、スピーディーな実装力
セイノーホールディングスの代表的な取り組みが、過疎地域におけるドローン配送です。全国およそ1,700の自治体のうち、半数を超える885ほどの地域がすでに過疎地域になっている中、「働き手が減少する社会」という課題意識から、ドローンによる配送ソリューションの実装に着手しました。特筆すべきは、その展開スピードです。投資を決定してから数カ月という短期間で、全国に約60名もの人員を配置。なんと全国からこの事業に参加するメンバーを集めたそうです。高橋氏は次のように経緯を明かしてくれました。
この取り組み(ドローン事業)を自治体に知ってもらうのが重要ということで集まった約60名を北海道から沖縄まで地域ごとに配置し、1年間集中して自治体へアタックするところからスタートしました。
高橋氏
そこまで一気に人を送り込まれるというのは、トップダウンで実行されたのでしょうか?
オープンイノベーションを管轄する部門のトップがこれは本当にやるべきだということを会社に説明して進めました。
高橋氏
そこに至るまですごく時間がかかったんじゃないかと思うんですけど、どれぐらいの時間で実現されたんですか?
パートナーとなるスタートアップに投資して数か月後には実現しました。投資を検討する段階で、その体制はこちら側である程度固めていました。
高橋氏
結果、現在では全国10の自治体でドローン配送を実装し、防災の観点も含めた包括的なソリューションとして展開しています。また、スタートアップとの協業において髙橋氏が重視するのが、スピーディーな対応です。
「とにかく回答は早くする」という姿勢で、面談前の想定質問の準備や、社内の温度感の事前確認を徹底しています。高橋氏は「(もらった質問に対して)右か左かぐらいだけわかっていれば良くて、スタートアップ側としても深いことを期待しているというより、今どうなんだということが知りたい」という理解に基づく、実践的なアプローチを取っているそうです。
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