- インタビュー
2024年11月01日
KDDIがQunaSysへ出資!量子コンピュータが広げる人類の可能性
- 株式会社QunaSys
楊 天任 - 代表取締役
KDDIは、有望なベンチャー企業との新たな事業共創を目的とした、「KDDI Open Innovation Fund 3号」(運営者:グローバル・ブレイン株式会社、以下 KOIF3号)を通じて、量子コンピュータ向けアルゴリズムおよびアプリケーションソフトウエアを開発・提供する株式会社 QunaSys(本社:東京都文京区、代表取締役:楊 天任、以下 QunaSys)に出資しました。
今回は楊 天任氏にお話を伺いました。
代表取締役の楊氏に伺いました
何をしている会社ですか?
楊:QunaSysは、量子コンピュータ技術の産業応用を推進する先進的な研究開発を行う会社です。私たちは、量子コンピュータの持つ計算能力を引き出すための量子アルゴリズム研究を中心に据え、その成果を活用してさまざまな産業課題を解決することを目指しています。量子アルゴリズムの応用は化学、素材、製薬、エネルギー、エレクトロニクス、自動車をはじめとする広範な産業にわたります。
最近では、世界中で量子コンピュータへの関心が高まっており、実際に産業で使えるようにするための技術もどんどん進化しています。私たちも、創業以来、多くの産業界のエンドユーザー企業の皆さまと共に、量子化学計算やCAE(Computer-Aided Engineering)、金融、機械学習等の分野で研究、新技術の開発を進めており、一部の成果は論文としても発表しています。
例えば、富士通さまや三菱電機さまなどといったパートナー企業との共同研究では、量子化学計算の新しい方法を開発したり、将来の量子コンピュータ時代に備えてさまざまな応用分野を模索しています。
また、量子アルゴリズムの研究者や開発者向けに、量子技術を活用できるツールやライブラリを提供し、将来の量子コンピュータ時代の到来を見据えた研究開発をいまのうちから進められる環境作りを進めています。
さらに、日本ゼオンさまと一緒に材料開発を高度化するデータ管理システムの構築に取り組むなど、研究開発の現場で役立つ新しいソリューションを提供しています。研究開発において実験、データ、理論、計算の全てを包括的に用いるアプローチを探るとともに、量子コンピュータ活用の可能性を広げようとしています。2023年には欧州に新たな拠点を設立し、海外事業も強化しています。
以上のように、私たちは量子コンピュータの持つ可能性を最大限に引き出し、これまでにない技術や価値の創造を目指しています。
なぜ会社を立ち上げたのですか?
楊:QunaSysを立ち上げたのは、量子コンピュータが将来的に技術革新の大きな転換をもたらすと確信したからです。まだ進化の途上にある量子技術ですが、数年後にはこれまでのコンピュータでは解けなかった問題、例えば持続可能な社会を目指すうえで必要になる革新的な素材の発見や、次世代の医薬品の開発を加速化させるなど、私たちの生活に劇的な進展をもたらすとともに持続可能な社会を構築するための研究開発に役立てることができると信じています。
しかし、量子コンピュータの真の可能性を引き出すためには、ハードウェアの開発だけでは不十分です。この新しい計算能力を実際に産業で役立てるためには、それを最大限に活用できるアルゴリズムやソフトウェアの構築が不可欠です。
QunaSysは、量子アルゴリズムやソフトウェアの開発を通じて、量子コンピュータの技術が現実の問題解決に結びつく仕組みづくりに取り組んでいます。この技術が実用化されることで、社会に与える影響は計り知れません。
QunaSysはこの変革の最前線に立ち、これまで解決できなかった問題に挑戦し、新しい未来を切り拓いていきたいと考えています。
これからの目標はありますか?
楊:今まさに量子コンピュータの技術は、大きな飛躍を迎える転換期に差し掛かっています。QunaSysとして、このターニングポイントを大きなチャンスと捉え、これまでに調達した資金を活かして、国内外での事業拡大を加速させようとしています。
「量子コンピュータが産業に貢献する未来へ。」というビジョンを胸に、エンドユーザーやパートナー、世界中の量子業界のキープレーヤーとともに、社会や産業界における課題を解決する新しいソリューションをどんどん世の中に展開していきたいと思っています。
私たちはこれからも、量子コンピュータの性能を最大限に引き出すための基盤技術の開発に力を注ぎ、同時にその技術を実際の社会、ビジネスに役立てることで世の中に大きなインパクトを与える企業の一つになるべく挑戦を続けます。
KDDIからの出資によって期待していることはありますか?
楊:KDDIさまからの出資にあたり、特に期待しているのは、GPUによるAIビジネスが昨今急速に拡大したように、量子コンピュータのQPU(量子コンピュータ)を活用した全く新しいビジネスをともに創出することです。
KDDIさまの強固な通信インフラを活用することで、QPUを次世代の計算リソースとして広く産業界に提供し、多岐にわたる分野での応用を進めていけることを期待しています。
QPUを用いて既存の計算インフラを補完あるいは代替することで、従来の技術のみでは成し得なかった新しい産業の発展と成長を後押しすることができると考えています。
最後に一言お願いします
楊:KDDIさまとの協業を通じて、量子コンピュータ技術と通信インフラ技術のそれぞれで新たな技術の開発が進むこと、またそれだけでなくこの二つの分野が組み合わさることで生まれる新しい価値の創出に大きな期待を寄せています。
私たちは、多くのパートナー企業さまと連携することで、それぞれの業界での課題や社会的ニーズを理解し、量子技術を用いてそれらを解決することに取り組んでまいりました。
今後もより多くの産業や分野へ応用していき、新しい未来をともに築いていければと考えています。
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