- インタビュー
2023年04月03日
スターウォーズのホログラムのような3D化された人物をWebARのノーコードで提供ーーKDDIとpalanが協力
KDDIとpalanは2月、ボリュメトリックビデオのWebAR配信技術で提携することを発表しました。ボリュメトリックとは3次元空間の物体や人物の形、動きを高精度に記録し再現する技術のことで、今回の提携により、ボリュメトリック映像を3D化してWebARにて活用することが可能になります。
KDDIでは2022年10月から、フライヤーや雑誌などの紙媒体にスマートフォンをかざすことで、3D化したコンテンツを360度好きな角度から見れる「飛び出すAR」の提供を開始していました。例えばミュージカルなどのライブ演出において、紙媒体では伝えきれない魅力的なコンテンツを提供することが可能になります。今回の提携ではこのコンテンツをより利用しやすくするプランが提供されました。
palanが保有する誰でも簡単にWebARを作成できるノーコードAR作成サービス「palanAR (パラナル)」WebARのプラットフォームを使うことで簡単に編集できる機能が提供されるほか、今回の提携を通じて新しいプランの提供を予定しています。本稿ではKDDI側で対応したXR推進部(兼務)の山田健太さんと同じくXR推進部の山田もなみさん、そして提携を発表したpalan代表取締役の齋藤瑛史さんに今回の提携のお話を伺いました。
飛び出すARではミュージカルの案件などを中心に、フライヤーなどの紙媒体にスマートフォンをかざすと演者さんが出てきて挨拶するようなコンテンツを多く作成し、好評を博しました。しかし、制作するには手間がかかり、お客様に早く提供することができないという課題がありました
XR推進部(兼務)山田健太さん
こう語るのはKDDIで「飛び出すAR」を担当する山田健太さん。
とにかく制作の手間をなんとかしたいとAR関連の技術を探していたところ、palanという会社のサービスがどうやらノーコードで簡単に編集ができるらしいと聞きつけ、コンタクトをとったそうです。
一方のpalanは2019年から誰でもWebARを扱えるプラットフォームを提供していたものの、ユースケースについては模索する日々でした。刺さる人には刺さるがより幅広い使い方はないか、そう考えていた時にKDDIから声がかかり、これまでの枠を超える使い方にイメージが膨らんだそうです。
また、提携となるともう少し形になったものが必要になります。そこで両社は法人向けのプランとして必要な機能の精査などをタイトなスケジュールの中で調整することになります。結果、提供されるプラン「飛び出すAR supported by palanAR」では、Digi-Castスタジオ(クレッセント社提供)で撮影したボリュメトリックビデオの映像素材に対しpalanARを使って編集・配信することでWebAR化できる、というものになりました。
palanARはオンライン編集が可能なツールで、素材を利用する企業側でも即座にスマートフォンで修正内容を確認することができるため、従来の飛び出すARが抱えていた制作の難しさという課題を軽減してくれます。
従来提供していた「飛び出すAR」というサービスは、手間がかかってしまうという欠点があり、カスタマイズがやや困難だと感じていました。しかし今回、palanさんのpalanARを使用することで、お客様のご要望に柔軟に対応できると期待しています
XR推進部 山田もなみさん
今回の連携では両社の抱えるそれぞれのマイナス部分を解消し、より幅広いユースケースを求めていくそうです。利用シーンについてpalan代表の齋藤さんは次のように答えてくれました。
やはりエンタメ系が中心であるものの、実際にお問い合わせをいただいたり、ご興味を持っていただいているものは、例えば誰かに物事を伝えるプレゼンテーションをホログラムのような形式で実現できると思います。スターウォーズの世界のように、目の前に人が出てきて話をしてくれるような場面で、例えば、経営層が社員に伝えるためのコンテンツや、演説などの用途があると考えています。また、教育コンテンツで先生が外で三次元的に出てきて教えてくれるようなシーンが実現できます
株式会社palan 代表取締役 齋藤 瑛史
さらに齋藤さんはこのようなエンタメやビジネス、教育などの利用のほかに「ARを使って3Dの形で思い出を残していく」ような使い方もできるのでは、とお話されていました。
今後の展開については、まず、わかりやすいエンターテインメントの方面から利用企業を探しつつ、広告やプロモーションなどに利用シーンを広げていきたいとのことです。
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