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2024年10月03日

気鋭のスタートアップmovが考える「口コミ」の未来とは!

株式会社mov
渡邊 誠
代表取締役 / CEO

2024年5月にシリーズBのファーストクローズで、全ての既存株主から総額約15億円の資金調達を発表した「mov」。同社は、店舗マーケティング支援とインバウンド対策支援というふたつの事業を展開しており、コロナ後のインバウンド需要の急回復を受けて、事業の成長スピードを加速させています。代表取締役CEOの渡邊誠氏に、ふたつの事業を始めた経緯や同社の今後の展望について、お話を伺いました。


インバウンド支援のなかで気づいた「口コミ」の可能性

訪日ラボ利用イメージ

2015年9月に創業のmovは現在、月額課金のAI店舗支援SaaS「口コミコム」の提供を主とした店舗マーケティング支援、インバウンドビジネスメディア「訪日ラボ」の運営とインバウンド専業のコンサルティングサービスの提供によるインバウンド対策支援を手がけています。

movでは、先行してインバウンド向け事業を開始し、その後、店舗支援事業をスタートしました。ふたつの事業のシナジー創出により急成長を実現していると渡邊氏は話します。

インバウンド対策支援ではもともと、GoogleやYahoo!への広告出稿やYouTubeでの動画配信、SNS運用など、インバウンド集客専業の広告代理業のような仕事をしていたのですが、なかでも海外からの観光客を集めるのに有効だったのがGoogleマップやTripAdvisor上の口コミ対策でした。

その対策を効率化するために社内向けにつくったツールを外部へ提供したのが、店舗マーケティング支援の始まりです。コロナ禍は、国内での集客を目的としたマーケティングに活用するソリューションとして、ツールを提供していました。

渡邊氏

現在は、店舗マーケティング支援でサポートしていた店舗が訪日観光客を呼び込むためにインバウンド支援事業のサービスを利用するケースも増え、コロナ後のインバウンドの急速な回復に合わせて、相互に好影響を与えながら両事業が成長しています。

インバウンドコンサルティングから得られた知見をツール化した「口コミコム」

口コミコム利用イメージ

Googleマップをはじめとするマップサービス上で検索した際に、店舗や施設の候補として挙がる順番を上位にするMEO(Map Engine Optimization、マップエンジン最適化)という概念が、デジタルマーケティングの施策のひとつとして、2019年頃から注目され始めました。

現在はこの領域で「ツールが次々に生まれている」と渡邊氏は言います。しかし、movの開発する口コミコムは、その生まれから他のツールと思想が異なるそうです。

2018年頃、当時私がコンサルティングしていたホテル運営の事業者に対して、そのホテルと周辺のホテルに関する数万件の口コミを収集し、そこで書かれている内容から改善点や差別化のポイントを見出して顧客体験の向上やOTA(Online Travel Agent、オンライン旅行代理店)での訴求方法の改善にいかしていました。

そうした経験から、口コミを分析して得た結果をもとに店舗を業務改善し、販売の経路となるネット上の口コミサイトやOTAを最適化すると、大きく売上を伸ばせることを認識していたのです。その経験をもとにつくられたのが私たちの提供している「口コミコム」です。

渡邊氏

他社のMEOツールがGoogleマップやYahoo!マップのみを対象としているところ、movの手がける口コミコムは、19の口コミサイトや地図サービスに対応。各媒体へ載せるのに適した情報や画像の掲載など、ユーザーによる最適な運用に向けて、すべて一括で管理する機能をもっています。

個別で店舗を運営されている方と、チェーン店を手がけている企業とでは、ツールの使い方が異なります。例えば前者では、さまざまな口コミサイトに掲載している情報を一括で管理できる点を評価いただいています。一方、後者の企業では、フランチャイズで展開している店舗のブランドマネジメント、または同様にチェーン店を展開している競合企業への対策に、ツールを活用いただいています。

渡邊氏

飲食店や小売業、美容院やホテルといったさまざま業界で、それぞれのニーズに沿ったツール活用法が生まれていると、渡邊氏は話します。

AIの活用で、口コミからのインサイト抽出を簡単に

KDDIは、「KDDI Open Innovation Fund 3号」を通じて2022年のシリーズAラウンド、今年5月発表のシリーズBファーストクローズの2回、movへ出資を行いました。KDDIとの事業の連携について、渡邊氏は決済サービス「au PAY」や共通ポイントプログラム「Ponta」など、同社の手がける店舗支援サービスのユーザーに対して、movのサービスを使ってもらいたいといいます。

食べログ(編注:食べログは2018年にKDDIと資本業務提携)を通じてお店の売上を伸ばしたり、Pontaを使ってもらったりと、auが提供するサービスのユーザーを増やすためにmovが裏側からサポートできればと考えています。

渡邊氏

生成AIをはじめとする技術の発展が目覚ましいですが、movでもAIを活用し、例えば口コミコムでは膨大な口コミから問題点を集約、課題解決の方法を提案する機能を用意していくと、渡邊氏は意欲を示しています。

これまではなかなか向き合うリソースがなく、ないがしろにされてきた口コミという各企業のアセットをどんどんAIに学習させて、日々の業務に落とし込むかたちで活用していこうと考えています。

渡邊氏

お店選びをするうえで、今や必要不可欠となった口コミの活用において強力なプレイヤーであるmovの成長にこれからも目が離せませんね!

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