- インタビュー
2025年05月19日
ベリリウム(Be)でフュージョンエネルギーの社会実装を目指す- MiRESSO

- 株式会社MiRESSO
浜崎 浩 - 上席エンジニア
2025年5月15日、KDDI ∞ Laboの月次全体会において、スタートアップ4社が大企業に向けてピッチを行いました。登壇されたスタートアップにMUGENLABO Magazine編集部のめぇ〜ちゃんがインタビューをしたので皆様にお届けいたします。
3社目はMiRESSOです。核融合発電の中性子増倍材となるベリリウム(Be)の製造・販売をするスタートアップです。今回は、MiRESSOの上席エンジニア 浜崎 浩氏にお話を伺いました。
めぇ〜ちゃん
- 低温精製技術をコアとしてベリリウム(Be: Beryllium)を安定的に大量かつ適正価格で製造し、フュージョンエネルギーの社会実装に貢献します。
上席エンジニアの浜崎氏に伺いました
何をしている会社ですか?
浜崎:MiRESSOは、次世代エネルギーであるフュージョンエネルギー(核融合発電)の社会実装に向けて、その鍵となる重要物質の一つであるベリリウム(Be)の安定供給体制を構築するスタートアップ企業です。青森県において低温精製技術を用いたパイロットプラント「BETA(Beryllium Testing Plant in Aomori)」を整備中で、2027年度からのベリリウム(Be)製造・販売の本格開始を目指しています。
ベリリウム(Be)はその優れた材料特性から、フュージョン燃料を効率的に生産するために不可欠な中性子増倍材として、さらに、熱負荷を受ける第一壁材として使用され、MiRESSOはその高純度ベリリウム(Be)の供給を独自技術で担います。また、輸入依存からの脱却や国産技術による供給網の構築を通じて、エネルギー・資源安保に貢献することをビジネスの中核としています。さらに、フュージョンスタートアップや大学・国際機関との連携を通じた用途開発や、鉱石からの一貫精製技術の海外展開も視野に入れており、素材インフラ企業としての成長を志向しています。
サービスイメージ
なぜこの会社を立ち上げたのですか?
浜崎:世界各地および我が国でも開発が進むフュージョンエネルギー(核融合)発電の運転には、中性子増倍材であるベリリウム(Be)が大量に必要になります。しかし、現状の生産量では著しく不足しており、価格も高価であるため、フュージョンエネルギーを普及させていく上でベリリウム(Be)がボトルネックになっています。
量子科学技術研究開発機構(QST)で開発された低温精製技術により、鉱物資源から従来手法よりも低コスト・省エネルギーで純度の高いベリリウム(Be)の精製に成功しました。弊社は同技術によるベリリウム(Be)の安定供給を通してフュージョンエネルギーの社会実装に貢献し、鉱物資源の可能性を引き出して明るい未来を次世代につなぐことを至上命題としています。
これからの目標はありますか?
浜崎:核融合発電に不可欠な高純度ベリリウム(Be)を、安定的かつ国産技術で供給できるバリューチェーンを上流から下流まで整えるのが当面の目標です。この実現を通して、我が国のエネルギーの自立性を高める一助になると確信しています。ベリリウム(Be)を含む高度機能材料の国産化は、航空宇宙・防衛・半導体・医療など戦略的産業の競争力を強化し、地政学的リスクの影響を受けにくい強靭なサプライチェーンの構築にも貢献します。
さらに、MiRESSOの低環境負荷型の精製プロセスと地域分散型の製造モデルは、脱炭素社会の実現や地方創生にも寄与します。MiRESSOの取り組みによって、資源・エネルギーの安定供給と、革新技術の産業化が両立する未来を切り拓いていきたいです。
最後に一言お願いします
浜崎:私たちは、我が国の資源セキュリティに貢献し、次世代のカーボンニュートラルなエネルギー源であるフュージョンエネルギーをベリリウム(Be)の力で支え、世界へとその価値を広げていく未来を創造していきます。新たな未来に向けて共に歩むKDDI∞ Laboパートナーの皆様との出会いと共創(フュージョン)を、心より楽しみにしております。
めぇ〜ちゃん
- 最先端材料で核融合の未来を切り拓く、MiRESSOの挑戦に大きな期待です!
それでは次回もお楽しみに♪
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