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2022年03月03日

人生100年時代に合った 働き方の実現へ - ビジョナル 南壮一郎氏/mediba 江幡智広氏 対談

KDDIはこの度「KDDI ∞ Labo」立ち上げから10周年の感謝を込めて、書籍「スタートアップス -日本を再生させる答えがここにある-」を出版することになりました。MUGENLABO Magazineでは特別に、書籍の掲載内容の一部を切り出してご紹介していきます。


はじめに

第2章では「過去10年にスタートアップが引き起こした変革」として上場、M&Aなどの形でエグジットした8社のトップが、これまでの10年にそれぞれの領域で起こした社会の変革について語ってもらいます。今回はその中でもビジョナル代表取締役社長 南 壮一郎 氏とmediba代表取締役社長 江幡 智広 氏の対談の一部を特別に本記事にてお見せいたします。

インタビュー風景

人生100年時代に合った 働き方の実現へ

一つの事業を介して互いに得た気づき

南:2010年8月、ビズリーチを創業した約1年4カ月後に立ち上げたのがルクサでした。契機となったのは、リーマンショック後にだぶついていたメーカーなどの流通における過剰在庫の流動化、加えて今後10年で伸びるだろうモバイルECサービスを作りたいとの思いです。 メーカーは在庫がだぶつくと新規投資ができず、新しい研究開発ができなくなる悪循環に当時陥ってました。この課題の本質的解決が経済を回すために重要だと考えました。サービス裏で物流の仕組みなどを当初から持っていた点などで、そのころ流行っていたクーポン共同購入サイトとは一線を画していました。そこに注目していただき、2013年に「KDDI Open Innovation Fund」を通じて3.3億円を出資してもらったのが江幡さんとの出会いです。

「一緒にルクサを伸ばしていこう」と言っていただいたのですが、最初は信じていいものか戸惑いました。当時、大きな事業会社からスタートアップへ投資が実行された後、一緒に事業を伸ばしていったよい事例をスタートアップ界隈であまり聞いたことがありませんでしたから。ただ、ルクサにおけるKDDIの取り組みは違いました。本当にワンチームとしてサポートしてくださった。あれには驚きましたし、感謝しかありません。

「経営とは、願いと約束」

江幡:当時のKDDIにとって、ECは未知の領域です。店舗を集約するモール事業は展開していたものの、ECではありません。大企業だから何でもできるわけではない。行動に時間がかかることもある。自分たちができないこと、知らないことが何かを認めて、必要であれば外部の優れた力を借りるのは当然のことです。物流を含めてルクサが持ってた仕組みは勉強になりました。商材を集め、品質を確認・保証して、ダイレクトにお客様にお届けするビジネスを学んだのです。KDDI水準のガバナンスやコンプライアンスをクリアする必要があったので苦労はしましたが、あの経験は何物にも代えがたい財産になっています。

南:出資後、協力し合いながら事業を急成長させたこともあり、2015年4月にルクサはKDDIの連結子会社となりました(注:2022年3月以降は「au PAYマーケット」に統合)。KDDIと一緒に事業が2倍、3倍と成長していく様子を実感できたのも良い思い出です。よく「南さんにとって経営とは何ですか?」と聞かれます。私は「自分にとって経営とは、願いと約束だ」と答えています。こういう世の中を作りたいという未来に向けた願いがまず出発点であり、それを実行するエンジンとして社会や仲間との約束がある。ゼロから始めた事業が10年で数百億円規模の売り上げに達する―そんな体験を人生で味わえる人はそうはいません。ルクサを育て上げてきた仲間たちが今後、ルクサでの経験を経て、世の中にどんな新しい価値を生み出していくのかが楽しみです。またKDDIがルクサの成長を通じて学んだことをどうやって発展させていくかにも注目しています。

グループ経営体制への移行と株式上場がターニングポイント

南:創業してからの12年を振り返ると、直近で2つの大きなターニングポイントがありました。まずは2020年2月にグループ経営体制に移行して新たな社名を掲げたこと。もう1つは2021年4月の東証マザーズ市場への株式上場です。

グループ経営体制に際して、新たに「Visional」というグループ名を掲げたことに関しては、周囲から「なぜビズリーチ・ホールディングスではないのか? ブランド力が強い名前を生かさない手はないだろう」と、さんざん言われました。私自身、1年半ほど悩みに悩んだ結論です。変更に踏み切った理由は二つあります。一つは、創業10年目のここを、また新たなスタートラインにしたいと強く思ったからです。これからの10年先、20 年先を考えたとき、道はいくらでも広がっています。

「HR Tech〝も〞やっている」企業になる可能性が十分にある。ビズリーチは祖業であり主力サービスであり続けるにしても、将来、ビズリーチという名前に事業領域の拡大やグループ全体の成長が縛られてしまうかもしれない。もう一つは、グループ経営体制になり全く新しいVisionalというグループ名にすることで社員全員が創業メンバーになれるということ。1300人のメンバーが真っ白なキャンバスに絵を描くような気持ちで、また新たな創造ができるということにワクワクしたんです。

上場に関しては、楽天グループの三木谷(浩史)会長兼社長から「ここからが会社のとしての本当の勝負。まだまだ日本の働き方は変わってないので、社会のためにがんばりなさい。」と言われたことが強く印象に残っています。この10年で確かに転職することは当たり前になり、市場規模も拡大しましたが、いまだ日本の正社員の転職率は年間で2.3%に過ぎません。我々はIT業界にいるので雇用はどんどん流動化しているように錯覚しやすいのですが、社会全体で見ると、予想以上に実態は変わっていないんです。

めぇ〜ちゃん
南さんが語るこれからの10年とは何かが気になりますね。
続きは書籍にて!

「スタートアップス -日本を再生させる答えがここにある-」書籍概要

次の10年で、日本が世界での競争力を再生させていくうえで不可欠となる、スタートアップと大企業による事業共創がどのような変革をもたらすのか、過去10年で日本経済に影響を与えてきたスタートアップ企業トップへのインタビューを通じて明らかにする。
更に日本を代表するベンチャーキャピタル(VC、CVC)71社への調査を実施。ESG関連企業への投資意欲について分析するとともに、VC、CVC各社が推薦する有力スタートアップ92社をリストアップ。どのようなスタートアップたちが日本経済の再生をリードしていくのか、示唆を打ち出す。

目次

  • 第1章「日本のイノベーション、これからの10年 スタートアップと大企業の共創で実現」

対談:SHOWROOM 前田裕二氏/小学館 畑中雅美氏/KDDI ∞ Labo 中馬和彦

  • 第2章「過去10年にスタートアップが引き起こした変革」

上場、M&Aなどの形でエグジットした8社のトップが、これまでの10年にそれぞれの領域で起こした社会の変革について語る
◆ソラコム 玉川憲氏
「スウィングバイIPOでグローバルIoTプラットフォームを目指す」
◆ウォンテッドリー 仲暁子氏
「仕事に夢中になれる人を増やしたい」
◆ラクスル 松本恭攝氏
「インターネットとソフトで仕組みを変え産業のムダをなくす」
◆BASE 鶴岡裕太氏
「ロングテール対象にECを民主化」
◆マネーフォワード 辻庸介氏
「FinTechはこれからが面白い」
◆ビザスク 端羽英子氏
「エキスパートネットワークサービスを日本に定着」
◆オイシックス 高島宏平氏
「ECでサステナブルな食を届ける」
◆ビジョナル 南壮一郎氏/mediba 江幡智広氏
「今の日本には伸びしろしかない」

  • 第3章「VC・CVC ESG関連スタートアップ投資動向調査」

8割超が重要テーマに挙げるが、リターンは未知数。日本のVC、CVC 71社のスタートアップへの投資方針、ESG分野の投資に対する意識などを独自調査から明らかにする

  • 第4章「ESG関連有望スタートアップス VC、CVCが選んだ92社」

ESGの視点を意識しつつ、これからの10年で日本を変える可能性のある92社の有望スタートアップを紹介

Amazon-スタートアップス 日本を再生させる答えがここにある
https://www.amazon.co.jp/dp/4296110462/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_QT0RYMWY70JF6CJA8WY9
日本のスタートアップと大企業の共創がこれからの10年を創る

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