- インタビュー
2023年12月20日
次世代クレカ「Nudge(ナッジ)」とpovo2.0のコラボで広がる「ギガ活」の可能性と今後
- ナッジ株式会社
石田 真史 - 執行役員 事業開発部長 兼 経営管理部長
- KDDI株式会社
友安 菜那子 - 事業創造本部 LX戦略部
2023年10月、次世代型クレジットカード「Nudge(ナッジ)」(以下、ナッジカード)と、KDDIと沖縄セルラーが提供するオンライン専用ブランド「povo」が提携し、#ギガ活クレカの発行を開始しました。povoを使うユーザーは、日常のさまざまなお店やサービスの利用において、ナッジカードを使うだけで、累計利用額に応じたギガ(プロモコード)がもらえるようになります。
ナッジは、チャレンジャーバンク(スタートアップなどによる銀行サービス)事業を通じて、日本におけるフィナンシャルインクルージョン(金融がリーチしていなかった層へのサービス提供)の実現を目指しています。ナッジとpovoがなぜ手を組んだのか、これからどのような可能性や展開が考えられるのかについて、ナッジの石田真史さんとKDDIの友安菜那子さんに話を伺いました。
Nudgeとpovo2.0コラボ
povoのギガ活でナッジさんと連携に至った経緯を教えてください。
友安:povoは、多様なライフスタイルに対応し、これまでの月額制の通信サービスとは異なる新しい通信プランを目指しています。その中でpovoがターゲットとしているのは、Z世代やサブカルチャー層の推し活をされている方であり、povoとして応援することができないかということを考えていました。また、povoはインフルエンサーやアイドルグループの皆さんとタイアップをして、新しいキャンペーンや商品を世に出すということにチャレンジをしてきました。
その中でナッジは推し活を応援できるカードとして、様々なインフルエンサーやクリエイターの皆さんを応援できるサービスを提供されており、相互の目指している世界観、コンセプトが似ていると思ったので、今回一緒に新しいキャンペーンを企画させていただきたいと思いました。
石田:他の携帯・通信会社様でもスマホブランドの提携クレジットカードが出ているように、通信とカードは相性がいいので、povoの話も最初から候補として挙がっており、一緒にできないかとお話をさせていただきました。
連携の実現に向けて動く中で課題点はありましたか?
石田:ナッジのプロダクトを始めて2年ぐらいなので、機能もまだ改善の余地があります。povoの課題としては、ユーザーがクレジットカードを持っていないために離脱する方が多いと聞いています。ナッジは、その課題を直接解決可能にするため、即時審査の機能を開発しておりますが、細かい機能面で不足している部分があります。
特典の受け取り方法でも、ナッジのやり方とKDDIさんからご要望いただいている部分で若干差異がありますが、ベンチャーとしてシステム開発が機動的にできるところを生かし、要望をキャッチアップできるように頑張っています。
友安:元々ナッジさんのカードは推し活クレカなので、生涯決済累計金額を積み上げていって、決済金額がある一定金額に到達すると特典がお客様にわたる仕様になっていました。一方で、povoが実施しているギガ活で実現したいことは、月末などギガが足りない際にナッジカードを使ってお買い物をしていただき、足りない分のギガをチャージしていただくものだったので、現行の仕様で実現するには工夫を凝らす必要がありました。現在、よりよいギガ活の体験をお客様に提供できるように、新しい仕様の開発を今後の計画に盛り込んで頂いており、月単位で決済金額をリセットするというギガ活の考え方に近づけていただいています。
ナッジさんとの取り組みで生まれた新たな価値を具体的にお聞かせください。
友安:これまでも、povoとしてはギガ活の取り組みは実施しており、その一つに対象加盟店で一定金額以上のお買い物をauPAYで行うとギガがもらえるというものがありました。このauPAYギガ活はpovo2.0を使ってくださるユーザー様からの人気が高いキャンペーンです。ただ一方で、使える店舗が限られているため普段から対象加盟店を利用しない方や、自分の生活圏に対象店舗がない方にとっては、利用できる店舗が限定される状態になっていました。
今回ナッジさんと一緒にやらせていただいている新方式のギガ活では、Visa加盟店での決済の全てが特典付与の対象になります。そのため普段のあらゆる買い物で、ナッジさんのカードを使用していただくことで決済金額に応じたギガがもらえ、対象となる決済が広がったのがよいところです。
povo公式クレジットカード
お客様からの反響はどうでしたか?
石田:ナッジ自体、まだまだ知名度が高いわけではなく、若年層の方を中心に徐々に認知が広がってきたという段階です。KDDIさんやpovoのような、ブランド力や知名度がある企業と組むことで、たくさんのポジティブな反響をいただきました。ユーザー様だけでなく企業関係者様からの反響を多くいただいております。KDDIさんと組んだことで会社の信用力への影響が大きかったと思います。
個人のユーザー様に関しては、プロモーションを強化していく段階なので、反響はまだ多くありません。しかし、ナッジカードには、自分が所属している「クラブ」を月に1回変更でき、様々な特典を楽しめるという機能があり、ナッジが自社で運営している「学生部」等のクラブ会員様に「povo」クラブを案内したところ、多くの方が「povo」クラブに移っていただきました。このように提携クラブが広がることで、ナッジカードの「自分の“好き”を選べる」というコンセプトを一層体現できるようになり、活性化するきっかけになったと思います。
友安:povoとしても、SNSでお客さまの声を日頃から拝見していますが、10月6日からはナッジの「クレカで#ギガ活」の投稿が増えていたので、povo2.0を利用いただいているお客様にも一定認知していただいており、嬉しく思いました。ただ、クレカでギガ活に関してはまだまだこれからプロモーションを頑張っていこうという段階なので、いろんな人に知っていただき、その後たくさんの方に喜んで利用していただけるように頑張って行きたいと思っています。
今後取り組んでいきたいことをお聞かせください。
石田:KDDIさんには、この取り組みを進めていただきとても感謝しています。弊社は多くの事業会社様と連携していますが、KDDIさんは行動のスピードが群を抜いていると感じています。今回の取り組みの話は、実際にやると決まったのが9月初旬ぐらいで、そこから約1ヶ月で一気に立ち上げました。大企業がベンチャー以上のスピード感で物事を進めていただけるので非常にやりやすいです。
一方で、ナッジカードはまだKDDIさんの求める機能に達しておりません。普通のクレジットカードと比べて「使いやすい」「安心して使える」と言っていただけることもありますが、足りない機能やサービスもあるので、povoユーザー様のニーズを聞きながら、使い勝手を上げていきたいと思います。弊社は、ベンチャーとしての機動力が強みなので、その強みを活かして開発を進めていき、「クレカでギガ活」を広げていきたいです。
そのために、まずはナッジカードのpovoクラブに入会していただいたユーザー様に、ナッジのカードをメインのクレジットカードとして使っていただけるように、サービス品質・利便性の向上に取り組んでまいります。今後については、ナッジがKDDIさんと一緒にクリエイターを応援するような取り組みができないかと考えています。「NFT」についてもクリエイターへの応援シナリオの中で何ができるかを相談させてもらっています。新技術を絡めながら、新しいビジネスを作っていきたいと考えています。
友安:既存のau PAYのギガ活ユーザーは結構いますが、クレカでギガ活はまだ一部のお客様にしか浸透していないので、今回の取り組みで自分に合ったスタイルの#ギガ活を選んでいただき、もっとpovoユーザーの満足度向上に貢献していけたら良いなと思っています。
石田さんもおっしゃっている通り、まずはナッジさんとのクレカでギガ活をもっと多くの人に使っていただけるように、具体的には公式キャラクターカードを作るなど、お客様の満足度向上につながる新しいチャレンジを一緒にやっていきたいです。