- インタビュー
2024年10月31日
未来の世代に、豊かな食を。 - HarvestX
- HarvestX株式会社
市川友貴 - 代表取締役
2024年10月24日、KDDI ∞ Laboの月次全体会において、スタートアップ4社が大企業に向けてピッチを行いました。登壇されたスタートアップにMUGENLABO Magazine編集部のめぇ〜ちゃんがインタビューをしたので皆様にお届けいたします。
4社目はHarvestXです。物工場でのイチゴの生産過程において、植物の管理・授粉・収穫を自動で行う栽培ソリューション「HarvestX」の展開をするスタートアップです。今回は、HarvestXの代表取締役 市川友貴氏にお話を伺いました。
めぇ〜ちゃん- 365日どんな環境でもイチゴ栽培が可能なイチゴ自動生産ソリューションを提供しています。
代表取締役の市川氏に伺いました
何をしている会社ですか?
市川:弊社は、食品メーカーを中心とした食品製造業に対して、革新的なイチゴの自動栽培ソリューションを提供しています。このソリューションは、従来の農業の概念を覆し、効率的かつ持続可能なイチゴ生産を可能にします。
当社のサービスは、イチゴ栽培に必要なすべての要素を包括的に提供しています。具体的には、高品質なイチゴの苗から始まり、最適な栽培資材、最新の栽培設備、詳細な標準作業手順書(SOP)、そして最先端の自動化システムに至るまで、全てを一貫したパッケージとして販売しています。これにより、顧客は煩雑な準備や部材調達の手間を省くことができます。
本サービスの最大の特徴は、イチゴ栽培の専門知識や技術がなくても、高品質なイチゴを安定的に生産できる点です。従来、イチゴ栽培には長年の経験と専門知識が必要とされてきましたが、当社のソリューションにより、この障壁を取り除き、多くの企業がイチゴ生産に参入できるようになりました。
弊社では、常に最高品質のサービスを提供するため、工学と農学の両分野に精通したエキスパートチームです。このチームが協力して、より円滑な生産プロセス、革新的な栽培技術、そして最新の自動化技術の開発に取り組んでいます。この学際的なアプローチにより、常に最先端のソリューションを顧客に提供し続けることが可能となっています。
サービスイメージ
なぜこの会社を立ち上げたのですか?
市川:植物工場の現場における課題や食品流通の問題点を深く認識したことが、当社設立の主な動機となりました。これらの課題に対して、技術に特化したメーカーとしての企業が存在することで、革新的なソリューションを提供できると確信しました。そのため、私たちは会社を立ち上げ、農業技術の進歩と食品産業の発展に貢献することを決意しました。当社の法人化は、東京大学協創プラットフォーム開発が主催する起業支援プログラム「1stRound」への採択を契機としています。このプログラムへの参加過程で、私たちのビジョンと技術力が高く評価され、正式に法人として事業を展開する機会を得ました。この経験は、私たちの事業計画をより洗練させ、実現可能性の高いビジネスモデルの構築に大きく寄与しました。
HarvestXは、明確な行動指針を掲げることで、組織の方向性と価値観を明確にしています。具体的には、以下の4つの指針を重視しています。
- 徹底的に考え抜く:客観的にシステムや事象を評価し、数学的な表現を用いて論理的に考える。
- 手を動かす人に感謝:実際に作業を行う人々の努力と貢献を常に認識し、実装にバグがあっても実装した人を責めない、責めるのではなく改善方法を議論する。
- 改善と実行:失敗に留めず次の行動に繋げていく。
- 真摯に誠実に:顧客や製品、研究、何事にも真心を持って取り組む。
これらの指針に基づき、私たちは農業における不確定要素を圧倒的な技術力で解決することを目指しています。最終的な目標は、持続可能な食のインフラを実現し、未来の世代に豊かで安定した食を継承することです。この使命を果たすため、日々技術革新と事業拡大に邁進しています。
これからの目標はありますか?
市川:当社の最優先目標はイチゴの栽培に特化し、お客様が直面している課題を徹底的に解決することです。この過程で、イチゴの完全自動栽培システムの実現を目指しています。このシステムは、播種から収穫、そして出荷に至るまでの全工程を自動化し、人的介入を最小限に抑えることを目指しています。これにより、生産効率の飛躍的な向上と品質の安定化が期待できます。さらに、この自動化技術の確立後は、トマトやメロンなど、他の高付加価値作物への技術の応用も視野に入れています。これにより、当社の技術と知見を幅広い農業分野に展開し、より多くのお客様や消費者に貢献することを目指しています。
長期的な展望として、自動化技術の更なる進化、栽培可能な作物種の拡大、そしてグローバル市場への進出を計画しています。自動化の範囲を拡大することで、より複雑な農業プロセスにも対応可能となり、多様な作物の効率的な生産が可能になります。また、海外市場への展開により、世界各地の気候や環境に適応した栽培ソリューションを提供し、グローバルな食糧生産の安定化に貢献したいと考えています。これらの取り組みを通じて、HarvestXの企業理念である「未来の世代に、豊かな食を。」を具現化し、持続可能で豊かな食文化の創造に寄与していきます。私たちは、テクノロジーの力を活用して、食の未来を明るく、そして希望に満ちたものにすることを目指しています。
最後に一言お願いします
市川:HarvestXの事業とサービスの提供には、農業、食品、不動産、建設、エネルギー、製造業、通信、ITソリューションなど、非常に多岐にわたる業界と密接に関わっています。これらの分野を横断する革新的なソリューションを提供することで、食品産業全体に波及効果をもたらすことができると考えています。しかしながら、私たちの大胆なビジョンを実現するためには、各分野の専門知識と豊富な経験を持つ大企業の皆様のお力が不可欠です。
様々な業界の知見と技術を結集することで、単なる農業技術の革新にとどまらず、食品産業全体のエコシステムを変革する可能性を秘めています。私たちは、多様な共創パートナーの皆様と手を携え、持続可能で豊かな食の未来を共に創造していくことを期待しています。皆様との連携により、私たちのビジョンがより大きく、より早く実現できると確信しています。
めぇ〜ちゃん- 世界で初めてロボットによるイチゴの自動授粉に成功したHarvestX社にこれからも注目です!それでは次回もお楽しみに!