- インタビュー
2020年12月14日
ギフティ上場のリアル:上場への道のり、そして新たなギフトの世界へ Vol.4
- 株式会社ギフティ
太田 睦 - 代表取締役
これはとある新社会人がスタートアップし、上場するまでのストーリーである。
彼はソーシャルメディアの可能性を感じ、人と人とが繋がる「ギフト」で新たな世界を創ろうと考えた。2010年に創業した社員数人の小さなスタートアップは、いくつもの支援を受けながら幾多の困難をクリアし、社会の公器となるべく2019年9月、東証マザーズに上場を果たした。ギフティという名前でスタートアップした彼らは、創業時「ソーシャルギフト」という新しい概念を提唱し、その後のeギフト市場で着実に成果を出し、現在もなお成長を続けている。
このロングインタビューでは、スタートアップのリアルとして、KDDI ∞ Labo第一期生であるギフティ創業者、太田睦(むつみ)氏と共にその上場までの道のりを辿る。後に続くスタートアップ起業家、そしてその成長を共に共創しようと試みを続ける大手各社のヒントになれば幸いだ。(文中の質問は全てMUGENLABO Magazine 編集部、回答は太田氏)
ギフティが東証マザーズに上場したのはちょうど1年と少し前の2019年9月だ。
起業を志して社会人としての一歩を踏み出した青年が、新たなソーシャルメディアの潮流にヒントを見出し、様々な支援とチャンスをモノにして社会に認められる企業に成長した。今、支援してくれていた企業との関係値はどのようなものになっているのだろうか。太田氏はその変化についてこのように話してくれた。
ギフトの新たな世界へ
KDDIとの関係値って今どのようになっていますか
太田:実は法人販売ではKDDIさんとご一緒する機会は減っていて、それよりもクライアントとして使っていただいてます。特にauスマートパス会員向けのキャンペーンって大規模なので、それを見て、ウチでもああいった取組をしたいという声をいただいたりしています。
一方で株主としても関係性がありますよね
太田:giftee for Businessが立ち上がってからの事業進捗がよかったというのもあって、ネガティブなプレッシャーよりもそれをもっと加速させようよ、ということでとにかく沢山紹介をいただきました。au経済圏の中でもこの保険で使えないかとか、銀行があるからここで、といった感じです。商材的に組みやすいというのはあると思います。
ーービジネス利用でキャンペーン的な利用に商機を見出したギフティだが、創業期のコンセプト「ソーシャルギフト」の本質は小さなありがとうを個人が贈り合う世界観だ。事業としての成長は引き続き追いかけながら、この世界観についてはどうだろう。太田氏は以前からその考え方に変わりはないと強調する。
太田:創業時に持っていた思いみたいなところは今も変わっていないですよ。ただ目標に近づいてはいるものの、まだ二合目とか三合目の感覚ですね。まだeギフトを貰ったことない、使ったことないっていう人は世の中に沢山いると思います。こんなのがあるんだ!みたいな反応をいただくこともあるのでまだまだです。C2Cのギフト文化を作っていくっていうところは引き続き目指していきたいです。
一方、彼らの成長を支えたビジネスにおけるギフト文化についても気付きがあったと語る。
太田:ただモノを売りたいから景品を配ってるっていう側面ももちろんあります。けど、企業さんと最終的なお客さんがもっと最適な形でつながる仕組みもあるんじゃないかなと最近は思うようになっています。例えばまだ見ぬブランドにあるお客さんがすごくマッチする、みたいな関係性があるとするじゃないですか。
こういった最初の瞬間にギフトってフィットするんですよね。
それと「繋がり続ける」っていうところでもギフトってすごくいいコミュニケーションツールだなと思ってるんです。今までは個人と個人の繋がりのとこだけを見てたんですけど、企業と人っていうところも興味がある領域ですし、今、地域通貨もやっているので地域と人っていう繋がりを作ったりとか、その繋がりを持ち続けられるサービスをどんどん世の中に出していきたいなと思っています。
ーーソーシャルギフトから始まった太田氏たちのスタートアップ・ストーリーは、ギフトを通じた人や企業、地域との繋がりの物語に広がっていく。上場といっても企業にとっては長い道のりのほんの一歩にしか過ぎない。スタートアップした頃の目標をひとつ達成し、ギフティのチームは次の目標に向かって進んでいく。太田氏はインタビューの最後にこのようなコメントをくれた。
太田:eギフトを軸として企業の間に様々な縁を育むサービスをっていうビジョンを掲げているんですが、この先に気持ちの循環が促進されて良い関係で繋がった社会ができるとよいなと思っています。
領域が広がれば広がるほど好奇心が増していきますし、また知らない世界があってそこに自分たちが提供できる新しい価値が見つかって、どんどん自分たちが実現した世界や社会が作られていくのはわくわくします。
オフラインで使われるサービスなので、土日とかちょっと街に出た時に自分たちのサービスが使われているのを目にする機会って増えたんですよ。自分たちがやってることがこうやって形になって影響を与えているんだなと思うとやはりやりがいに繋がりますよね。(了)
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