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2025年09月16日

宇宙技術で拓くエネルギーの未来――MUGENLABO UNIVERSE~東京都TIB CATAPULT共催イベントレポート~

2025年9月2日、業界を超えた事業連携の創出を目的に、東京都のイノベーションクラスター創出を目指す事業「TIB CATAPULT 」に参画するMUGENLABO UNIVERSE(代表企業:KDDI)と、Econovation City Cluster (代表企業:Plug and Play Japan)の共催イベントを実施しました。


当日は宇宙・エネルギー分野に関する有識者による講演や、両分野で活躍するスタートアップのピッチ等を通じて、「宇宙×エネルギー」のイノベーションの可能性を探りました。本記事では、その内容を抜粋してお届けします!


TIB CATAPULTについて

東京都の強みとなるインダストリーやテクノロジーの領域において、イノベーションを巻き起こすために組成された複数企業からなる「クラスター」と、東京都が協定を締結し、クラスター領域におけるスタートアップとの連携・協働を推進、イノベーション創出を目指します。採択されたクラスターはそれぞれ、グローバルに成長するスタートアップ創出に向け、3カ年で20件以上の大企業などとスタートアップによる協働実績の創出を目指します。


   

基調講演~宇宙技術×エネルギーの最前線~

本基調講演では、宇宙・エネルギー分野の市況感やグローバルな動向、そして投資動向について、お二人の有識者にご登壇いただきました。

お一人目はデロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 シニアコンサルタントの森 智司氏にご登壇いただきました!

森 智司氏の講演の様子

テーマ:宇宙分野の概観&最新動向およびエネルギー分野との連携

近年、宇宙産業はグローバルで急速な成長を遂げており、2023年時点で約88.9兆円の市場規模を持ち、2035年には約260兆円に拡大する見込みであると紹介されました。講演では、宇宙機器ビジネス(人工衛星・探査機・ロケット等の開発・製造・運用)と、衛星利活用ビジネス(通信・観測・測位・データ分析等)が二大バリューチェーンを形成している現状が説明され、民間企業によるライドシェアや配送、精密農業、気候変動対策など多様なユースケースが生まれていることが強調されていました。また、日本でも政府主導の宇宙戦略基金やJAXAによる支援が拡大し、スタートアップの参入が加速していると語られていました。

続いて、宇宙分野におけるエネルギー課題とその最新動向についても解説がありました。軌道上では衛星基数の増加や一基あたりの消費エネルギー増大が進んでおり、太陽電池やバッテリーの高性能化・安定供給が求められている現状が紹介されました。また、月面では輸送コストの低減や現地でのエネルギー源開発が重要なテーマとなっており、軽量・小型で現地調達・製造が可能なエネルギー技術の研究が進められているとのことです。さらに、無線送電やエネルギー密度向上など、今後の宇宙活動を支えるための技術開発が国内外で活発に行われていると語られていました。

最後に、宇宙エネルギー分野の注目ソリューションやスタートアップの動向についても紹介がありました。既存の太陽電池やバッテリーの高性能化・低コスト化に加え、無線送電技術や小型原子炉、宇宙太陽光発電システム(SSPS)などの次世代技術開発が進展している現状が示されました。特に、衛星打ち上げ数の増加に伴い、継続的なエネルギー供給が求められており、自動車分野の技術を転用した宇宙用バッテリーや、放射線耐性を高めたシリコン太陽電池など、民間企業による新たな取り組みが加速しているとまとめられていました。

お二人目はPlug and Play Japan株式会社 VP,Energy/Smart CitiesのKathy Liu氏にご登壇いただきました!

Kathy Liu氏の講演の様子

テーマ:エネルギー・宇宙分野の投資動向

まず、エネルギーバリューチェーン全体についてご紹介いただきました。エネルギーの供給・輸送・利用の各フェーズにおいて、脱炭素化や分散型エネルギー、デジタル化(DX)など多様な技術やサービスが展開されており、従来型のエネルギー産業に加えて資源循環を意識した新たなビジネスモデルが生まれていることを強調されていました。多くのスタートアップや企業が参画し、それぞれの強みを活かした取り組みが進んでいると語られていました。

続いて、宇宙関連技術のエネルギーサプライチェーンへの応用についても解説がありました。NASAとの共同開発プロジェクトや、宇宙で培われた技術を地上のエネルギー変換や効率化に活用する事例が増加していると語りました。磁気共鳴を利用したワイヤレス充電技術や、汎用性の高いロボット技術など、宇宙と地球の両方で利用可能な先進的な技術がエネルギー供給の安定化や廃棄物処理の効率化、新たな市場創出につながっている現状が紹介されていました。

最後に、宇宙太陽光発電(SBSP)の商用化に向けた課題と展望についても言及がありました。SBSPのバリューチェーン全体に必要な原材料や構成部品、モジュールやサブシステムの開発状況が整理され、技術的・事業的な課題が浮き彫りになっていると説明されました。

こうした課題に対して、SBSPの実用化や関連技術の開発に挑戦するスタートアップも次々と生まれてきており、近年は大型資金調達や投資が急増している状況です。宇宙とエネルギーの融合による新たな産業エコシステムの形成が、今後ますます期待されているとまとめられていました。

登壇スタートアップ紹介

スタートアップピッチの様子

宇宙分野・エネルギー分野で活躍されているスタートアップ6社が登壇し、各社の会社概要や具体的な取り組み内容を紹介しました。

  1. エルライ株式会社
  2. 光学カメラで撮影するようにガンマ線を捉えることができるカメラ「ETCC」の開発・提供。

  3. 株式会社ElevationSpace
  4. 宇宙での実証実験後、地球に帰還可能な宇宙機「ELS-R」を提供。

  5. 株式会社ALE
  6. 夜空に人工流れ星を降らせる宇宙エンターテイメント事業「SKY CANVAS」の展開。

  7. 株式会社UMIAILE
  8. 水上航行可能な小型無人ボートを群で活用することで、リアルタイムのデータ収集を可能とした海洋センサープラットフォームを構築。

  9. 株式会社Helical Fusion
  10. 国立専門研究機関の核融合科学研究所等における知見を引き継ぐ「ヘリカル型核融合炉」を開発中。

  11. Virtus Solis Technologies
  12. 宇宙太陽光発電とRF送電技術(電力を電波に変換して無線で送る技術)を活用し、24時間365日安定した電力を供給するシステムを構築。

めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
ピッチを通じて、宇宙やエネルギー分野の未来を切り拓くスタートアップの情熱がひしひしと感じられました!

リバースピッチ

MUGENLABO UNIVERSEにご参画いただいている2社の企業様にご登壇をいただき、両分野における取り組みや関心領域についてお話しいただきました!

  1. 株式会社田中貴金属グループ
  2. 宇宙空間やエネルギー分野における貴金属の活用やタンパク質結晶化実験について紹介。

    株式会社田中貴金属グループ 仲沢 達也氏のピッチの様子

  3. 株式会社フジタ
  4. 過去のスタートアップとの連携事例や、建設業における宇宙・エネルギー分野の注目技術の紹介。

    株式会社フジタ 比佐 建二郎氏のピッチの様子

めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
大企業ならではの視点や今後注目しているテーマが紹介され、スタートアップとのコラボレーションの可能性にワクワクしました!

おわりに

MUGENLABO UNIVERSEは、今後も領域を越えた交流を積極的に創出し、さまざまな業界・分野の皆様とともに日本の宇宙ビジネスの発展を後押ししていきます!
引き続きよろしくお願いいたします!

めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
次回は11/25に高輪本社でイベント開催予定です!ぜひご参加ください!

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